bemod
« 2005年08月 | | 2005年10月 »

2005年09月27日

まんたんブロードにJAWACON記事

まんたんブロード竹熊健太郎さんが『まんたんブロード』というフリーペーパーで連載されているコラム「たけくま月評」で、JAWACON上映会の感想を書かれています。嬉しいですねぇ。森野あるじさんも漫画を連載されている『まんたんブロード』は こういうところ で貰えます。

ちなみに『 JAWACON公式ガイドブック 』では、ルンパロさんによる竹熊健太郎インタビューが掲載されていたりします。竹熊さんのインディーズアニメへの関わり方って、アニドウとも違うし、伊藤さん系列でもないし、NHKでもない。10月の 吉祥寺アマチュアアニメーション映画祭 がどんな感じなのかちょっと興味深いです。

そういや、図書館で見かけた『アエラ』にFLASH★BOMBの記事載ってたなぁ。TNTさんが出てた。

50人に1人の功罪

ビッグカメラで外付けハードディスクを買うか悩んで、結局買わずに800円のメディアだけ買った。そのうち700円をカードで精算し、100円を支払おうとした瞬間…

「カランカラン、おめでとうございます! お買い上げ商品無料です!」

50人に1人が無料になるキャンペーンらしい。並んでる客の視線が集中する。でも無料になったのは100円(700円のポイント精算分は対象外らしい)。嫌な運の使い方やでコレ…。

Posted by Syun Osawa at 22:46

人生という名の列車

今日の『内村プロデュース』で、出演メンバーが「人生という名の列車」を歌っていて驚いた。あの曲はおちまさとさんがDJをしていた『ASAHI SUPER DRY ACCESS ALLAREA』(TOKYO FM)という番組の中で、ゲストに出演した馬場俊英さんが、番組の企画として作った曲だったりする(テーマは30代のための応援歌だったような…)。

ちょっと前の話だけど、ググッたら プチ情報 が出てきた。山下達郎さんの次の番組ということで、なんとなく聴いていた記憶が…。

『内村プロデュース』もおちまさとプロデュースなので、そういうつながりかな? だとしたら、わりと義理堅い。どーでもいい情報。

Posted by Syun Osawa at 00:10

2005年09月25日

FLASH★BOMBへの視線

GLOCOM で活躍中の社会学者、鈴木謙介さんがFLASH★BOMBについてコメントされています。

広げていくことと守ること(鈴木謙介/SOUL for SALE

熱い人だなぁ…なんて目を潤ませつつ、アンダーグラウンドの捉え方はやっぱしセンスいるなぁと思って、アカデミズム(つーの?)の人は、わりとザックリ語るなぁとか思ったり、思わなかったり。

見たい作品がいろいろあったのに、結局観に行けなかった。先週の三連休も今週の三連休も、休日という感じが全然ない…ハァ。

ところで、のまねこ問題の2ちゃんキャラってのは「クトゥルー神話体系」みたいなもんじゃねーの? とか思ったり、思わなかったり(どっちかなぁ…うーん)。

Posted by Syun Osawa at 23:34

ちょっとピンぼけ

ロバート・キャパ/文藝春秋

ちょっとピンぼけキャパいいね。お調子者だし、皮肉屋だし、愛嬌あるし、自分に素直だし。愛されているのが良くわかる。ノルマンディー上陸作戦に従軍したという時も、浜辺で写真を撮った後、あまりの銃撃戦の壮絶さにビビって逃げ帰ったことを本の中で素直に告白している。しかも、せっかく撮った写真も現像の段階でパーにしてしまった(写真が残っていないことが逆に有名な逸話になるという稀有な例かも)。

そもそもキャパがなぜ戦場で写真が撮れるのかというと、軍隊に従軍しているから。戦争画の関連でこのあたりの事はかなり興味があるんだけど、長くなるので割愛。本の中ではヘミングウェイが従軍記者として大戦に参加していた時の様子(勇ましーw)や、キャパとの親密な関係(パトロン?)なが書かれて興味深かった。

キャパの戦争に対する視線の矛先はいつも個々の人間に向けられている。例えばこんなくだりがある。ベルリンが陥落する直前、若い兵士がバルコニーから銃を撃っていたときの描写である。

若い伍長は引金を引いて射撃し始めた。
この戦争の最終的な銃を射撃する最後の兵士は、この戦争勃発に最初の銃を撃った兵士と何らの違いも見出せなかった。その写真がニューヨークに着いても、普通の兵士がなんの変哲もない銃を射撃している画面と、誰ひとりふり向きもしないだろう。
その兵士の顔は清潔で、明るくきわだって若々しかった。そして、彼の銃はナチスを倒し続けていた。私はバルコニーの上へ出て、二ヤードくらい離れて、彼の顔に焦点を合わせた。私はシャッターを切った。その瞬間、私にとって数週間以来の最初のこの写真は、この青年にとって生涯の最後の写真となった。
(中略)
私は戦死する最後の男の写真を撮った。この最後の日、もっとも勇敢なる兵士の数人がなおも死んでいくであろう。生き残ってゆくものは、死んでゆく彼らをすぐ忘れるのであろうか。

キャパは祖国(ハンガリヤ)を愛する愛国者でありながらも、一人の独立した自由人であった。文章からのぞく彼の冷めた視線は、彼のような生き方でなければ難しかった時代なのかもしれない。

同時に写真家でありながら、写真が捉えることのできる現実の難しさについて冷静な言葉を残している。厭戦(えんせん/戦争することを嫌うこと)的だから好きだと言っているわけでは決してない。しかし、こういう視点が当時の日本人に欠けていたことも間違いないだろう。司修さんが藤田嗣治さんに対して言いたかったことは、きっとこのあたりではないだろうかと思うのだが、この話はまた今度。

(関連)
加藤哲郎『戦争写真家 ロバート・キャパ』(筑摩書房)
戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 01:20

2005年09月22日

すときゃ de 藤咲みゆ☆

藤咲みゆすときゃ で放送されている「 ラインの小部屋で喋りまSHOW! 」という番組に出演中の藤咲みゆさんにハマりました(ズッポシ)。可愛いです。舌足らず、天然、動きがたどたどしい、だが、切り返しが早い(ここ重要)と、山口もえ的要素を持ってます。
(ブログ)藤咲みゆ日記

彼女の所属している タレント事務所 はグラビアアイドル中心みたいで、中には 大津あずさ さんなんかも所属してます(この人もリアルの大阪弁はかなりシュートで素敵)。

すときゃは、Winampを使うと映像が見れます(やるね)。
http://stcat.com/pls/kobeya300.pls

Perfumeの新曲

Perfumeのメジャーデビュー曲「リニアモーターガール」も、インディーズ時代の作品に負けず劣らずの素敵な作品になっていて嬉しいです。最近は桃井はるこさんと組んで萌え路線を驀進中らしいですが、それもまぁ仕方ないのかも(商売だし)。別にテクノ寄りになる必要はないし(大正九年とか)、狙い過ぎると逆に冷めるという部分もあるので、広島弁まるだしのおぼこい地方アイドルで突き進んで欲しいものです。

2003年の5月から2004年末までの BEE-HIVEカメラアーカイヴを所持するオタとしては、低空飛行を続けながらも消えていかない感じが心地良く(アミューズ様々やね)、かつ売れなくてもいいからアルバムは残してほしいです(D&Dのように)。

MISSION復活?

その昔、MISSION というアイドルユニットがあって、彼女達の曲が好きだったんですが、アルバムを出さないままに解散してしまいました。エイベックス公式の 試聴曲(特に後半2曲)はその良さがあまり伝わりませんが、特に「 かわいいんじゃない? 」のAメロは最高でした(試聴部分は頭サビ)。

そんな、MISSIONが今年、自主復活する可能性がありました。

詳しくは ファンの掲示板 の過去ログを参照してください。メンバーはすでに引退して、地元に戻っているのですが、それでもなおファンサイトがあり、メンバーが書き込みをしているというのは感動的です(どこがと言われればそれまでですが…)。

女子高生ゴルファーがネットで叩かれている件

「第2の宮里藍」って呼ばれてる女子高生ゴルファー2人が、ギャル全開のプライベートをホームページで公開していていたのですが、その素行を巡って2ちゃんを中心に叩かれ、ついにはホームページを閉鎖してしまったようです。ゴルファーが「海とゆったらSEX」とか言っても全然いいし、なんつーかこの手の倫理感って全然好きになれません。

ようやく日本にも ABC振興会 に登場できる資格を持つ猛者が登場したと思って嬉しく思っていたのに、残念です。家系がなかなか強力で、それこそパリス・ヒルトンとまではいなかくても、Anna RawsonとかNatalie Gulbisあたりを期待したんですけど…華麗なる復活を願ってやみません。
(参考)海外には強者がいっぱい

Posted by Syun Osawa at 22:15

2005年09月21日

週刊アニメ雑感 2005.09.21

大好きだった『芸能プロフィール刑事』が終わってしまった。僕の好きな番組はすぐ終わるなぁ…。「忙しい」と書きなぐってみたところで、忙しさが解消されるわけではないので、まるで忙しくないように更新を続ける日々です。

Sumo the bambooman

(flash/) web
by Goober Productions

Gooberさんの作品じゃないみたい。ポップなノリと暴力表現が目立つ原始人モノ。原始人系の作品って最近よく見かけるが、流行ってるんだろうか。新境地ともいえなくないが、どうも深みがない。背景の上手さと、チマチマ動く小動物の作り方は進化しているが、メインの舞台となった最後の背景は彼が描いた背景がの中ではイマイチの部類に入るんじゃないだろうか。奥行きの表現があまり上手くない。

Au Commencement

(flash/43k3b) web
by SUKI Land

オタワ国際映画祭にノミネートされているSUKIさんの作品。海の広大な感じがとてもよく出ている。海はとにかく難しくて、僕も『 巌流島 』という作品で挑戦したことがあったが、波の表現があまりに稚拙で無残な結果になった。SUKIさんの海中の表現なんかを見ていると、海というのはあまりいろいろ小細工とか描き込みをしないで、海の深い色と泡しぶきなんかだけを上手くやった方がいいのかもしれない。

愛情的寛容《別人》

(flash/6.14mb) web
by 夢

絵の上手い人ならば、FLASHの使い方さえ覚えればこのレベルに達するのはたやすいのかもしれない。日本の商業アニメを完全に踏襲しているのは、3Dの先生によると日本と同じくらい日本のアニメが流入しているかららしい。そのオリジナルの起源をチクチクやっても意味がない。大事なのはここの作品がどういう方向に向っているか。まだまだ紙芝居が多い中国産FLASHアニメにあって、アニメとしても物語としても形にしようという努力がうかがえる。ラストに近づくに連れて作品と作者の思いが同化しているように感じられてちょっと感動した。それにしても中国人は情緒過多なメロドラマ好きやねぇ…。

我的愛 パールハーバー編

web
by thomas

わりと労作。名前が国籍不明だが、抗日戦争勝利60周年FLASH系の作品がたくさん出ている中の一つなんだろう。なぜゆえ米国目線なのかはわからんが…。物語的には金髪の姉ちゃんがいつの間にかやられてるなど、変なところも多い。ただし、一瞬のモチベーションだけでこういうのは作れないし、見るべきところも多い。次作でこのポテンシャルがアニメーションの完成度を高める方向に向えば、面白いかも。

Posted by Syun Osawa at 03:22

2005年09月19日

週刊アニメ雑感 2005.09.19

山手線の駅を14秒で言い、家で模型を作っている鉄オタの神木隆之介くんに続き、今度の民主党代表も鉄オタであることが発覚。ここに、くるりの岸田繁さんを交えた三人で鉄道対談したら、これはなかなかパンチの企画だと思いますがどうでしょうか。ノーベル賞の田中さんも入ってもいいですが、いずれにせよ素敵な面子ですね。

とか言ってる数ヶ月の間にもたくさんの素敵な短編アニメが作られいるわけです。JAWACON関連で言うと、オタワ国際アニメーションフェスティバルの New Media Competition に青池さんとルンパロさんがノミネートされています。他にも『Happy Tree Friends』のKenn Navarroさんや『Dick Spader』のSukiさんなんかもノミネートされているようですね。また、のすさんのトップページがFLASHになっていたり、丸山さんの9月の作品もモーショントゥイーン依存から進化してる感じだし、いよいよFLASHも新本格路線が再興してきた感じです。

Studio4℃に目をやれば、携帯サイト用ムービー「宇多田ヒカル×森本晃司」の配信が 開始 されています(PHSだから見れねーっつの。とっととDVD化してくれ)。それにしてもビヨンド・カルタですよ。カルタ。このネタ、パクリじゃないですか〜セイ、セイ!

というわけで、ネタの新旧に関係なく、ウェブ巡回していて感動したものを感動したままに書き綴る日々です。

SubStressCat

(avi/04:59s/39.3mb) web
by Stress Team

潜水艦に住むおじいさんと猫と鳥の話。海の外から潜水艦の中へカメラは進む。するとそこには、潜水艦の中とは思えない人間臭い空間が広がっている(潜水艦の中でガスで湯を沸かすのはどうかと思うがw)。それが全編にわたって、ソプラノ歌手のレコードにのせて展開されるもんだから、いやでも大友克洋『メモリーズ』を連想してしまった。面白いのは、そういう荘厳な雰囲気とはまったく関係ない方向に物語が動くこと。こういう展開大好きだなぁ…と思ったら、これもフランス作品か。

New Worlds for Pontiac

(mov/01:02s/6.68mb) web
by Pleix

Pontiacという車メーカーのCM。こういう光の映像表現ってどうやって作るんだろうか? AfterEffectを買うかどうかを財布と相談し続けている僕には興味ある作品。昔はこういうのは、絶対個人レベルでは出来ないと思っていたんだけど、今では頑張れば出来るのかもと思ったりしてしまってる自分が恐い(浅はか)。邪推すると、Coldplayのプロモの流れを踏襲している気がしないでもない。

Havaianas

(flash) web
by havaianas

トップページにおいてあるFLASHってたいがい興味ないんだけど、ここまでトリップしまくりだと多少重くても繰り返し見たくなる。デザイン力のない僕にとってはこういうハイセンスな動かし方は羨ましいかぎり。ブラジル産かなこれ?

Keeping The Funk Alive 予告動画

(mov/00:40s/5.32mb) web
by Luke Hase

完全な予告動画。そして完全なセルシェードの3Dアニメーション。こういうの作りたいとずっと思っているんだけど、話を聞くと、3Dでこういうのを作るのはなかなか大変らしい。あと金がまだまだかかるそうな…。アニマス買うのにあれだけ悩んだ僕には夢のまた夢か。

Posted by Syun Osawa at 00:24

2005年09月17日

hellvenが復活し、MODの音を久々に堪能

エウレカセブンに挫折し(面白いところがわからないから)、『女王の教室』にハマった日々が過ぎ、気づけば9月も後半。ネットに目をやると 漫棚通信さんエマ問題 で炎上していたり…。エマ問題に関しては、内容もさることながら、発端は「言い方」だと思うわけで…。

hellven復活!

Debut (mp3/7track/48:45/69.0mb) web
by VA

これまで何度も休止と再開を繰り返してきた hellven が、ネットレーベルとして復活していたようです。しかも、その第一弾のEPがMOD時代のオールスターが勢揃いして、ちょっぴり興奮してしまいました。

以前から何度も紹介しているxerxesをはじめ、virt、hunz、epoq、funkymuskratなど、知る人ぞ知る面子です。一曲目の virtの作品 などは98年くらいのドリ〜ム系列のMODの匂いがよく出てますし、何よりhunzの歌声を久しぶりに聴けたのが嬉しかったですね。

draw the line (mp3/03:33/4.9mb) download
by hunz

相変わらず素敵な声をしてます。彼はFive Musiciansという伝説的なグループの元メンバーでした。当時の彼の『on me』という作品を、これまた有名なK.F.M.FというグループのWayfinderがリミックスした作品が僕の大のお気に入りです。

On Me (turnin remix) (it/05:09/743kb) download
by Wayfinder

あー懐かしい! 懐かしすぎて涙が出そうです。古いネタ ですが。


BEMODで紹介したxerxesの曲

the bell
x-rayed
presets
me and a gun (xerxes 2004 remix)

そもそもMODを知らないという方は こちら へ。

Posted by Syun Osawa at 23:36

2005年09月16日

四年生

木尾士目/講談社/漫画

四年生この作品が『アフタヌーン』に連載された98年頃は、僕がちょうどこの雑誌から離れ始めていた頃と重なる。作品の中で延々と続く恋人同士の会話劇を、当時どんな風に読んでいたかは覚えていないが、今こうして読み返してみようと思うくらいに心に何か留まるものがあった事だけは確からしい。

本作では、大学4年生の人間模様(恋人や友達)が淡々と描写されており、この時期を経験したことのある人なら作品に感情移入することは難しくない。突然「将来」を突きつけられて、苛立ったり、不安になったりする事は誰もが経験したことだと思うからだ。ただし、ここで感情移入しているのは、物語に登場する人物達にではなく、読者が思い出すあの頃の自分達に対してだろう。

私小説ならぬ私漫画的な振る舞いを見せるこの漫画に対して、僕が感じることは「つまらない」ということ。恋人同士の会話のつまらなさ、SEXしてる時の会話のつまらなさ、友達との会話のつまらなさ。そして、これから予想される人生(大学を出て、就職し、そのまま結婚、死ぬまで夫婦)のつまらなさ。

私小説ならば、そのつまらなさが作家本人に安易に向ってしまうのだが、そうではない。作品の中で提示されるつまらなさは、作品のつまらなさとも違うし、作家がつまらない奴だという意味でもない。作者はきっと、僕らが何となく「つまらない」と感じている日常に対して、考えて、考えて、結論が出ない様を独白しているのだと思う。現在連載中の「げんしけん」はどんな漫画なのだろうか? 完結したらぜひ読んでみたい。

Posted by Syun Osawa at 00:44

2005年09月14日

JAWACON 2005 その3

前回のつづき

Hairy Baby & Beauty Poo Synopsis

by 青池良輔

僕の座った席が会場の最後列ということもあり、字幕が全部読めなかった。残念。青池さんのブログの方で内容を補完。僕の好きなアクション・サスペンス物らしい。絵と音楽とちょっとした英語からの連想になるが、カット割りから台詞回しまで、どこか米産の匂いを感じた。声はカナダの劇団の人らしい。

物語の中盤までは漠然と『レザボア・ドッグス』だったり、ミラ・ジョボビッチだったりが頭の中に浮かんでは消えしていたのだが、子供が化け物としてキャラ立ちするラストの展開を見て、渡辺信一郎や北久保弘之なんかの日本のハードボイルドアニメの本流に真っ向勝負してるなぁと思って、ちょっと感慨を覚えた。

ただし、今回の青池さんの作品は「動き」を完全に捨てている。この点ついては後に述べるが、その捨て方が潔く、ウェブアニメというものを考える上で逆説的ではあるがとても示唆的な作品になっていると感じた。漫画か? それとも、アニメーションか? という話。

吉野の姫

by 丸山薫

とにかく絵に説得力がある。FLASHで絵を描くとセルアニメのような絵になってしまうので、丸山さんのような柔らかさと暖かさを感じさせる絵を描くのは難しい。こういう絵でアニメーションをやる人はつくづく奇特な人だと思うが(面倒臭いし…)、『老人と海』を作ったアレクサンドル・ペドロフに代表されるように、この地道な制作スタイルがセルアニメや3Dアニメでは感じることの出来ない感動を生むことは間違いない。

短編のアニメ作品を見るときに僕が気にする点が一つある。それは「この人はどういう方向を見て創作をしているのか?」ということ。もちろんそれは本人でないとわからないことだけど、丸山さんの向っている先に待っているものは、僕が追いかけているものともどこかで繋がっている気がする。そして、そこに待っているものは作画枚数だけが知っている。

情けない話だが、こちらの作品も青池さんの作品同様に内容を完全に理解できておらず、丸山さん自身に話の筋を教えてもらうという失態を演じてしまった。

Mari Mari

by 森野あるじ

何でも体調不良の中で強行的に作られた作品らしい。本人も満足していないと、会場で司会のルンパロさんが話していた。今回の作品はミュージッククリップ。森野さんの場合は、モーショントゥイーンを使った立体表現(2Dを3D的に動かす表現)が確立しているので、技法の方はとても安定感がある。その分、物語の方に感情移入できるので、ウェブアニメを「物語を消費するコンテンツ」と純粋に捉えたとき、萌え系の世界観も手伝って最もツボを押さえた作品であることは言うまでもない。

森野さんは、まんたんブロードというフリーペーパーで漫画の連載をされており、作品の方向性はアニメで作る物語と漫画で作る物語が相互依存している状況がはっきりと見て取れる。これは青池さんの作品にも実は言えることなのだが、このあたりの問題も含め次回からダラダラと「ウェブアニメを構成するもの」について考えてみたい。

Posted by Syun Osawa at 02:17

2005年09月13日

帝都物語

原作:荒俣宏/画:藤原カムイ/角川書店

帝都物語メディアミックスとは恐ろしいもので、一つの作品についた消費者をメディアを替えて何度も何度も引き込もうとする。今回の作品でいうなら、小説を読み、映画を見てから、この漫画を読むという感じだろうか。残念ながら僕はこの漫画で初めて『帝都物語』に触れた。

漫画版『帝都物語』は、この作品だけで帝都物語を作ろうという意識はあまり感じられず、全体的に散漫な印象を受けた。世界観と隠しネタでお茶を濁す角川書店らしい戦法は織り込まれているので、きっとそういう方向性の作品なんだろう(魔術解説や魔物図鑑、登場人物紹介にやたらページが割かれてるし…)。

そんな微妙な漫画の中で興味深かったところは、関東大震災が幻術的災いとして登場するシーン。阪神大震災をこういったネタに使うことは可能だろうか? マジメである無しに関わらず僕は可能だと思うんだけど、どうなんだろ…。あと、あとがきによると、この作品は映画より前に作られたらしい。にも関わらず、加藤保憲の顔が映画で加藤役をつとめた嶋田久作に似ているのだ。不思議。

作画の藤原カムイさんから連想するのは一つだけ。小学校のときに買った押井守原作の『犬狼伝説』のシルバーを全面に施した装丁の大判漫画。大友克洋の漫画より先に買ったこともあり、絵の緻密さと生々しさに衝撃を受けた覚えがある(こちらの漫画は後にアニメ映画『 人狼 JIN-ROH 』になる)。この人の画のタッチっていろいろあるけど、僕は『犬狼伝説』を筆頭にした冷めた劇画調が好き。

Posted by Syun Osawa at 02:03

2005年09月12日

転換期の作法

ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの現代美術

2005年8月2日−10月10日/国立国際美術館

転換期の作法東欧諸国の転換期の芸術っていうもんだから、チェコの「プラハの春」とかポーランドの「雪解け」とかを頭に浮かべながら参加したんだけど…。そういうイデオロギーの変遷みたいなものが透けて見えるようなわかりやすい展開を期待する方がマズかったのかも。

第一印象。ローテク。

一番大きなスペースをとっていたイロナ・ネーメトの「27メートル」という作品は、コードレスのヘッドフォンに街の音とナレーションが入っていて、その音を聴きながら定められた27メートルのセパレートされたコースを歩くというもの。悪くないアイディアだが、音に合わせて歩くスピードを僕の方で調整しなければならない。これだったら、sounding space展 のクリスティーナ・クービッシュ作「イースト・オブ・オアシス ─ 音への12の入り口」の方が空間をリアルに体感できる。こちらは空間に音が配置されており、ヘッドフォンをつけて動き回るだけで、音の空間を体験することができる。

他にもフラワーロックのような人形や「iners the power」という架空のフィットネス機器メーカーの作品が展示されていたのだが、どれも妙にローテクな感じがした。ただし「iners」の受動的作業装置というコンセプトは面白く、中でもルームランナーを改造した手押し車作業台型のルームランナーはローテクが逆に効いていたように思う。あと、たいした機械でもないのに、説明が妙にまわりくどくて哲学的なのもいい。

国立国際美術館ハイとかローとか関係なく、わりと楽しく見たのはセープファルヴィ・アーグネシュとネメシュ・チャパによるストーリーボード作品。これはピカソ「ラファエロとラ・フォルナリーナ」とかジャン・コクトーの漫画みたいに絵に言葉がそえられていて、一枚ずつ絵を追っていくスタイル。よくある形だけど、深く考えなくても楽しく見れた。あと、ミロスワフ・パウカの延々と続く壁(ところどころ壁から水が出ているのだが、壁の内側を見ることはできない)も神秘的だった。

てな感じで、それなりに楽しむことはできた。でも、パンフレットのあいさつ文にある「激動の時代を体験している中東欧地域の現代美術」という風には読み取ることができなかった。

チェコのアニメ作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの短編アニメ『 スターリン主義の死 』ほど戦闘的にいくことはないにしても、赤塚若樹さんによる同作品の評論文『 戦闘的シュルレアリストの賭け 』(『スラヴ研究』45号)で言及されている「重要なのは創造者が自分の中に持っている『蓄え』の内的な力です。」というようなところは感じたかったんだけど…。

結局はみんな幸せになると日和(ひよ)っていくんだなぁとか、現代美術はコンセプトと企画書があればそれだけで成立するのかなぁとか、いろいろ考えて、でも飲み込めず…。国立国際美術館は建物の造形が斬新で、しかも会場は地下にあってかなり広いという事だけが確実なものとして頭に残った。

Posted by Syun Osawa at 01:10

2005年09月07日

JAWACON 2005 その2

前回のつづき

バブルス

by 512kb

猿蟹合戦だと思った人は多いだろう。オマージュだと考えればその通りかもしれない。この手法に対する彼の力は絶大で、パロディやコラージュの切り口は鋭い。さらに空間の作り方や、画面に対するキャラクターの配置、物語の運びなども上手く、持って生れたセンスを感じさせる。

とはいえ今回のキャラクターは完全にオリジナル。立体感のある3Dの上に手書き感溢れるチープな2Dが重なる。こういう作品を3Dアニメの世界では「ローファイ」と呼ぶのだろうか。ぜひ呼んでほしい。

海からの死者 前編

by のすふぇらとぅ

のんちゃんシリーズの作品を上映会という形で、ウェブに先行して見れるというのは、ファンとしてはちょっと嬉しい。毎度のことだが、のすさんの作品の描き込みは凄まじい。爆破エフェクトは言うに及ばず、のんちゃんが走っていくシーン一つ取り上げてみても作者の思いが滲み出ていて感無量になる。

のすさんはアニメーション原理主義者である。動かすことでキャラクターに命を与えていくという、アニメーションの本質に誠実に迫っている。だから僕はのすさんの作品を見るたびに「アニメーションとは何か?」という問いを突きつけられ、自分の弱さを痛感させられるのだ。

Lido 砂の花

by ポエ山

2002年のDoGAコンテストで『quino』を見て、僕はアニメーションを作るソフトとして「FLASH」を選択した。そんな彼の数年ぶりの新作。残念ながら予告編であったが、冒頭の廃墟と化したビル群の立体的な動きから、薄ぼんやりと映るロボット、そしてタイトルへと流れる展開に息をのんだ。

「記憶を失った少年」と「孤独な少女」が滅び行く世界で出会うという、セカイ系の設定をど真ん中から踏襲したまま、メタセカイ系に至ってしまいそうな力強い内容。それは『 JAWACON公式ガイドブック 』のマンガにも連なる独特の世界観からビシビシ感じる。やさしい絵のタッチも素晴らしい。完成が待たれる。

つづく

Posted by Syun Osawa at 00:10

2005年09月03日

無言館「遺された絵画」展

2005年7月30日−8月28日/京都文化博物館

無言館「遺された絵画」展最近、戦争画というものにやたらと引かれている。その理由は藤田嗣治『アッツ島玉砕』を知ってしまったから。『アッツ島玉砕』には三浦建太郎も真っ青の壮絶な死闘が描かれており、僕は単純な動機でこの絵の持つ力に圧倒されてしまった。

戦争画は政治的・思想的な側面が強く、当時は戦意高揚のためのプロパガンダとして使用されていた。そのため美術史の中でタブー視される側面もあるようだ。しかし、そんなネガティブな作品群に対し、不謹慎ながら戦争を知らない子供の子供たる僕は、西南戦争を眺めるような目つきで戦争画と向き合おうとしている。それこそ、思想や戦争といった生々しいフィルターを外して。

で、無言館「遺された絵画」展。

こちらは戦争画ではない。どれも画学生が戦死する前に描いていた作品で、画家・野見山暁治さんの「絵として評価された絵ではないが、絵らしい絵」という言葉がピタリと当てはまるような作品だった。一番心に残ったのは池澤賢さんの「溶鉱炉」という作品。彼はフィリピン・ルソン島で戦傷死した(享年31歳)。

例えば、前田美千雄(東京美術学校卒)さんについて。彼は軍事郵便で妻宛に絵手紙を送っており、その数は700通にも及ぶ。興味深いのは、そこに描かれている絵の多くが戦争の惨状ではなく、フィリピンの美しい自然や町の様子が描かれていることだ。

みんな絵を描くのが好きなのだ。ある画学生は派遣された南国の美しさを前に、戦場であるにもかかわらず「画材を送ってほしいくらい」と軍事郵便に書いていた。当時、美術学校に行くなんてのは非国民以外の何ものでもないはずで、それでも彼らは絵を描きたい一心で画学生となったのだ。戦地から送られてくる軍事郵便を読むと、その思いが滲み出ており胸が詰まる。

僕は先ほど「フィルターを外して」と書いた。絵とはそもそも戦争の道具ではないし、そんなうがった思いで見ては本当の絵は見えてこないと思ったからだ。しかし、今回の絵画展でその思いは揺らいだ。戦地に行く数時間前、家の庭で妹をモデルにして「あと少し、あと少し」とせがんで描かれた絵を、僕はフィルターを外して見ることができるだろうか? そしてそれが本当に「絵を見る」という事なのだろうか?

「死」というフィルターは強烈である。「戦争」というフィルターもまた強烈である。僕はこうしたフィルターを一枚一枚取り外すことで、絵に向き合えるのだと思った。しかし戦没画学生の絵と向き合ったとき、その考え方に疑問が湧いた。

もしも僕の目にかけられたフィルターをすべて外したとき、そこに映っているものは「絵」だろうか? その疑問に対する答えは今もない。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 00:21

2005年09月01日

JAWACON 2005 その1

2005年8月27日/大阪産業創造館/move on web.実行委員会

JAWACON 2005「ウェブアニメ」という仮称の言葉を旗印にして、商業アニメとも美大&NHKアニメとも違う捉え方で行なわれた同人アニメのイベント。それがJAWACONだったと思う。コミケでさえ「同人アニメ」は肩身の狭い思いをしている中、いよいよ一つの大きな枠組みでもって語られるときが来たんじゃないでしょうか。よーするに、同人アニメの楽しみ方が、作る側も見る側もわかってきたっていう話です。

僕のブログに関して言うと、少し前に開催された DoGAコンテスト にしても、イントゥアニメーション にしても、結局、個々の作品の感想を書いただけで終わってしまっているのですが、今回ばかりはその意義についてちょっと考えてみたいと思います。つまり「ウェブアニメとは何か?」という事について。それについては一番最後に書く(たぶん)として、盛況だった4F上映会の感想などを上映順に。

猫と青年

by ひらら

線路のすぐ近くに住む若きバイオリン弾きと青年の物語。台詞はなし。効果音&クラシック音楽(曲名不明)と動きだけで物語を動かしている。作者のひららさんに聞いたところ、効果音も音楽もすべて効果音CDを使用しているらしい。

序盤のメトロノームの単純な音に合わせて猫が動くシーンや、クラシック音楽に合わせて激しく展開するオーケストラのシーンはアニメーションの王道を真摯に貫いていて、正直うなった。しかも、そうしたアニメーションの面白さを軸にしつつも、しっかりと物語を作ろうとしている。主人公の心を丁寧に描こうとしている姿勢にも感銘を受けた。

気になった点を一つ。青年が弾くバイオリンの手の動きは音楽に合っている(この時点で難しい)のだが、バイオリンを弾くということに対してそれほど焦点が当たってないような気がした。高畑勲監督の『 セロ弾きのゴーシュ 』あたりがいいライバルになるのかもしれない。「躍動感」は次回への課題だろう。

無人間

by 大沢駿

「意味不明」というまっとうな意見を頂戴しております。その通りです、はい。雑に説明しますと「作者自身(覆面野郎)がもう一人のネガティブな自分(おたく)を見ている」という感じでしょうか。誰かに規定された自分の断片。それが「おたく」なのだろうか? …てな具合に壮大に妄想を膨らませたんですが自己完結できず、実力の無さを露呈する格好になってしまいました。

書けば書くほど自虐的になるので、一つだけ間抜けな話を。最初は台詞入りを予定しており、素人が集まり音入れも少ししたんですが、あまりに棒読みのため断念。急きょミュージッククリップにしました。ちなみにミュージッククリップにエンディング曲を重ねる奴は馬鹿だと思います。僕です、すいません。あまりにもショボい作品なので、今のところお蔵入りになる予定です。

味よし

by 蛙男商会

蛙男商会さんの作品に「おもろいわぁ」以外のコメントは不要だと思う。ネタは尽きないし、今回にしても反戦から味よしに行って、最後に反戦でオチをつける展開は素晴らしい。竹熊健太郎さんは『 JAWACON公式ガイドブック 』の中で蛙男商会さんの作品について「吉田戦車風」と語っているが、その相対化すら凌駕するほど自分のギャグ世界を完成させている。

今回の上映会に参加された方の作品を見ると、FLASHの機能を大きく逸脱したようなアニメ作品が目に付く。そんな中で、蛙男商会さんのようなライトでスピード感がある作品こそ、実はFLASHというソフトが最も生きるのだと、改めて実感した。さらに『サウスパーク』を例に挙げるまでもなく、宮崎吐夢さんの『今夜で店じまい』のように脚本の面白さに合わせて絵を当て込んでいくという形のギャグ作品は、今後も「伸び」が期待される領域だと思う。それはそもそも2ちゃん系作品群の本流とも言えなくないが、まぁ…それはそれで。

つづく

Posted by Syun Osawa at 00:49