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2010年10月31日

マンガ脳の鍛えかた

門倉紫麻/2010年/集英社/A5

マンガ脳の鍛えかた「週刊少年サンデー」編集部から出版された『僕のまんが道』(全2巻)を買ったのは小学校のときだった。その本はマンガ家のインタビューを収録した本で、僕はこれを読んで初めてマンガ家というのがどういう人たちなのかを知った。以来、僕は描かれたマンガと同じくらいマンガ家が好きである。

今回の本もそんなマンガ家好きにはたまらない内容だった。インタビューの内容は『俺のまんが道』ほど深堀りされていないが、現在のジャンプ系の人気マンガ家たちのインタビューを載せているという点で大変貴重だと思う。

インタビューの項目は、マンガを描くときに使用する道具の話だったり、どのようにネームを切るか、どれくらいの期間でマンガを仕上げるかといったもので、実際に同人などでマンガを描く人や、プロのマンガ家を目指す人を対象にしているのだろう。僕も一時期本気でプロのマンガ家を目指していたことがあったので、彼らの仕事場を写した写真の一枚一枚がズシンと胸に来た。

どの写真も「マンガを描く」というただ一つの目的のためにチューンナップされた部屋である。自分に与えられたすべての時間をすべてマンガに差し向け、その部屋でひたすらマンガを描き続けている彼らの姿勢を見て、僕はすべての面において甘かったと改めて感じさせられた。

デビュー数年の新人から、デビュー何十年の大ベテランまで、すべてのマンガ家たちが「面白いマンガを描きたい!」というシンプルな目的をモチベーションにしていることも素晴らしいと思う。本宮ひろ志が「デビューして時も、今も何も無い」と書いていたが(売れるための黄金の法則などないという意味で)、こういうところに日本のマンガの強さはあるのだと思う。

Posted by Syun Osawa at 00:42

2010年10月24日

できる人の要約力

本間正人、浮島由美子/2008年/中経出版/四六

できる人の要約力僕はゼロ年代、『 動物化するポストモダン 』や『 ゲーム的リアリズムの誕生 』の著者である東浩紀氏に傾倒していた(一時期ほどではないとはいえ、今もわりとチェックしている)。その理由はいくつかあるのだが、イベントなどでの暴力的な要約力もその一つだ。

トークイベントなどで登壇者が難しい用語を用いて話を展開したとき、彼は「つまり簡単に言うとですね〜」と僕のような下界のものにでもわかる言葉でザックリとその要旨を説明してくれるのだ。この情報処理能力がズバ抜けていて、そのパワーに毎度感心されるのである。

そんな東氏の技術を少しでも勉強してみたいと思って、「要約力」でググッて見たら、そのままズバリのタイトルの本が見つかった。それがこの本である。この手の本は自己啓発系の本と同じで、モチベーションを上げるだけ上げといて、実は中身はほとんどない…みたいなのが多いのだが、この本はわりと要約力を身につけるための導入本として機能していたと思う。

で、要約力が身につくうんぬんとは別の次元で、例えば教材やテストを作る上でもなかなか参考になる本ではないかとも思った。PISA型テストなる意味不明なテストが流行りだしている昨今、世の中にあふれた情報をいかに処理するかということもなかなか必要なスキルだと思えるし、そのための要約力を身につける問題というのは案外面白いかもしれない。

例えば、地図を見せて、目的地までの行き方を簡潔に説明させるとか、商品の基礎情報から宣伝用のPOPを作ったり、中学生向けの説明書を作るなど、目的に応じた要約をさせるなんてのもいいかもしれない。

ただ、要約力と言うと聞こえはいいが、情報を取捨しているために、どうしても抜け落ちてしまう情報は出てしまう。結局どこに焦点を当てるのかというフレーミングの問題になってしまうので、一見うまい要約だと思っても、異なる立場の人たちから別々の突っ込みが入るという事態も十分に考えられるのだ。この力は情報社会を生きていく上で必須だと思えるが、しかし、決してベストな方法でもない。要約すればするほど大事な情報が抜け落ちていっているかもしれないという可能性については、常に心に留めておく必要があるのだろう。

Posted by Syun Osawa at 23:17

2010年10月23日

川本喜八郎 人形と生きる

2010年10月16日/16:00−21:30/杉並公会堂・大ホール

川本喜八郎さんを偲ぶ会ICAF2010 の川本喜八郎氏を偲ぶ会に続いて、アニドウ主催の偲ぶ会に参加。川本作品の上映とトークだけで5時間半w 「どこの音楽フェスでしょうか?」ってくらいの長丁場だったけど、内容が濃密であっという間に時間が過ぎていった。

僕は川本喜八郎氏の作品は数えるほどしか見たことが無い。もともと立体のアニメはほとんど見ないからだ。今回まとめて彼の作品を見たことで、わりと初歩的なところで立体のアニメーションについて考えさせられた。

立体アニメーションと言うとかなり限定されるので表現が難しいのだが、今回上映された作品の中には大きく分けて3つの表現スタイルがあった。1つめは人形を少しずつ動かして1コマ1コマ撮影するスタイル。2つめは人形劇をテレビドラマのように撮影するというスタイル。3つめは人形劇を劇場演じたものを撮影するスタイル。3つめはドキュメンタリー用の映像だったので少しズレるかもしれないが、前の2つは彼の表現スタイルの最も代表的なものだ。

僕はこの人形劇と人形アニメーションの違いについてこれまでほとんど意識したことは無かったのだが、今回いくつかの作品を見て、この表現にはかなり大きな違いがあるように思った(詳しくないので、ここでは深く触れない)。

作品のチョイスの問題とはいえ、人形アニメーションのほうが人形劇よりはるかに静的だし、内容も暗いw 高畑勲監督が「正直、三部作は好きじゃない」と偲ぶ会でぶっちゃけてたが、川本氏の描く情念の世界と人形アニメーションの持つ生気の無さ(人形劇に比べて)があまりに見事に融合していて、本当に気持ち悪かった(いい意味でw)。

立体に関しては、川本氏の作品はおろかアードマンなどの代表的な作品も見てない体たらくなので、こういう脊髄反射的な感想を書く前にもうちょっといろいろ見ないとね…。

あと、ICAF2010の感想 でもチラッと書いたが、インディペンデントなアニメに携わること自体がろくでもないというか、食えないことが前提になっているのは今も昔も変わっていない。にも関わらず、長きにわたって創作意欲を持ち続けながら、何をやってるんだかよくわからない抽象的な人たちがこの業界を支え続けている。僕はこういう制度化されていないオルタナティブな世界はとても好きだ。今回のトークショーの中でもその緩い感じがよく出ていて、とても良かった。

Posted by Syun Osawa at 02:17

2010年10月19日

マネジメント ― 基本と原則 [エッセンシャル版]

P・F. ドラッカー/訳:上田惇生/ダイヤモンド社/四六

マネジメント今世間を騒がせている岩崎夏海『 もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 』があまりいい導入本だったので、その流れで本家の『マネジメント』も読んでみることにした。

僕は日常的にドラッカーのファンであることを周りの人に話しているのだが、実際に彼の著書を読んだことがあるのは『 「経済人」の終わり 』だけだったりする(しかも、これは全体主義について書いた本だ)。

それでも、経済誌やテレビでドラッカーが取り上げられるとき、引用される言葉にいちいちグッと来るところがあって、気づけば彼の教えは仕事をしていく上での重要な指針となっていた。彼の言葉は、日本の実社会で流布しているテーゼとは少しズレている。しかし、そのズレこそが、僕が普段仕事をする中で違和感を感じているところでもあるために、ドラッカーの言葉がいちいち「そうそう!そうだよね!」ってな風にして琴線に触れてくるのだ。

そういうグッと掴む言葉はこの本にも満載だった。職場の中での社内政治や、リスクを取りたくないがゆえに行われる仕事分配、そういったものが日本特有の重層的なコミュニケーションの中に絡め取られて見えにくくなっている昨今、彼のシンプルな言葉は僕に勇気を与えてくれる。

何を仕事と呼ぶのか? 規定の時間に作業をしていればそれが仕事なのか? あなたはそれを仕事と呼ぶのか? こうした疑問もないままに、仕事の成果とは関係ないところで、組織が構築されていく違和感。リスクを取らない者が、成果を重視するはずの組織の中でリスク管理をしている不可思議さ。

…こんなことを書くと、だんだん会社に対する愚痴っぽくなってよくないなw ともかく、ドラッカーの言葉は僕がモチベーションを落とさずに仕事をしていく上でのサプリメントである。今回は『マネジメント』とはいえ短縮版を読んだだけなので、気合を入れてあと何冊かガッチリ読んでみようと思う。

Posted by Syun Osawa at 00:26

2010年10月16日

Roll Together vol.3

2010年10月11日/16:00−19:30/渋谷Glad

Roll Together vol.3Saori@destinyが対バンで出るという流れで参加。今回参加のミュージシャンは全6組で、Saoriは3番手だった。前回前々回 あたりのライブを通じて、僕は彼女のパフォーマンスが俄然パワーアップされた印象を受けていて、そのせいか、今回の対バンでも彼女はかなり独特の雰囲気を放っていたように思った。それだけ、『World Wild 2010』というアルバムと、シンセ2台を加えたライブ仕様の布陣が上手く作用しているのかも。

他の面子は完全に初見だった。会場に少し遅れて入ったために、1番手Elephant Girlのライブは最後の曲しか聞けなかったが、なかなか雰囲気のあるコンビだった(男女コンビって、何で男が演奏で女がボーカルなのかね)。今これを書きながら、Youtubeで他の曲も聴いている。なかなか良い。

2番手の千城は「ちひろ」と読むらしい。肩掛けキーボードの人を従えてのパフォーマンスだったのに、音が微妙に篭っててカラオケ風な感じだったのはちと残念な感じだった。チラシのプロフィールを見ると、楽曲提供をしているのはMad Capusel Marketの室姫深氏らしい。

3番手のSaori@destinyに続いて出てきたSherryは、このイベントの中では微妙に方向性がズレている感じで、アイドルヲタの中でも少女時代とかそっちのノリが強い雰囲気だった。とりあえず、ヴィジュアルはかなり良いw あと、ポップなダンスミュージックの路線の中でも、ど真ん中を貫いていて文句なし。個人的な興味は、あの路線(米産直輸入路線)をどれだけ日本独自に咀嚼するのかってところにあるんだけどね。例えば少女時代は、完璧に日本の「可愛い」を韓国風にリアレンジした上で、米産アイドルポップの上にそれを加えている。

5番手の星のオトメ歌劇団は名前だけは知っていたが、まさか渋谷Gladで見れるとは思わなかったw ハロプロ、AKB48路線のいわゆるアイドル戦国時代に名を連ねているユニットなんだと思う(事務所がバラバラという意味では、完全にAKB48路線かな?)。プロフィールにメンバーの中田麻日がAKB48の中田ちさとの実姉だと書かれていて、僕はそのどちらも知らないというヘタれっぷりなので、このユニットについてはもうちょっと勉強してから、別の場所で見たほうがよさそうな感じ。

Dasisy×Daisiyは浅倉大介&西川貴則路線の雰囲気出しとるなぁ〜と思って聴いていたら、そのままそうだった。この人は喋りがいい感じ(もちろん歌も)。このイベントはこの人が所属するポニーキャニオンが主催するイベントだったのね。

…とまあ、ガールズユニットをガサッと集めてみたら、どれも似たり寄ったり…という風にはならず、案外どのユニットもそれぞれの個性が出ていて楽しめた。ただ一点気になったことがあった。それは最近ずーっと気になっている事なんだけど、ヲタ芸の変わらなさについてだ。

AKB48が、ハロプロから進化していったヲタ的コミュニケーションをすくい上げ、ヲタのために最適化されたユニットを目指して成功を収めたことは記憶に新しい。過去のアイドルたちのキャラクターをデーターベース化し、その中から好きなものを選んでヲタに消費してもらうという状況は、アイドル業界が東浩紀氏の『 動物化するポストモダン 』の世界観に近づいているように見える。その状況にかなりヤバい感じもするのだが、僕はこの方向性をメタ的に乗り越えようとしているももいろクローバーにハマっていることもあって、わりと肯定的に見ている。

ただ、その当の主役(もはやヲタが主役なのだw)が打つヲタ芸が、中途半端にバリエーションに富んでいて、しかもほとんど更新されていない。もしかしたら、僕が知らないだけでヲタ芸は恐ろしいほど進化しているのかもしれないが、僕がよく行く地下系のアイドルイベントでは、長年見ているゆるいヲタ芸をする一群が最前列のほうにいるだけである。

僕はこの状況を宇野常寛氏の『 ゼロ年代の想像力 』でのセカイ系批判と同じような事態として捉えている。では、それをどのように乗り越えるのか?というのが次の問題になるわけだけど、僕はそのことについてはさっぱりわからない。ただ言える事は、今も変わらず2chの狼板が機能していて、これを超えるメタコンテンツが無いということだけである(サイゾーの記事は狼板の焼き直しに過ぎない)。

Posted by Syun Osawa at 10:38

2010年10月15日

小桃音まいインストア・イベント

2010年10月3日/19:00−19:40/ishimaru soft 本店 8F

小桃音まいインストア・イベント秋葉原の石丸イベントって久しぶりな気がする。階段の上がり方が微妙に変わってた事と、少し遅れた事とで、入り方がいまいちよくわからなかった。で、7階のホールでやってるのだろうと思って行ってみたら、予想とは違う感じの曲を歌っていて、よく見たら飯田里穂だった。おおっ!w

で、小桃音まいですよ(8階のフロアも随分様変わりした気がする)。名前はずっと知っていたんだけど、今までちゃんと聴いたことがなくて、今回ようやくイメージがガッと繋がった。最初に登場した3人もそうだけど、かなり高レベルにヲタ芸を煽るわけね。あと、「恋愛サーキュレーション」のダンスは若干、踊ってみたの踊り子・馬琴の振りが混ざっていたように思うが、どうなんだろうか。

これを書きつつ、今回の新曲「コズミック☆UNIVERSE」をループさせている。作詞・作曲が桃井はるこということで、ぱふゅ〜む時代の「アキハバラブ」なんかを思い出した。良くも悪くも桃井色が強く出ていて、僕はわりかし嫌いじゃない。アニメ業界の楽曲との親和性も高そうだし、ヲタ芸も許容ということのようなので、そっちの方からのファンが多めなのかな(適当)。まぁ…よくわかりません。

最近ちゃんとアイドルの楽曲を聴き込んでいないので、どういう人がどういうタイプの曲を歌っているとかはよくわからない。そういうコンテクストを網羅的に繋げて考えるのも大変だし、年齢的にそういう事にモチベーションを保ち続けるのは無理なので、まぁ…適当に聴きつつ、今後の展開を見守ろうかなと思う。「恋愛サーキュレーション」のアレンジは、シンセベースが今っぽくて、なかなかいい感じだった。

帰りに中古CD屋の100円コーナーでMansunの「Legacy EP」とV.A.の「Single Collection July 1999」を購入。今日のCDへの出費1200円のバランスが、今の音楽業界の困難さを現してるなぁと思ったり、思わなかったり。

Posted by Syun Osawa at 01:00

2010年10月14日

コンテンポラリーアニメーション入門 第6回

2010年9月25日/16:20−20:00/東京藝術大学 馬車道校舎

コンテンポラリーアニメーション 第4回前回前々回 に続いてパルン作品を堪能。3回にわたってパルンの作品を見て、アニメーションを見る視野が少しだけ広がったように思う。

パルンの作品は「草上の朝食」のように、わりとスッキリ楽しめるものもあれば、「ホテルE」のように「ちょっと何言ってるかわからないですぅ…」的なものもある(どちらかというと後者のほうが多い)。僕の場合、商業アニメを見慣れてしまっているせいか、作品が始まったら最初の方にわりと核となる登場人物が出てきて、その人のキャラクター性を強めつつその作品の世界観(もう少し正確に言えば、そのストーリーが向かうべき方向)が示されると思い込んでしまっている。

もし後半でどんでん返しがあるにせよ、そのどんでん返しを演出するための方向付けはやはり必要で、その導線に観客をいかに引き込むかが鍵であると思っているわけだ。しかし、パルン氏の作品はキャラクターの動きとストーリーが明確に連動しているわけではなく、思わせぶりな演出と細やかなディティールだけが表現されている。僕は何とかそのバラバラのパーツを集めながら一つのコンテクストを作り上げようと苦心しながら見つめるのだが、そのジャーゴンの多さと繋がらなさに途中で挫折し、ついウトウトしてしまったりするわけである。

普通ならそれだけで「つまんね」となるのだが、パルン氏の作品には社会的な皮肉だったり、人間の奥底に潜むやらしさみたいなものが隠蔽されている気がして、単純に取捨する気にもなれないのだ。どうしてもパルンの作品をやっつけてやりたいという気持ちにさせるのは、彼の作品が決して場当たり的に作られているわけではなく、何かしらの意図をもって構成されているからだろう。

ストーリー性とキャラクター性。アートアニメーションはそれ以外を含んでいて、明確なコンテクストがあるわけでもない。このコンテクストの無さが面白さでもある。評論家は結局過去の有名なクリエイターの作品やアメリカ黄金期のアニメーションなどを参照項にして語っているに過ぎないし、その得体のしれないものに対して評価を下す側も、結局は実際のクリエイターだったりすることが多い。

どの作品も初見だったので、作品についてはまったく深くは入り込めないが、次に見るときにはもう少しだけ深みのある見方ができると思う。あと、自分も趣味でアニメを作ったりする生業のため、彼のような社会性とオルタナティブを兼ね備えた作品があることに少しだけ勇気付けられたりもした。僕はもう少しわかりやすい方向性を目指しているけれど、あの突き放した感じはわりと目指したい方向性だったりもする。

Posted by Syun Osawa at 01:37

2010年10月13日

カール・セーガン 科学と悪霊を語る

カール・セーガン/訳:青木薫/1997年/新潮社/四六

カール・セーガン 科学と悪霊を語る富士ゼロックスのPR誌「GRAPHICATION 2010年7月号」のグラビアにドゴン族の写真があり、シリウス神話のことが書かれていた。単純に「これは凄い!」と思って他のサイトを調べてみると、超常現象の謎解き というサイトにそのドゴン族のネタに懐疑的な意見が述べられていた。その意見があまりに説得力があり、かつ科学的であったことから他の文章を読むようになり、気づけばすっかり超常現象の謎解きというサイトのファンになってしまった。

そんな謎解きさんが懐疑論者的立場の人にオススメする本として紹介していたのがこの本だった(前置き長っw)。そんなわけで、文字が2段組みでギッシリつまっていて、しかも分厚い本だということは手にとってから知ることになったのだが、訳者が青木薫さんだったので、信じて読んでみる事にした。青木氏の訳本にハズレなしというのが、僕の中での定説なのだw

内容的には、これまでに僕が行った 偽科学フォーラム とか、リチャード・ワイズマン『 その科学が成功を決める 』やアラン・ソーカル『 「知」の欺瞞 』などの本の先駆となるようなもので、かなり勉強になった。この本を読むと、科学の分野で最先端をいっているはずのアメリカの根深い問題が見えてくる。「信じやすさ/騙されやすさ」と「信心の強さ」の混同が、オカルトに対する懐疑的な主張を封じてしまう一因になっているようにも思える。

これは日本についても同様で、いわゆる小林よしのり氏の『戦争論』以降に出てきた保守系の若者(これを総じてネトウヨと呼んでいいのかは不明だが)の一部に見られる、「日本」という物語の再強化のベクトルが、あまりにも「自虐史観憎し!」の気持ちに引っ張られすぎていることにも現れているように思う。他にも「エコ」と「有機野菜=ナチュラル」を根拠無く結び付けているエコ信者にも同じ匂い感じる。

何でもかんでも疑ったり、深読みしたりするのがいいとは思わないし、いわゆる社会学的な裏読みならやらない方がいいとも思うのだが、「わからないこと」を「わからないこと」のままに留め、地道に積み上げられた科学的知見から可能な限りの判断を下し、それ以上の部分を妄想で一足飛びに穴埋めしたりしない。こういう事を言うと、文系の人には大抵ウザがられるのだが、そのくらいのリテラシーをベースに持っておくことはやはり必要なのだと思う。

Posted by Syun Osawa at 01:17

2010年10月12日

ICAF 2010

2010年9月23日−26日/国立新美術館

ICAF 2010国立新美術館でやってる学生アニメのイベント。正直、あまり熱心に追いかけているわけではないのだけれど、いつも偶然開催日近くに公式サイトに辿り着き、「ああ、ICAFいまやってるのか…じゃあ行くか」という具合に足を運んでいる。何だかんだで、2003年2006年2008年 に行っていたようだ。

今回は京都精華大学、女子美術大学の作品と川本喜八郎氏の追悼イベント、プサンの入賞作品上映に参加した。そして、ネットで話題になり、いろんなアニメ賞をとりまくってた「フミコの告白」が京都精華大学の生徒さんによる作品だったことを知った。京都精華大学には、いわゆるアート系のアニメをつくる学科と、商業アニメ系のアニメをつくる学科があるらしく、「フミコの告白」は後者の学科の生徒による作品だったらしい。なるほどね。

女子美術大学のほうは、授業の一環で作った作品が公開されていたらしい。内容的にもそんな雰囲気の漂う作品が多かった(良くも悪くも)。個人製作系のアニメというのは、今も昔も日陰の存在だし、それで食っていける人もごくわずかなわけで、にもかかわらず労力はかなりかかる。だから、学生のような時間の有り余った時に、ちょっとやってみるくらいが一番いいのかもね。

そんな個人製作系のアニメ界にあって、多摩美術大学の作品は毎度クオリティが群を抜いて高かったと記憶しているが、今年の作品はどうだったのかな。いつもは多摩美だけはおさえているんだけど、今年は見れずにちょっと残念だった。

今回見た作品の中では、プチョン国際学生アニメーション・フェスティバルの入賞作品はやはり素晴らしい。以前に 第4回 世界映画人会議 2 の感想でも書いたことなのだが、こうした作品は設計から制作までがかなりプロっぽいので、授業の一環で作ってみました…的な作品と比べても仕方ないわけだけど、それにしても鉛筆アニメのLinde Faas「According to Bids」とか、商業アニメ的なビジュアルで展開していたJin-Sung Choi「Entering the Mind Through the Mouth」(意味は全然わからなかったがw)などはとても強いインパクトを受けた。

こういう個人製作のアニメを何とかパッケージ化(もしくは日本語字幕で公開)してくれないものかね。日本では商業アニメとアート系のアニメが双璧をなしているために、その中間にあるような作品はかえって無視されている傾向にあると思う(特に海外の作品)。

川本喜八郎氏の追悼イベントは、よーするにアニドウに通っていればおなじみのメンバーが川本喜八郎氏についてアニドウ的な内輪話で盛り上がるというものだった。この内輪感はとても好き。会場のスクリーンでは川本喜八郎氏がフレデリック・バック、手塚治虫、ルネ・ラルーらと肩を並べて写真に納まっていて、登壇者たちがその頃の下世話な思い出話を疲労していた。決して強いつながりというわけではないんだろうけど、振り返ってみるとちゃんと小さなアニメ業界を盛り立てる同士として歴史に名を刻んでいっている感じはいいね。

Posted by Syun Osawa at 01:47

2010年10月10日

Saori@destinyワンマン・ライブ

2010年9月19日/19:30-21:45/渋谷Glad

前回のライブ に続いて、今回もかなり素晴らしいライブだった。どうしたんだ? 2chの専スレは相変わらず過疎ってるっていうのに、ライブだけ何故か革変が起きているんだがw

とにかく攻撃性がかなり増している。その姿勢はオープニングでいきなり「I can't」を持ってくるところにも現れていて、そのテンションが中盤まで途切れることがなかった。僕が最近、Saori@destinyの曲を聴きすぎているせいもあってか、知らずに一緒に歌っている自分が恐ろしいw

でも、マジでいい曲なんだよなぁ。

タワレコの「bounce」で、音楽ライターの出嶌孝次氏が「『World Wide 2010』こそが本当の「神曲たち」だ」と、AKB48のアルバムを引き合いに出して褒めていたが(もちろん、僕はAKB48のほうも好きだけど)、本当にこのアルバムは2010年のアイドルソングの中では、突出して良い出来だと思う。特にその頃はライブに行って痛感する。

そもそも、Saoriのアルバムは1stの『Japanese Chaos』の方もとても素晴らしくて、最近も「ロスト」っていう曲が自分の中で再び盛り上がっている。この曲の歌詞を何度も聴いているうちに、ゼロ年代の女の子の気持ちが凄く上手く表現されていように思うようになったのだ。特にAメロとBメロね。以下、引用。

はじめから期待しなければよかった
もしかしたらってひどく甘い考え

なんで恋をすると相手の態度すべて
都合のいい方にとっちゃう?

ただのイミテーションって言い聞かせたのになぜ
「ずっと」なんて言うの

このあたりのちょっと稚拙だったり、フラットだったりする恋愛感に関する面倒くさい話は、鈴木謙介『 サブカル・ニッポンの新自由主義 』の感想の中盤あたりでチャットモンチーの曲とあわせて書いたからそちらにまかせるとして、ともかくSaoriの曲は歌詞が素晴らしいのである。

アンコールの最後の曲に、僕が一番好きな歌詞がつけられている「ステンレススターライト」をSaori自身が選択したということを言っていて、これまたグッときてしまった。この歌詞はメタ化したアイドルの悲哀(よーするに、アイドルとして振舞う自分の姿を冷静に見つめながら、それでも「もう少し…」と続けるあの悲哀ね)がメチャメチャよく表現されていて泣けるのだ。歌詞は こちら を参照。

と、Saoriに対する気持ちが悪いほどの熱い思いを書き綴ってしまったが、今回のライブで一番上がったのは、別のところにあった。アンコールの2曲目、「I can't」のところで、Aira Mitsuki嬢が登場した瞬間だ!

今やデートピアのNo.1とNo.2でありながら、ファンにも仲が悪いと思われているこの二人が、同じステージで「I can't」をやるというね、この感動はヤバかった。人間だから合う合わないってのはある。それは仕方ない。でも、一緒に夢を共有している仲間としてつながれる部分というのはあるはずで、そういう一見薄く見える共同体の中での共感というものが、実は本人たちが思っている以上にみんなを幸せにするって事があるんだと思う。そういう事が確認された一瞬だった。

最近はすっかりSaori一色だったわけが、Airaが出てきたときに、知らずに「アイラ〜!」と叫んでいる自分がいて、「なるほど、自分はやっぱりアイラヲタだったのだな…」ということも確認したりした。てなわけで、何だか確認しっぱなしのライブだった気がする(いい意味でw)。

Posted by Syun Osawa at 22:17

2010年10月09日

「軽うつ」かな?と感じたら読む本

菅野泰蔵/2005年/講談社/文庫

「軽うつ」かな?と感じたら読む本東大医学部卒の精神科医・中嶋聡氏の『 眠れない夜の精神科 ― 医師と患者20の対話 』を読んで、精神科でよくあるやりとりと、それぞれの症状(例えば、躁うつ病や統合失調症など)に関する簡単な知識を得た(中嶋聡氏は他にも『ブルマーはなぜ消えたのか』とか『『心の傷』は言ったもん勝ち』といった刺激的な本を出していて、これもいずれ読む予定)。

その『 眠れない夜の精神科 ― 医師と患者20の対話 』で、僕は躁うつ病ではなく、どちらかというと対人恐怖症に近い傾向にあることを知ったので、次は「対人恐怖症」の本を読むべきなのだろうが、先に『「軽うつ」かな?と感じたら読む本』を買ってしまっていたので、とりあえず積読消化。

たしかに、僕は躁うつ病ではないかもしれない。躁うつ病の特徴として挙げられている症状に、あまり当てはまらないからだ。とはいえ、僕の状況と近い部分もある。この本の著者も30代半ばで躁うつ病になったらしいのだが、何か明確なきっかけがあったわけではなく、少しずつテンションが下がっていき、倦怠感が漂うようになったらしい。で、調べてみたら躁うつ病だったということらしい。

僕も20代後半から少しずつテンションが落ちていき、20代前半までに持っていたテンション(対人関係の欲望を含め)がほとんどなくなってしまった。それは年齢のせいだったり、僕の人生設計のせいだったりするのだと思っていたが、こういう症状自体にもしかしたら「軽うつ」の症状が現れているのかもしれない。

この本の著者は臨床心理士で、医者ではない。カウンセラーの立場から、軽うつの症状とその傾向、対処の方法を書いており、前回の中嶋聡氏の内容よりもはるかに相手に対するきめが細かかった。

僕の友人にもカウンセラーをやっている人がいるのだが、人の心の扱いがとても丁寧で、医者的な強者の論理をあまり用いない。これは、医者とカウンセラーのどちらが良いという話ではなく、人の心の問題というのは「病気である/なし」という事とは別のところにも問題を抱えているということなのだろう。

だから、心の状態が悪化したとき、それを即、薬物治療のような医療の世界と直結することには違和感がある。薬によって精神が安定したとしても、そこから先、自分の力で乗り越える(もしくは気持ちを切り替えて前進する)ことがなければ、心の問題は解決していかないからだ。だからこそ、医療と心の問題との間で緩衝材となるようなカウンセラーの役割が、今後さらに重要性が増していくのだろうと思う。ただそれを僕が利用するかとなると話は別だが。

Posted by Syun Osawa at 23:06

2010年10月08日

マンガFX入門

原作:古井一匡/画:武井宏文/2009年/ダイヤモンド社/四六

マンガFX入門FXをやろうと思ったことは一度もないし、今後やるつもりもない。それは、1年半ほど前に結構な数の投資本を読んでいた時に、「FXはコインの裏表で賭けをやっているようなものだから危険である」と書かれていたからだ。

にもかかわらず、この本を読もうと思ったのは、紀伊国屋新宿南店に置いてあったフリーペーパー版のマンガFX入門(このマンガの第1章がまるまる掲載されていた)を手に取ったからで、その完成度の高さ…というか、導入のスムーズさに感心したからだった。FXに誘い込む手口として、上手い儲け話だけを羅列している本が多い中、この漫画ではそういう上手い儲け話的なノリを薄く批判しながら、「それでもFXはやる価値があるよ!」という導線を引いている。

さすがに金融バブルの崩壊であぼーんした個人投資家が多く、ハイレバッジに対する制限を加えようなどという議論が出ている昨今、依然と同じような宣伝文句でFXに個人を引き入れるのは難しいのだろう。そのために、そうした批判をある程度引き受けた上で、「それでもFXだよ」という流れで漫画を展開させていたのはなかなか上手いと思った。

ようするに、勢いに任せてFXをやったら失敗するけれど、慎重に状況を見ながらやれば、ある程度確実に稼げますよというコンテクストを作り出すことで、新規顧客を釣ろうとしているわけだ。

僕はFXをまったくやらないので、その話がどの程度信頼に足るものなのかは判断できないのだが、ニコニコ生放送でやっているFX実況の放送を見ているかぎりにおいては、局面、局面でのポジション判断というのは、馬券買う時の判断と大差ないような気がしてならない。みんなが同じゲームボードの上で、次の瞬間に上がるか下がるかという心理戦をやっていて、誰もが儲けようとしている。投入されている資金は勝者に与えられる賞金みたいなものだと考えれば、このゲームボードの上で最初に餌食になるのは新参者ということになるのではないか。

だとすれば、今からFXをやろうというのは、しかも今の不透明な状況でFXを始めるのはかなり危険な賭けだということになり、結局、僕はFXをやらないという最初の判断だけを強化させることになる。何だか話がおかしな方に流れてしまったが、この漫画が担っていた「新参者にFXへの導線をつける」という役割については、かなり誠実に果たしていたのではないだろうか。そういう意味で、かなりまっとうな導入漫画だったと思う。

Posted by Syun Osawa at 21:29

2010年10月07日

ポンピドー・センター所蔵作品展

2010年7月3日−10月11日/東京藝術大学大学美術館

ポンピドー・センター所蔵作品展チケットには、でかでかと「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い〜交錯する夢と前衛〜」と書かれていて、誰もそれがポンピドー・センター所蔵作品展とは思わない詐欺まがいの釣り方が潔く、さすがは日本の雄たる東京藝術大学の美術館だなと嫌味を言ったりしてみる企画展。

そんな企画展で僕が一番目当てにしていたのは、もちろんシャガール。シャガールは色彩感覚が非常に優れているらしく、それがよくわからない僕には、どちらかというと苦手なタイプの画家だったりするのだが、若かりし頃の彼の写真を見る限りかなりのイケメンで、ドキュメンタリー映画に登場していた晩年の彼もユーモアに富んだ老紳士だった。

さて。そんなシャガールの色彩感覚が最もよく出ていたと思ったのが、歌劇「魔笛」の舞台美術用に描かれたデザイン画の数々だった。絵は具体性に乏しい絵の上に、色だけが鮮やかに映えていて、正直シャガールじゃなかったら怒られるレベルではないのか?w とか思ったり…。彼の中心にある主題みたいなものがちょっと見え隠れしているように思った。

彼はロシア・アヴァンギャルドの重要人物として位置づけられているようだが、《黒の正方形》を描いたスプレマティズムのマレーヴィチやカンディンスキーのような過激な方向に舵を切らなかった。そのため、シャガールが勤めていた美術学校にマレーヴィチを呼び入れた結果、彼らの方向性の違いによってシャガールがそこを出ることになってしまった。

この方向性の違いがどの程度のものであったかは僕にはわからない。というか、ロシア・アヴァンギャルドなる言葉のいかがわしさを、僕自身が上手く飲み込めていないからだが、それでも僕が思い描いていた夢というのは、カンディンスキーやマレーヴィチが突き詰めた現実を過剰な破壊し、再構築する路線であった。

その一方で、シャガールが思い描いた夢とは、彼らのような形で現実を描くのではなく、あくまでも具象の中にとどまり、別の現実をキャンバスに描き出すことであった。だから、彼は民間芸術の中に根付いてるおとぎ話的な物語に主題を見つけていたのである。

彼の代表作の一つである《ロシアとロバとその他のために》には、そのことがよく現れているように思う。夜空が画面全体を覆いつくし、地上は画面の下方にある。屋根の上にはバイオリンを弾く男、その上に浮かぶ親牛とその乳を飲む子牛。そして、なぜか人間の子どももその乳を飲んでいる。その右上には、首が切り離された女性が浮かんでおり、彼女の首の後ろ側には赤色が塗られ劇的な印象を与えている。

解説によると、この絵は当初、左上に太陽が描かれていたそうだが、後に黒く塗りつぶされたそうな。それが原因なのかはわからないが、おとぎ話のような不思議な世界と、素朴な人々の生活が描かれていながら、それがフワフワと心地よく浮かび上がるような浮遊感は感じられなかった。どちらかというと下方に重く、下に引っ張られているように見える。ただ、似たような構図の《空飛ぶアトラージュ》には浮遊感が感じられるので、僕の思い過ごしかもしれない。

そうであっても感じる「重さ」は、もしかしたらキリスト教と関係しているのかもしれない。最近、藤原えりみ『 西洋絵画のひみつ 』とか『 pen別冊 キリスト教のすべて 』を読んだこともあって、西洋絵画に潜むキリスト教絵画のコンテクストに毒されすぎて、この重さは決して無視できなくなってしまった。彼自身、聖書から多く引用しており、キリストの姿も何度も描いている。会場で上映されていたドキュメンタリー映画の中では《白い磔刑》なども映し出されていて、戦争と芸術 関連の興味も含めて抑えておきたい。ともかく、このあたりのことは「何となくそう感じた」程度であって、もっと勉強しないと何とも見えてきそうにない。ともかく今は、その程度にとどめておこうと思う。

Posted by Syun Osawa at 01:56

2010年10月03日

ニューズウィーク日本版 経済超入門

池田信夫、池上彰 他/2010年/阪急コミュニケーションズ/A5

ニューズウィーク日本版 経済超入門民主党政権になってどんどん円高が進行し、株価も低迷。これに伴って、僕がオンライン証券に入れている金も目減りし始めてきて(といってもマイナスになっているわけでもないが)、経済のこととかに対して「もう少し知識をつけとかなきゃなぁ…」と思った今日この頃。投資関連の本ではなく、竹内薫『 バカヤロー経済学 』のような経済学関連の本だったり、飯田泰之『 考える技術としての統計学 』のような統計学関連の本を読んで、少しずつ知識を蓄えようとしている。

ただ、なかなかチンパン脳の僕には敷居が高く、それらの本を読んでも現代の経済の流れは見えてきそうにない。より専門的的な知識を身につけていくには相当時間がかかりそうだし、でも資産を投資信託に入れたりする作業というのはタイミング勝負で、今のような経済が低迷しているときこそ投資のタイミングだという理解(今のところ)を持っている。だから、手っ取り早く今の状況を素人なりに把握しておきたいわけだ。

この本はそんな盲目の僕に、現在の経済のトレンドやら、話題になっているキーワード、超基本的な経済の知識などをサクッと教えてくれた。ニコニコ生放送で流行っているバズワードの中に「○○は信用できる」という言葉があって、その言葉がまったくもってピッタリ当てはまる池田信夫先生なども寄稿しているから、これは信用していいだろう(え?)。

いや、まぁ…超入門と書かれているわけだから、内容的にそれほどエキセントリックな事は書いてないはず。問題はこういう状況でどう動くかってところが大事なわけだ。僕の場合はというと、急速な円高が進行して、80円が割れるなんていい加減な予想がつぶやかれている状況下で、オンライン証券でストックされていた余剰のお金をすべて段階的にMMFでドル買いに走っていた。投じれば投じるほど目減りするドルw しかし、先日の日銀の介入で状況は一変。アッサリとプラスに転じた(しかし、今はまた円高で元通りに)。

でもここで、「俺…なかなかやるじゃないか」なんて思ってはいけない。結局こういうのは勘みたいなもので、一生懸命読んでいる今回のような本とはあまり関係ない気がするからだ。以前、投資関連の本を読みまくっていたときにも、結局こういう市場の動きというのは半丁博打と大差ないと書かれていたことを思い出した。

経済っていうものは後付でどれだけ理論化されたとしても、その眼前に広がる未知の世界に対しては誰もが無力だということなのだ。そこをある程度の制度を持って予測するのが統計学だとしても、その統計学の知識が投資家の間で共有化されている以上、結局その統計の知識を踏まえた上で人は行動することになり、結果的にまた眼前の世界はぼやけてしまう。そういう霧がかかったような視界の中でどうハンドルをさばくのか、つまりどのような投資をするかってことが次に重要になってくるわけで、ここにギャンブル性が潜んでいる。ぶっちゃけ、この楽しさがあるからこそ経済を勉強しようというモチベーションも沸いてくるのだ。

Posted by Syun Osawa at 02:29

2010年10月02日

ダンスロイドオーディション@週アスLIVE

2010年9月11日/17:00−17:45/秋葉原UDX 2F

ダンスロイドオーディション@週アスLIVE東京国立近代美術館で開かれている 上村松園展 に行って、ついでに講演会も聴こうと思ったら、応募者のみとのことで入れず。いつの間に事前応募制になってたんだろ?

で、いいタイミングで秋葉原でダンスロイドの追加メンバーオーディションをやっていることを思い出して会場へ直行。どうやら『週刊アスキー』のイベントだったらしく、いろんな層の人が来ていた。そのうち、ダンスロイド単体を見に来ていた人がどれくらいいたのかはわからないが、イベントが始まった5時頃には、ステージ前にはかなりの人がいたと思う。

イベントは、いくら&愛川こずえによる「First Kiss」のダンスに続いて、オーディション最終候補の6人が3人1組で2回「First Kiss」を踊り、それぞれの候補者の自己PRの後に、合格者とメンバーの2人が「First Kiss」を踊るという内容だった。どんだけ「First Kiss」踊るねんw

それはともかく、オーディションの候補者の中にはなぜか東大生とかいてコンテクストが一切読めないまま眺めていたら、結果的に6人のうちから3人がメンバーに選ばれた。週刊アスキーとメディアファクトリーという、いかにもマーケティング大好きな彼らのロジックによって、大幅増員されたことは想像に難くない。

よーするにこのロジックというのは、ハロプロ以降、アイドルヲタがメンバー全体ではなく、個別のメンバーを推しているという性向を利用したものである。個別のメンバーを推すファンの数が少ないのならば、メンバーの数を増やすことによって、全体のファンの総数を増やそうという戦略である(そして、それをオタク向けに最適化したのがAKBなのだろう)。

それが吉と出るか凶と出るかはわからないが、個人的に一番推していたCOCO嬢が受かっていたので良しとしたい(え?)。SUPER☆GIRLで唯一年齢を言わない八坂沙織嬢と同じ21歳らしい。彼女は迅速にニコ生にもデビューを果たしたので、ちょいと期待。そして、ダンスロイドはニコ動とニコ生、2chの専スレとその住人によって支えられているところもあると思うので、そのあたりの人たちがどのように反応するのかも興味深い。

Posted by Syun Osawa at 01:38