2005年06月30日
ゲゲゲの森の鬼太郎
水木しげる/角川文庫/漫画
何の経緯で購入したのかなぁ…とか思っていたら、古本屋の改装セール の時に買ったらしい。『少年マガジン』に掲載された「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズから木にまつわる話だけをピックアップした本らしい。
鬼太郎の漫画って久々に読んだけど、背景の描き込みが細やかで味わい深いですなぁ。ポップなキャラクターも、水木調のどっしりとした重みのある絵で表現されていて軽くないし。こうした独特のタッチで、人間社会と妖怪社会の微妙な関係が表現されていて、しかも社会問題に対する冷静な視点も持ち合わせてるんだから凄いですね(カップラーメンを食べた子どもがカップラーメンになるとか、凄い話も混じってますけど)。
そして何より、ねずみ男のキャラが最強。ある意味「鬼太郎」はこれに尽きてしまうかも。彼が吐くしみじみした台詞は素晴らしく、例えば今回なら…
オレたちは永遠に富むことはなく、空しく日々を送るだけなんだ
とかね。カッチョいい。ちなみに水木しげるの本名は武良茂という。なぜ「水木」になったかというと、当時、水木通りの水木荘というアパートに住んでいて、近所に来ていた紙芝居屋のおやじが彼のことを「水木さん」と呼んでいた。武良が「水木じゃないです」と何回言っても「水木さん」と言うので、だったらということで「水木しげる」にしたということらしい。素敵なエピソード。
Posted by Syun Osawa at 23:45
2005年06月26日
松戸巡り
松戸とかって関西の人間は普通行かんよな…たぶん。
戸定邸。水戸藩最後の藩主が明治維新後に住んでいた邸宅。庭の手入れが素晴らしい。
戸定邸の内部。『松戸の明治』という写真パンフ(100円)と徳川家康から水戸につながる家系図(20円)を購入。これで茶菓子でも出てきた日には最高ですね。
伊藤左千夫『野菊の墓』の文学碑。悲しいくらい寂れてる。こういう文豪の文学碑って、作品の著作権が切れてるんだから、フリーペーパーで小説とか配ったらいいのに…と思う。
あじさい寺(本土寺)、あじさいと名前がつくとおりあじさいで有名。
スゲー!
Posted by Syun Osawa at 10:40
2005年06月22日
Musical Baton
うちにも回ってきてしまいました。しかも UG-Kさん からメールで。これってトラックバックなんかを連鎖させる遊びなんだと思ってたけど、僕のサイトはコメントもトラックバックもついてないしなぁw
とりあえず…
コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量
1GB未満。ネット音楽が大好きなので ACOWO や scene.org などから新譜をダウンロードして聴いておるわけです。そんでもって700mbになったらCD-Rに焼く、というのを淡々と繰り返しております。基本は thinner ラブで。
今聞いている曲
I am a father / 浜田省吾
(ネットでPV配信中の新譜、ダサくてよいです)
あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう / 岡村靖幸
(この曲、最近よく耳にするのはなぜ?)
akari / g_n44f
(-N から今度リリースされる予定のg_n44fさんの新譜)
最後に買ったCD
Destroy Rock & Roll / Mylo
(有名な4曲目より、ラストの曲が最近好き)
Nothing Lasts But Nothing Is Lost / Shpongle
(2曲目好き、でも全部好き。サイケアンビエントは大事なツボ)
Lyric On My Lip / TALI
(ドラムンのアルバムなんてタルヴィンシン以来かも)
feather / ta-ta
(小谷美紗子参加ユニット、カバー曲「ひこうき雲」最高)
よく聞く、または特別な思い入れのある5曲
こころ / 沢知恵
(名曲、どんな時代になっても残る曲)
Stay / Lisa Loeb
(中学生の時に感動した最も思い出深い曲)
Angel / Sarah McLachlan
(一番好きな歌手、この曲に限らずすべて好き)
Born Slippy / Underworld
(僕にテクノの扉を開いてくれた曲、YMOでもクラフトワークでもない)
Discotheque / U2
(大阪ドームでのライブがカッコ良かった、次はいつ来るんだろう…)
バトンを渡す5人
この遊びってねずみ講だから後に回ってきた人ほど損なような…。思い浮かぶのは、ACOWO とか TSJ とか trc なんかでしょうか。でも僕のバトンは僕で終わり。なぜなら…
かりにバトンを受けた人たちが、律儀に新たな5人に回し続けたとすると、わずか5世代後には15000人を超え、10世代後にはなんと日本の人口の半分にあたる4800万人を巻き込む計算だ。
と、21世紀の歩き方大研究の主宰者 がおっしゃっているので。
Posted by Syun Osawa at 03:20
2005年06月09日
さよならにっぽん
大友克洋/双葉社/漫画
大友克洋の短編集。僕の場合、大友克洋直撃世代ではないので、『ショートピース』も『童夢』も『彼女の想いで…』も、当時連載が続いていた『AKIRA』の影響下で読んだ。しかもそれらの本はすべて古本屋で購入、という時代。今回久々に購入した『さよならにっぽん』にしたって古本だし、大友克洋の漫画に対する認識は今も昔も僕の中ではあまり変わるところがない(そーいや『ZeD』も『サルタン防衛隊』も古本だったなぁ…)。
本書は、売れない3人組のバンドを中心とした物語と、ニューヨークに道場を開いた冴えない空手家の物語が収録されている。何てことはない、冴えない日常の風景だ。これといった主義主張があるわけでもないし、派手な大立ち回りがあるわけでもない。全共闘の熱気が終わり、しかもバブル前。そのなんとも言えないしみじみした雰囲気がこの漫画には溢れている。
一方で、妙なポップさもある。背景にさりげなく描かれている看板とか、バンドメンバーが語るミュージシャンの名前とか、そういうディティール的な部分に個人的な主張が込められている。「ダサかっこいい」ってところのポップ感。さらに「しみじみ」をネガではなくポジに捉えていて、しんみりし過ぎないライトな風情が各コマを立体的に覆っている。
例えばそれは浦沢直樹やハロルド作石(この二人よりは視点が冷めてるけど)なんかにも繋がるような風情ではないかな? 妙に白くって、のほほんとして、アメリカを引きずってる日常の描写が、バブル真っ只中の中学生だった僕には、ジャンプ熱を冷ます良い冷却材になっていたのかもしれない。浦沢直樹の短編集も僕はそういうところが好きで読んでたし。おそらく10年後に読んでもこの白々とした読後感は同じだと思う。
Posted by Syun Osawa at 19:51
2005年06月06日
インディーズが繋がるということ
6月よりライブハウス生放送 LIVE cheers! がスタート
全国のライブハウスと提携して、生放送をやるサイトが登場した。一時期 ねとらじ にハマっていた者としては、こちらもしばらくはチェックが必要かも。こういうサイトを見逃せない理由は、自分の琴線に触れるミュージシャンとの遭遇に尽きる。しかも何気ない偶然だから良いのだ。
例えば今回なら、double face というバンドが目にとまる。安易に言うと、イースタンユースとザ・コブラツイスターズを足して、カリスマ性を抜いて、キャッチさを加えたという感じだろうか。インディー系のバンドを全く追いかけない僕にとって、こういう偶然の出会いはインターネットでしか成立しない。そして彼らの「 山なみ遠に春は来て 」という曲はかなりベタにキた(ベタ強し)。さらにこのタイトルから下の詩へと繋がってゆく。
山なみに遠に春はきて
辛夷の花は天上に
雲は彼方に帰れ共
帰るへ知らに越ゆる路
by 三好達治
LIVE cheers!に Vinidile なんかが出たら、かなり胸ときめくと思う。こういうサイトって海外にもあるんだろうか…。うーむ
Posted by Syun Osawa at 00:17
2005年06月05日
週刊アニメ雑感 2005.06.05
この時期に3年前から使っている10万円のSOTECノートPCが怪しい挙動をするようになった。イベント前なのにマズイ。
いつものことながらアニメ関連ニュースは尽きることがない。ノルシュティン&新海誠のNHKの特集を見て、日本の国営放送の方向性を妄想してみるも結論が出ず、ニュースに目をやると こういうプロジェクト が飛び込んでくる。これなんて一体全体どんな理念でもってやってるんだろ? こういうプロジェクトのときに必ず「ジブリ」という言葉は出てくるが「宮崎駿」の名前は出てこない。ここにもし「宮崎駿」の名前を見つけたら、信者としてはちょっと辛いなぁ…。
週末に幼稚園の先生と2×2で飯食って、なんか教育っつーもんについて久々に感じることがあった。ストレス…教育、悪口、教育、悪口…。これと上のニュースが重なる。精神的にストレスのかかりまくる現場とは裏腹に、経済省はアニメーション制作とか言ってるわけですな。イラクの自衛隊派遣について考えたりさ、道徳とかさ、自然の触れあいとかさ。子どもの貴重な時間をアニメ制作ってどうなのよ? ジブリさん?
とか何とか言いながら、アニメ見るんです。
分水嶺 第三集 夢魔
(mov/s/mb) web
by 飛鳥動画
飛鳥動画の人気シリーズ『分水嶺』の第三話。このあたりの作品を見ていると、FLASHアニメが完全に次のステージに来たことがわかる。もはやNinjai Gangの『The Little Ninjai』だけが特化して別次元にあるのではない。B&T、ITS CARTOONに代表されるような、大作志向の作品が数多く生れている。
アニメーションの方に目をやると、動きそのものはカクカクと硬い。モーショントゥイーンに依存したシーンも『The Little Ninja』などと比べても圧倒的に多く、もう一歩という感じが残る。逆に、台詞の方は英語の字幕もついており、ワールドワイドにストーリーを伝えたいという意欲を持っているようだ。現段階では物語の展開の方に重きを置いているのかもしれない。今後がますます期待される。
Badly Drawn Boy「Year Of The Rat」
(mov/04:06s/47.1mb) web
by Monkmus
むさくるしいヒゲの中年とその飼い犬が世界に「愛」を広げていく素敵なミュージッククリップ。ポップなイラストを丁寧に動かしており、その時点でショートショートアニメとしての魅力を備えている。嫌がる相手をハグし続け、相手が脱力したところで愛の断片が生じるという強引な展開ながら、試聴後、妙にやさしい気分になったのは僕だけではないだろう。
音楽に単純に重ねていくだけの映像ではなく、そこにメッセージ性とか世界観、物語などを重ねていく近年のアニメ系ミュージッククリップは僕の中では大きなものになっている気がする。
Duo 505「Nochwas」
(mov/03:06s/35.4mb) web
by Lorenzo Fonda
音楽だけなら、今回紹介したミュージッククリップの中で一番好き。メロディを前面に押し出したchiptuneとエレクトロニカの出会い。Duo505にかなり感動した。とりあえずアルバムを抑えなければ…。ただし今回の作品群の中では、映像とのシンクロ率が低かったようにも思う。
Fischerspooner「Never Win」
(mov/s/mb) web
by unknown
こうなると、アニメでもなくて単にお気に入りのミュージッククリップってだけ。これ見てたら、そろそろアップルのCMもマンネリだろと思うに至った。中森明菜「デザイア」を彷彿とさせる着物女が出てきたり、亀甲縛りが出てきたりで日本との親和性もなかなか高い。カッコイイなぁ…しみじみ。
Posted by Syun Osawa at 23:36
2005年06月01日
ノストラダムスの真黙示録
神代光/KKダイナミックセラーズ/漫画
気持ちの良い電波をピリピリと発する素敵な漫画。ノストラダムスの予言を軸に、フリーメーソンもユダヤの陰謀も超能力も黙示録も出くる。そしてそれらをどんどん繋げていくという、むかし懐かしい遊びが満載。
たしかにバーコードは「666」とかあったよな。その「666」も最近では「616」だったという「ネッシー写真はネタでした」以来の腰砕けな研究結果が出てみたりで、ミステリーのブラックボックスがどんどん陳腐なものになっている。僕達には「ピアノマンは誰?」とかショボイ遊びしか残されないのか!
この本にはロマンがある。終末思想という名のロマンだ(この本の中ではそれを「ルサンチマン」と書いているが、きっと違うぞ)。それはヒロインの女の子のこんな台詞に現れている。ノストラダムスの予言をもとにした小説を書いている主人公に対して、
「ぜひ読ませてください!(わたし、)本当はノストラダムスって原文訳、ぜんぶ読んでるの」
その発言に対する主人公の返答
「なあんだそうか、じゃあ今度持ってくるよ」
ロマンですねぇ。その後、日本は大地震によって壊滅状態に。主人公はゲリラ活動に入り、ユダヤの陰謀によって世界がロックフェラー財団の御曹子に支配されるというトンデモな方向へ。言葉で書くと凄いんだけど、漫画の中でも言葉で書いているだけなんで、AKIRAみたいな絵のイメージがあるわけではない。そこがあったら凄い漫画だったかも。
興味深いのは、この本では国民全員にバーコードが付けられ、国民総背番号制が導入されることを大事件として描いていること。コンピューターによって国民全員が完全に管理下に置かれることによって、真の平和を達成しようというわけだ。さらに、国家機密法という名の言論統制で、国体の強化を図ろうとしている。
よく考えると、今ってまさにそんな世の中では? 僕にも番号ついてるし、住基ネットを足がかりに超管理社会への待望論ある(バカ)。ノストラダムスの予言は外れたけど、作者の予言はしっかり当たってる。これこそ神の力じゃないのか? と思って、作者のホームページを見たら妙に納得した。あえてそれ以上は触れませんけど。
Posted by Syun Osawa at 22:57