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2006年01月31日

日本の冬に一瞬の夏

ボクシング in 後楽園生まれて初めてのボクシング観戦。

ヤバ、青春だわ。試合もさることながら会場の雰囲気とか観客とか、選手のストイックな体とか。何もかもがノスタルジー。何だろこのやさぐれたマイナー調の空気感は。ニュージャーナリズムなんていう気持ちの悪い文体の一群が生まれる理由がわかる気がした。

くそたるんだ体に言い訳ばっかりしている根暗な自分が情けなくなる。ヤンキー最高! DQN最高! つぎ生まれ変わったら絶対にヤンキーになって、ボクシングを始めたい。

Posted by Syun Osawa at 00:48

2006年01月29日

短編アニメと40歳以上のFLASHアニメ

プチシアターDVD来たっ!

3枚組のアニメ短編集でして、中には僕のお気に入りの『岩のつぶやき』という作品が入っていたりします。最近は短編アニメを集めたDVD作品が結構リリースされているらしく、アニオタにはありがたい時代ですね。

商業、インディーズ問わず、アニメの幅は確実に広がっているという印象で、その流れの一部分はおそらくFLASHというツールが担っているんでしょう。僕もFLASHでアニメを作ってます。

WEB MAKING BOOKS BLOGの記事 にある「40歳以上のFLASHアニメ講座」の系譜で、境祐司さんが「 Serendipiter 」を作られていたりして、これがなかなか面白そうなんです。また氷川竜介さんも同人誌『ロトさんの本 vol.14』の「アマチュアアニメの可能性」という文章の中で似たようなことを語っていたし、40歳以上の人もアニメを作り始める流れができると面白い作品が生まれそうです。

50歳になってストーンズのコピーバンド始めるのもいいですが、アニメ作り始めるってのも一興かと。少なくとも僕はアニメと名がつけば何でも見たいタチなので。そういう種の作品はかなり見てみたいです。

Posted by Syun Osawa at 00:16

2006年01月27日

トレース×トレース

ペタッとした絵で、大量のモブを描きたい欲望にかられる。

トレース練習

女性の服って悩む。果たしてこんな格好を女性がするだろうか? この配色を良しとするだろうか? 髪型はあり得てるのだろうか?

トレースならば、背景も人物も同じはずだが、背景だけは描く気がまったく起こらない。だけど、描かないことにはアニメの向上は望めそうもないので、いろいろ本を購入。一念発起できるといいんだけど…。

Posted by Syun Osawa at 00:13

2006年01月26日

文化人たちの大東亜戦争 ― PK部隊が行く

櫻本富雄/1993年/青木書店/書籍

文化人たちの大東亜戦争満州事変から太平洋戦争終結までのいわゆる「十五年戦争」の時代、作家や画家などが文化人部隊として徴用された。この本はその当時の資料を集めたもので、データベース的に氏名と作品タイトルを列記している。

ペン部隊として参加した人の中には有名な人がたくさんいる。吉川英治、横光利一、菊池寛、火野葦平、大宅壮一、林芙美子、海野十三、井伏鱒二、石川達三、山本荘八などなど。映画人としては小津安二郎さんも従軍している。筆者はこれらの人を挙げて「死の売文家」というレッテル貼りをしているし、他の著作でも文化人の戦争責任を追求している本ばかり出しているようなので、そういうマニアの人なんだろう。こういう活動を正義だとは僕にはどうしても思えないし。

著者の意図をどう汲み取るかは各人の判断だと思うので脇に置くとして、この本に列挙された資料を見ると、実にたくさんの人が戦争プロパガンダ的な文章を書いたり、関わったりしていたことがわかる。例えば、文芸評論家の平野謙さんも『婦人朝日』(昭和17年8月号)や『現代文学』(昭和17年3月号)で大東亜戦争を謳歌するような文章を書いている。また、東条英機さんが「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すことなかれ」と示達した『戦陣訓』は島崎藤村が校閲し、志賀直哉、和辻哲郎が添削をしたらしい。

これに関連して、従軍経験のある大宅壮一さんが『太平洋戦争名画集』(ノーベル書房)の中で「文化人部隊の仕事」という小文を書いている。その中では、上に挙げた有名人の他に、川端康成さんも文化人部隊として従軍していたことが書かれてあった。

このあたりの時期の文化人たちの活動の是非を巡って、戦後いろいろとやり合ったらしいが、悲しいかなそちらの方(戦後団塊の世代)の言説は結局何も残ってない。いまだに日中戦争の話がメインで、その賛否について議論されてるくらいだし。「後世に残るかどうかを決定する権利」は大人の思惑とは関係なく若い世代に委譲されていくので、若いと思っていた全共闘世代もいつしか年をとり、それを判断する権利を次の世代に渡すことになってしまった。その世代もいつしか年をとり、また次の世代へ…という風に受け継がれるわけで、あと100年くらいした後に、この時期のことがどう話されているかは、結局のところ誰にもわからない。残ったものが歴史になるんだろう。嘘も真実もない交ぜにして。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 00:55

2006年01月24日

キリクと魔女

監督:ミッシェル・オスロ/1998年/フランス/アニメ

キリクと魔女配色にしびれた。影絵アニメの進化系。本物の影絵アニメは小学生の時に 何度か 見ただけで、本当に進化系なのかどうかはよくわからない。通常の影絵は画面の情報を極限までそぎ落としているのにたいし、こちらは描きたい部分は極限まで色鮮やかに描いている。究極のハイコントラスト作品。魔女の使いの丸木舟が出てきたときは、完全にヤラれた。

その後の歌と踊りで完全にオスロの世界に飲み込まれる。フェミ・クティ&フェラ・クティに通じる音楽も素敵だし(というよりフランス産アフリカ音楽か)、踊りとともに歌われるアホみたいな内容の歌詞もいい。とにかくミュージカル的に歌われる劇中歌はことごとくカッコよくて、「キリクは小さい、キリクは不良、キリクはいたずら、キリクは大きくない」なんてバカな歌を村人がみんなで歌うんだな。

影絵の踏襲はキャラクターの動きにも現れていて、通常のアニメの動きもするんだけど、横の動き(影絵的な動き?)を徹底しているし、魔女の家の下を抜けるアリの巣の表現はJAROのCM以外で見た事がない。稚拙なようで稚拙でない。

ラストの展開は、僕にはちょっと違和感があった。キリクが大人になり、魔女を妻にするのはいいとして、その後、二人は堂々と金ピカの姿で村に帰ってくる。魔女は普通の女性になりましたって事で。たしかに物に変えられた男は元に戻ったけど、あんた達のつけている宝石はみんな盗品ですよ、と一人突っ込んだ。魔女が普通の女になって戻ってきたとしても、積年の恨み辛みで袋叩きにあうのが世の常じゃないのかな? とはいえ、そのカタルシスは子供の夢としては厳しいか。

Posted by Syun Osawa at 00:08

2006年01月22日

タブレットの功罪

FLASHでアニメーションを作るとき、着色だけでなく、線画までタブレットで描くほうが早い。ラフで描いたものをスキャナで読み込んで本線をタブレットで描く。つまりトレース。これを写真でやるとどうなるか?

トレース練習

この絵の元ネタが即座にわかる人はなかなかアレな人だと思いますが、それはさておき、主線をタブレットで描くかぎりにおいて、その元素材が写真だろーが、自分で描いたラフだろーが、もはや関係ない。これがPCとタブレットのもたらした最も大きなものなんだろうと、最近思う。

タブレットを使い始めて3年近く経って、ようやくスピードが早くなって来た。これを描くのに40分。トレースなのに絵が上手くなった気になるから恐ろしい。これを動かせて初めてそれなりなんだろうけど、それができないのがなんとも悲しい。

Posted by Syun Osawa at 00:11

2006年01月21日

雪が降りまくり

「戦争画RETURNS」シリーズを作られている会田誠さんのトークショウに行く予定だったが、あまりの雪のために取りやめ。戦争画関連 のネタ集めに画集を買って我慢するか。

それにしても、すごい雪だな。これ表現できたら最高なんだが…。

雪

最近の素朴な疑問など
・「ネズミーランド」は商標登録されているか?
・国民的美少女2003グランプリの河北麻友子ってどこいった?
・任天堂の「百人一首」アニメ制作はどうなった?
エロゲーライターさんのサイト で公開されている小説が面白い
エヴァのグーグルビデオ

Posted by Syun Osawa at 17:50

2006年01月20日

惑星大怪獣ネガドン

原作・監督・制作:粟津順/2005年/日本/アニメ

惑星大怪獣ネガドン物語の舞台は昭和100年の日本(つーことは昭和天皇は123歳かよ!)。CGの安っぽさを昭和の特撮の安っぽさに置き換えてるところに得体の知れないパワーを感じる。

博士の皺とか口の動きにいちいちリアリティがあるし、アップの多用も往年の特撮モノの効果を利用した手抜き(工夫)で上手い。カメラの水滴の効果などの小ネタもすごく効いてる。『 ファイナルファンタジー 』にかけられた膨大な予算と人員に対して、こちらの作品は一人で作ったわけだから、これも一つの進化の形と言えるのかも。

とまあ、3D方面では勉強になることばかりだが、物語の内容となると特撮オタクでも怪獣オタクでもないので、その深さには入り込めなかったりするのが残念なところ。宇宙怪獣に戦いを挑むとき、博士が一人でメカのセッティングから発進までやってたり(じゃメンテも一人か?)、無駄のない体をしたメカが宇宙怪獣を引き連れて宇宙まで飛んでいったりするところに、何やらの笑うところがあるのかもしれない。

宇宙へ飛び立つときのスピードが「第一宇宙速度」なのは、地球の周りを衛星みたいに浮遊していないと上手に闘えないからなのかな? 闘わなくても、宇宙の果てまで飛んでいけば良かったのかもと思ったり、思わなかったり。ラストの夕日の映像はかなり見応えあり。絵も相当上手ですねこの人。

エンドロールの中のスタッフにどういう人が絡んでいるのかを見ると、インディーズアニメ界の権力構造の一端が見て取れて面白い。ちなみに特技考証を担当している加藤健二郎さんは 東長崎機関 の人とは別人みたい。ちょっとビックリした。

Posted by Syun Osawa at 08:48

2006年01月18日

‐Nより佐々木さんの新曲リリース、カバーはポエ山さん

[mn008] masaya sasaki - picnic plan ep

masaya sasaki - picnic plan ep-Nの新譜が出ました。

2006年一発目。佐々木雅弥氏によるEPです。カバーFLASHはポエ山さん。僕の中ではかなり最強の組み合わせで、孤独感と遊び心が見事にmixupされており、口元が緩みっぱなしでした。

-Nの活動自体も CDRのプレゼント企画 があったり、qwartz の授賞式 のために-Nのメンバーがフランスに渡ったり、今年も面白い展開が期待できそうです。

新譜の方に話を戻しますと、僕はこの作品の紹介文にすっかりやられてしまいました。

僕らのしてる事はいつも間違いで、大抵それに気付くとき、僕らはその事象から遠ざかってしまっている。

どこか消えて行った日常の断片、その「かけら」から日常を逆再生しようと試みる。出来上がった形はいつも怪物みたいにいびつで、不安定だ。

まぼろしのような、まるで想像上の動物ような、新しい音についていつも考えている。それはまだ僕の所には訪れていない。

今現在の僕はとりあえず今持てる(とても最適で、かつ不安定な)形を保ち、そのうち別の姿へと移行していく、まるで雲のようだと思う。

僕がネットレーベルを好きな理由の一つとして、テキストの素晴らしさというのがあります。データベース的なテキストは存在せず、どこまでも私的で詩的でユーモアがあふれています。表題曲『panic plan』のノイズ加減が気持ちいい。

とか言ってたら…

DoCopenhagen : Top 50 Music Videos Of 2005Digital DNA

PVがザザッと紹介されていた。アニメ関係も多くどれも見ていて楽しい。そして映像とは関係なく、お気に入りのM83によるPV「Don't Save Us From the Flames」も選ばれていて感激(ブログ主が勝手に選んでるだけだけどw)。

映像的には、ランキングには入っておりませんが、Modest Mouse - Ocean Breathes SaltyMUSIC-VIDEODROME]あたりが印象に残っています(実写ですけど)。

もちろん真性のアイドルオタク的にはAlizeeのPV「 Moi Lolita 」(監督:Laurent Boutonnat)を見て、シャルロット・ゲンズブールの残像を見ながら興奮しまくっているわけです。中高生のときに見まくっていたシャルロットの映画の雰囲気って、よーするにフランスの田舎風景と、それをつまらなく思ってる女の子の日常っていう構図があったんだよなぁ。

Posted by Syun Osawa at 00:08

2006年01月16日

警察戦車隊 TANK SWAT 01

監督:ロマのフ比嘉/2006年/日本/アニメ

TANK S.W.A.T 01DoGA曰くパーソナルCGアニメに希望の光があるとしたら僕は彼だと思うんだよなぁ。僕は彼の初期作品が大好きだったし。昔の作品になればなるほど好きになっていくという逆向きのベクトルは横に置くとして、彼がやろうとしている視線の先については魅力を感じる。

萌え絵に関しては、世間のレベルが上がりすぎているので「ゆめりあ」レベルのものに仕上げないと苦しいのではないかという気もするし、つーか、いらなくね? 萌え絵なんて。僕はしずかちゃんでだってオナニーできるもの。

内容の方では僕的には笑えるツボが多かった。笑っていいのか悪いのかわからんところに、ツボがあってそれはたぶんロマのフさんがやりたいところの一つかもと思う。『あずまんが』じゃないけど、それこそ1エピソードのギャグを連ねてストーリーを構成していって、最終的に『ドミニオン』ブランドもストーリーも食ってしまうような展開だったら、もっと素直に笑ってた。

というマイナスめな感想もありつつ、でもこの作品は大きいことやっててそこが僕には好感触。人間をたくさん描いている。横道を楽しんでる。言い方は悪いけど「クオリティの高い禅問答」がパーソナルアニメとして定義されてしまいそうな昨今にあって、『警察戦車隊 TANK SWAT 01』はアニメの大枠の中で孤軍奮闘しているように見えた。僕の中で前者は寒冷前線、後者は温暖前線。求心力の強さは両方にあれど、それぞれは違った性質を持っている。そして僕は温暖派。

Posted by Syun Osawa at 00:18

2006年01月14日

たずねてみませんか 中野の名所・旧跡

中野区立歴史民族資料館/ブックレット

中野の名所・旧跡中野って昔は多摩郡中野村だったのかよ!

…みたいな、ほとんどどーでもいいことがシンプルに書いてある無料ガイドブック。こんな事を専門書を借りて長々と読みたくないから、ザッと歴史を知りたい人にはかなりの良品。僕の出身地である京都では、東京は「歴史のない街」で、江戸幕府が出来るまでは何もなかったと思っている人が少なからずいるし(僕もその一人だった)。

で、わかったことは、中野は「江戸」じゃなかった! 新宿が宿場町だったんだから、さらに遠い中野が江戸じゃないのは当たり前といえば当たり前か。さらに、徳川五代将軍・綱吉の時代には30万坪にも及ぶ野犬の犬小屋だった! 日本初のサファリーパーク!

あとは…あとは…うーん。名所もいろいろ載ってるんだけど、どれも地味だなぁ。とりあえず「中野」という名前が初めて文献に登場したのは「熊野那智大社米良文書」(1362年)の「中野郷」が最初らしい。歴史上は平将門の天慶の乱(939年)の頃だそうな。ほかにも野方、沼袋、江古田、新井、上高田などの地名の由来も載っているが…地味だ。地味すぎる。寝る前に読んでる『伝説と奇談 東京編』(山田書院)にも、今のところ中野関係の伝説は登場していない…。

Posted by Syun Osawa at 00:33

2006年01月12日

ペイル・コクーン

原作・監督・制作:吉浦康裕/2006年/日本/アニメ

ペイル・コクーン「新海誠の次は吉浦康裕だ!」なんて流れが出来てしまいそうな作品。そして『ほしのこえ』以上にハードな印象を受ける。いやホントに。それは『キクマナ』のプロットを読めばわかると思う。

鉄路の彼方 』の時にも書いたとおり、この作品でも小さな世界を丁寧に組み上げている。SF耐性のない僕が言うのもなんだけど、この展開は絶対に正しい。よーするに「自分と自分」か「自分とあなた」の小さな物語。そういうのを「セカイ系」なんて一括りにする人もいるが、それを正確に理解できてない僕にはそうだとも、そうでないとも言えない。ラストの台詞はなかなか素敵。僕は彼のアニメの最後の持って行き所がけっこう好き。ただ、なぜ彼らのいる方の場所に雲があるのか、ちょっとわからなかった。シャトルの煙? SF耐性も読解力もない僕には無理なので考察はしないが、自分達の生きている場所への思いが実は『ほしのこえ』とは対極で、セカイ系と言っておきながら実はそうじゃなかったりする(適当)。

今回の作品は吉浦作品の中だと『キクマナ』より明快で、『水のコトバ』よりも深い。画面的には新海さんの『ほしのこえ』と同様、動画の部分を3Dの背景やらに割り当てつつ、1、2人単位の人物の動画を効果的に使用するという方法の作品(こういうのを何と言えばよいか…)としてはある意味で極点とも言える。逆にこの最小パートで構成される物語世界が個人制作アニメの前にそびえ立つ大きな壁のようにも映る。

その壁は何か? 技術か? それともストーリーか? 世界観? 人間の描き出し方…うーん。本来ならば「個人制作アニメ」の壁ではないのだけれど、いつの間にか個人制作アニメの一群というのはこういう人達(僕の中では青木雄二とは逆の人。私の個人主義)で成立しているように見えてきて、彼らが築き上げた世界の壁が個人制作アニメの壁に見えてきた(妄想です)。

だって目の前にあんな可愛い娘がいるのにさ。僕があの状況ならきっとあの娘の髪の匂いとコートの中の膨らみのことしか考えないと思う。2人もいるのに。僕ならどうしたって絶望的には生きられない。たとえ世界がどんな状況にあったって。

あと、この作品には劇中歌がPVの形で登場する。エイベックスが後ろについてることから新手のメディアミックス戦略かな? メディアミックスの間の手がこんな所にまで! とか思ったがどうなんでしょ。

Posted by Syun Osawa at 00:26