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2012年01月31日

コミックマーケット 80

2011年8月12−14日/10:00−16:00/東京国際展示場

コミックマーケット 8013日と14日の2日間参加。

13日は昼からカメコして、その後、秋葉原に移動して コスホリック03 へ。この日はずっとカメコしていた。コミケのコスプレ会場は人の数が多く、撮影する場所も限られている。例えるなら花火大会の混雑のような状況で撮影をする必要があるのだ。

しかも、今回は1ヶ月前に買った50mmの単焦点レンズしか持っていかなかったので、距離を合わせるのに苦労した。一眼のエントリー機はAPS-C機なので、50mmだとフルサイズ機と比べて望遠に写ってしまう。だから、コミケのような混雑した場所で撮影するならば、50mmより広角に写るレンズ(35mmとか)の単焦点を選択したほうが良さそうだ。

14日は通常通りのコミケ巡回。批評系はたくさん購入しても読めなくて放置になることは目に見えているので、ちょっと少なめ。以下、戦利品。

村田蓮爾『sweet chaos dayz』
平凡・陳淑芬『P+H vol.3』
あきまん『年刊少年あきまん 8月号』
ことみようじ『STEEL DRIVE 14』
ことみようじ『STEEL DRIVE 15』
第二次惑星開発委員会『夏休みの終わりに』
斧屋『アイドル領域 vol.3』

毎度のことながら村田蓮爾さんが絵巧すぎだよな。

Posted by Syun Osawa at 02:55

コスホリック 03

2011年8月13日/15:00−20:00/ベルサール秋葉原

5月5日のコスホリック02に続いて参加。

コミックマーケットにはコスプレイヤーがデジタル写真集をCD-ROM形式で作成し販売する一角がある。そこでは『魔法少女まどか☆マギカ』や『けいおん』といった人気アニメなどのコンセプトに合わせて、彼女たち自身がコスプレをしたROM写真集(コスROM)を販売している。

2000年頃はネットアイドルというカテゴリで活動する人もいたので、ブースにおけるコスプレイヤーの数はネットアイドルと半々くらいだった気がするのだが、今ではコスプレイヤーが全部を飲み込んでしまった印象がある。で、そんなコスROM市場が地道に拡大を続け、過激化しつつ、規制もされ、新たな市場を求めてコスROMオンリーのイベントが開催されるようになった、と。

コスROMオンリーイベントでは、コスプレイヤーがコスROMを売るだけでなく、ミニ撮影会のようなものも行われており、それも一つの売りになっている(例えば、コスROMを買ったお客さんが1分〜3分の間で自由に写真を撮れるなど)。そのため、客の何割かは撮影を目的に参加する人も多いようだ。

僕の場合はアイドルヲタ属性がかなり強いので、有名レイヤーさんの情報を仕入れつつ、コスプレ界のヒエラルキーをザッと把握してみたかったのだが、前回と今回だけではよくわからなかった。現場でカタログを眺めつつ、販売ブースで営業トークを受けつつ、ノリの合った数人の方のコスROMを購入して帰宅。

ROM購入の際に撮らせてもらった写真を家で見たら、残念な写真が大量にあって萎えたw 室内撮影での絞りやSSの調整だとか、フラッシュの有無での設定の違いなど、越えるべきハードルがいっぱいある。しかも現場では、撮影時間や場所が限られているため、それを瞬時に判断しなければならない。現場の状況はイベントごとに違っていて、ど素人の僕には過酷だが、カメラを勉強するには最適な環境だと思うことにした(え?)。

Posted by Syun Osawa at 02:45

2012年01月29日

サンデルの政治哲学 ―〈正義〉とは何か

小林正弥/2010年/平凡社/新書

マイケル・サンデル『 これからの「正義」の話をしよう 』を読んで、彼の主張するコミュニタリアニズムに興味を持ち、初めの一歩として手にとったのがこの本である。著者の小林氏は少し前にニコニコ生放送でひろゆき氏と対談していて、そのとき、ひろゆき氏のシュートな発言に上手く受け答えしていたのが印象に残っていた。

サンデルはコミュニタリアンで、リベラリストのジョン・ロールズへの批判などを通して自身の主張を築いていった。本書では、サンデルの主張(思想)の変遷を、サンデルの著作をひきながらわかりやすくまとめていた。

僕は今、コミュニティとか中間共同体について関心をもっているので、サンデルの思想に共感できる部分が多い。伝統的な村落共同体が崩れつつある今、個人―家族と国との間をつなぐ中間共同体の復興は急務だと考えている。なぜなら、単身者の増加、デフレの長期化、年金問題、貧困層の増大など、国の社会福祉政策だけでは到底支えきれない問題が山積しているからだ。

これらの問題は僕にとっても重大である。30歳過ぎの独身男性が都会で生きていく上で、家族以外のコミュニティによってセーフティーネットを構築することは、生存の不安を取り除くためにも不可欠だからだ。ただ、こうした自体をマイナスな問題として捉えているわけではない。むしろ逆で「新たな共同体はいかにして可能か?」というプラスの問題に転換して、積極的に考えていきたいと思っている。

Posted by Syun Osawa at 09:13

2012年01月25日

Aira Mitsuki×Saori@destinyライブ

2011年7月30日/17:30−19:30/渋谷Glad

AiraとSaoriのコラボライブ。今月はSaoriのライブ2本目である。

前回の Saori@destinyワンマン・ライブ がかなり攻撃的な内容だったので、ここにAiraがどういう風に絡むのかが気になっていた。Airaの曲はアルバムごとにコンセプトが違っていて、可愛い楽曲からフロアライクな攻撃的な楽曲までバラエティに富んでいるからだ。

結果的には、いろいろな顔のAiraを見せるようなセットリストだった。それはそれで悪くない。ただ、Saoriが完全にフロア向けの方向に舵を切っているために、少し弱い印象を受けたのは事実だ。「???」や「イエロー・スーパーカー」などではSaoriに負けない盛り上がりを見せるので、たぶん客が求めているのはそういう方向なのだろうと思う。もちろん僕もその一人だ。

Posted by Syun Osawa at 02:26

絵具と戦争 ― 従軍画家たちと戦争画の軌跡

溝口郁夫/2011年/国書刊行会/A4

戦争と芸術 関連の本を久しく読んでいなかった気がする。ブログの記事をチェックしてみると、2010年の9月に丹尾安典氏らによる『 画家たちの「戦争」 』を読んだのが最後らしい。

2010年頃までは定期的にヤフオクで戦前の美術本なども落札していて、かなり熱心に追いかけていたはずなのだが、2011年になってからはほとんどチェックしなくなった。アイドルのイベントに行く頻度が高まったのが原因かも…。

この本は、戦争画関連の資料と大東亜戦争の資料を重ね合わせながら、現在流布している戦争画の一般的な評価に対して、新たな視点を提示するという内容だった。ただ、戦争画を描いた画家のコメントや著作での発言、当時の画壇での話題などが史実にピッタリと対応をしているわけではないと思うので、悪く言えば瑣末な突っ込みのような気もする。大東亜戦争関連の史実発掘はマニアックな領域に入っていると思うので、やむを得ないのかもしれないが。

残念だったのは、作家の発言や画壇での話題が中心で、美術(絵そのもの)に関する言及が少なかった点だ。地道に続けている 戦争と芸術 関連の勉強は、絵に描かれているものと画家の格闘を中心に追っているため、画壇での需要のされ方などのコミュニケーションやイデオロギーを中心とした話題は、いまの僕の関心領域からはやや離れている。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 02:19

2012年01月24日

exPoP!!!!! vol.52

2011年7月21日/19:00−22:00/渋谷 O-nest

月曜日に新宿MARZで 番外編 があって、木曜日に通常のイベントが渋谷O-nestであった。連日、こんなに素晴らしいイベントを見れるなんて本当にありがたいね。

今回の出演はS.R.S、NIKIIE、赤い公園、Any、hannah honeybeeの5組。いい歳してアイドルヲタやってる歪み切った僕の視点で見ても、NIKIIEあたりのストレートさにはヤラれる。他の面子も含め楽器と格闘しながら真摯にマイクに向かう姿はカッコいいよね。

「Hide & Seek」という曲名を聞くと、Imogen Heapの曲を思い出してしまうな。

Posted by Syun Osawa at 02:21

TPP亡国論

中野剛志/2011年/集英社/新書

TPPへの加入の賛否をめぐって、世間では議論が加熱している。

僕はTPPについて何の知識も持っておらず、TPP加入の賛否について何も言うことができない。テレビを見ると政府を含めて大勢は賛成に流れているらしく、一方で農業関係者をはじめとして一部に根強い反対論者がいるようだ。そして、反対を唱える論者としてよくメディアに登場するのがこの本の中野剛志である。

中野氏の話は大変わかりやすく、主張も明快だ。よーするに私たちは日本人なのだから日本の国益を守りましょう、と言っているのだ。では、TPP加入の賛成論者は日本の国益に反することを言っているのかというと、そうではない。賛成派も同じように日本の国益になると言っているのである。

超約すれば、賛成派はTPP加入後のフラットで市場原理に駆動された世界で勝ち抜けると思っている人たち、反対派はその世界で勝ち抜けないと思っている人たち、と両者を分類できるかもしれない。twitterのツイートを見ると、ネトウヨ系というかアイコンに日の丸つけて愛国関連のツイートばかりしてる人たちは概ねTPPに反対のようだ。

この本を読んだ直後は僕も反対の意見に同調していたのだが、その後、ニコ生などで放送されているTPP関連の放送などを見るにつれて、賛成は避けられないのではないかと思うようになった。その理由は、TPPに加入しないと世界から取り残されるという強迫観念からではなく、保護政策で潤う人たちを守ることが日本の国益につながるとは必ずしも言えないと思うようになったからだ。このあたりのことは深く勉強しているわけではないのでこれ以上何とも言えない。今は何となくそう思うようになったというだけだ。

Posted by Syun Osawa at 02:20

exPoP!!!!! 番外編

2011年7月19日/19:00−22:00/新宿MARZ

いつもの渋谷O-nestではなく、今回は新宿MARZで開催。何でも新宿ROCKとのコラボイベントらしい。新宿ROCKって何?

出演者はwhite white sisters、キドリキドリ、The next!Liddell1974、荒川ケンタウロス、Christopher Allan Diadoraの5組。荒川ケンタウロスは過去に何度かexPOPで見たことがあり、それ以外のグループは初見だった。荒川ケンタウロスはわりとベタにポップソングな歌うバンドで、「天文学的少年」をはじめいくつかの曲は耳に残っていた。

他のバンドについては、この感想文を書いているのがライブの半年後wということもあってあまり記憶に残ってないのだが、white white sistersはビジュアル面を含めかなりインパクトがあった。他にももう一つ、かなりインパクトのあるバンドがあったはずなのだが、それがどのバンドだったかは今の時点では思い出せていない。ストロークスっぽいのもいた気が。唯一の心残りがそれだ。

Posted by Syun Osawa at 01:44

2012年01月21日

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

玲/2010年/幻冬舎/四六

ステレオタイプの夢(例えば、スポーツ選手、芸能人など)に向かって努力しても、ほとんどの人は成功することができない。にも関わらず「夢をあきらめないで!」という善意の応援を胸に、夢に向かって必死で努力を続ける人がいる。その人の行い自体は美しいことなのかもしれないが、そこには才能の壁が立ちはだかっており、どれだけ努力しようとも夢は夢のままに終わるのが現実というものである。その現実の過酷さに打ちひしがれることになる前に、「やってもできない」という事実を受け入れ、考え方を転換することでこの過酷な日常を生き抜いていこうというのがこの本の主旨である。

まぁ…納得。

ずいぶん前に読んだ岡田斗司夫『 プチクリ 好き=才能! 』に近い印象を受けた。僕などはマンガ家を目指したが才能が無く挫折したというステレオタイプな挫折の経験を持っているため、この本に書かれていることは痛いほどわかる。ただ、それでもスッキリしない部分が残ってしまうのは、僕が生きるということに対してこの著者ほど積極的でない(もしくは当たり前の前提として置いていない)からかもしれない。

生きるために市場原理を受け入れ、それに合わせて自分の考え方を最適化させていくのはまったく正しく、その通りとしか言いようが無い。しかし、合理的に生きれば生きるほど心は空虚になっていくという人もいるのではないか。僕はそこまで極端な考え方は持っていないし、仕事などはかなり合理的にしているつもりだが、それでも残るこだわりみたいなものが「生きる」ということの要因になっていたりもする。そしてそれはかなり心の根元の部分にあり、それを変える事はなかなか大変だと思う。

Posted by Syun Osawa at 23:34

コスプレ博 in TFT

2011年7月10日/11:00−20:00/東京ファッションタウンビル

本日イベント3連荘の2つめ。

東京国際ブックフェア が開催されていた東京ビッグサイトの近くにあるコスプレイベントの聖地の一つTFTへ。目的はカメコw 去年の11月に一眼のエントリー機(CANON kiss x4)買ったらすっかりハマってしまって、写真を撮たせてもらえる対象を求めて彷徨ったあげく辿りついてしまった。

コミケには昔から通っていたので、買い物の帰りにちょこっとコスプレブースに寄ってネタキャラを何枚か撮らせてもらったことはあった。その頃は、カメラにはまったく興味がなかったのでカメコの存在を若干奇異に感じたりもしたのだが、写真を撮ることの楽しみを覚えた今では、見える世界がすっかり変わってしまった。これはちょっと言葉で説明することは難しい。

それで調子に乗って、コミケのような大規模なイベント以外での、いわゆるコスプレオンリーのイベントにも参加。2chの各スレなんかを見つつ身構えながら参加したら、案外普通に楽しいイベントだった。ただ何というか、カメコという存在に若干違和感を憶えたりもして、ちょっとこのあたりの気分はスッキリしないまま残った。

このあたりの気分は、カメラについての技術的な部分や撮影することの意味、コスプレイベントにおけるカメコの立ち位置とかいろいろなものが含まれている。まぁ…もう少し踏み込んでいかないと全然わかんない世界であることは確かだ。

ともかく、この日は3連荘だったので3時間ほどいて次の現場へ。

Posted by Syun Osawa at 13:19

東京国際ブックフェア 2011

2011年7月10日/10:00−18:00/東京ビッグサイト

本日イベント3連荘の1つめ。

東京国際ブックフェアは過去に何度か行ったことがあり、その度に場内の雰囲気が違うことに驚かされる。例えば、自費出版文化の隆盛と衰退、電子書籍などのデジタルデバイスの普及など。これは書籍を取り巻く市場の状況が大きく変化しているからで、それゆえにこの手のフェアも変化していかなければならないのだろう。

今では、紀伊國屋なんかの書棚の雰囲気とブックフェアの雰囲気はかなり違ったものになってしまった。バーゲンブックをするだけのブースが多くなり、宗教系の出版社もやたら目立つようになった。これが今の本を取り巻く過酷な状況なのだろう。

僕は特に買いたいものがあったわけではなかったので、バーゲンブックはスルー。英語学習用の映画DVDがタイムセールをやっていたのでそれだけを買って離脱した。同日に別のイベントに行く目的があったから行ったけど、このイベント単体で次行くか?って言われるとどうだろうな…。

Posted by Syun Osawa at 13:11

Saori@destinyワンマン・ライブ

2011年7月3日/19:30−21:30/渋谷Glad

新アルバム『Domestic domain』のレコ発ワンマン・ライブ。僕は 書泉ブックマートのインストアイベント で買ったアルバムを半月ほど聴き込んで臨んだ。

彼女がリリースした『JAPANESE CHAOS』から『WORLD WILD 2010』までのアルバムがアイドルの華やかさを持ちつつ、今流行のエレクトロを加味したものだったのに対して、『Domestic domain』はかなりトーンを渋めに抑えつつよりフロアライクな方向を模索した内容になっている。

そのため、僕が若い頃によく行っていたテクノのクラブ・イベントの雰囲気を思い起こさせるようなミニマルなノリが加わっていた。これは「クラブでアイドルの楽曲を流して踊ろう」という昨今の安易なノリとは若干違う、もう少し硬派な印象で、それゆえダンスに最適化されつつある現代のアイドル楽曲のコンテクストを少し外しているようにも思った。

だからダメだということではない。むしろ逆で、『Domestic domain』のノリというのは、秋葉原のMOGRAに代表されるようなヲタク文化に最適化された形でのアイドル=ダンス=クラブという明快な図式に対して、非ヲタク的な視点から同じ構図のマッピングを試みているように感じられるのだ。

そのチャレンジが成功しているかどうかはわからないが、僕にとって彼女の試みが刺激的であることは間違いない。フロアの過激な盛り上がりの中心にアーティストではなくアイドルとしてのSaori@destinyが立っているとすれば、まだ誰も見たことのないアイドル文化の新しい世界の芽を、彼女は確実に育てているのだ。

Posted by Syun Osawa at 13:10

2012年01月19日

アメリカン・パイ 2

監督:ジェームズ・B・ロジャーズ/2001年/アメリカ

ヒット作の 前作 の続編。エロコメディの続編って、大抵低予算で作られてグダッて終わるもんだと思っていたのだが、なかなか面白かった。さすがシリーズ化されただけのことはある。

前作 で高校生だった彼らが、大学生になり最初の夏休みを仲間と過ごすというストーリーで、童貞喪失のお決まりの要素に加えて、「スタンド・バイ・ミー」的な少年が大人になっていくという要素が加わっていた。さらに障害者のネタも挟まっていて、作品として少し深い内容になっていた。

少年が大人になる作品って前作でちゃんとキャラ立ちしてるからこそできる作品なんだと思う。望月峯太郎の『お茶の間』というマンガもそうだけど、ちょっと大人になって若い頃よりもトーンダウンしたキャラがいろいろ思うという作品が僕はわりと好きだ。

あと、障害者ネタもなかなか凄い。演奏会のシーンなんかは日本だと倫理的な面で叩かれそうだけど、アメリカでは表現の自由で切り抜けているし、そういう過激さがあったからこそ、恋愛の相手に障害者の女の子を選んだところがグッとくる。あの伏線だけは効いてた。ベタなハッピーエンドだけど、エロバカコメディ業界(なんてあるの?)では、かなり上位にくる良作だったように思う。

Posted by Syun Osawa at 01:28

沈黙入門

小池龍之介/2010年/幻冬舎/文庫

「男が喋りで何が悪い!」っていう開き直りが随分浸透してきた感がある。

芸能人ががそう言うのはまぁいいけど、それにしたって最近の日本人はよく喋るよなぁ…と思うことが職場なんかでもよくある(もちろん根拠は全然ない)。その喋りに何か意味があるというわけではなくて、静かな雰囲気が怖いとか、黙ってると集中力が持たないとかいう理由で、みんなで楽しい雰囲気を演出しようとすることを全面的に肯定しているようだ。

そんな馴れ合いが上手く機能している人にとっては良いのかもしれないが、それによって少なからずストレスを感じている人もいる。僕などはどちらかと言うとそちらのタイプかもしれない。だから話に合わせることにくたびれてきて「しんどいなぁ」などと思っていたときにこの本のタイトルが目に留まった。

著者のプロフィールを見てみると、東大卒の住職という豪華なスペックの持ち主で、この人の導き出す処方箋が僕に上手くフィットするかどうかはまた別の話になりそうだ。今の時代は黙っていれば黙っているほど損する仕組みになっているようにも思うので、ただ沈黙していれば勝手なラベルを貼り付けられ、思ってもない状況に追い込まれる危険性もある。そこを上手く切り抜けようとすればそこではまた別の神経を働かさねばならない。だから沈黙という処方箋をこの本通りに受け取るのはなかなか難しい。

ああ…こんな風に考えるからダメなんだろうなw 沈黙をそういうゲーム的なものとして捉えてしまのは、僕がすっかり現代のコミュニケーション病に冒されているからかもしれないなぁ。

Posted by Syun Osawa at 01:26

アンヴィル!夢を諦めきれない男たち

監督:サーシャ・ガヴァシ/2009年/アメリカ

カナダのヘヴィメタル・バンド、アンヴィルの日常を追ったドキュメンタリー映画。このバンドは過去にそれなりに売れた経験があり、今も少ないながらも世界中にファンがいる。しかし、バンドのメンバーは音楽活動だけでは食べていけないため、肉体労働をしながらツアーに回っている。

この映画を見たきっかけは橘玲『 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 』だった。この本の中では、夢を諦められないことの困難さとして『アンヴィル』が取り上げられており、幸福論について彼らとは別の生き方提示している。

その指摘はまったくその通りで、紋切り型の自己啓発本のように「夢を諦めるな!」とか「夢は努力すればかならず叶う!」といったモチベーションを上げるだけのいい加減なことは言っていない。才能の壁というものがあるのだから、自分のできる範囲で幸せを見つけなさいというとてもまっとうなことを書いていて、その視点で見るとこの映画の中のバンドの困難さというのは相当なものだと思った。

ただね、『 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 』の感想で書いたことでもあるんだけど、僕は彼らのような生き方にもの凄く共鳴しちゃうんだな。そこに何かロジックがあるわけではなく、ただただ感動してしまう。映画の最後に日本でのライブの様子が映っていて、日本のファンがこれまた温かい。こちらにもグッときてしまう。

たしかに不都合な生き方ではあるんだけど、人間の人生って大なり小なりみんなこんな感じじゃないのかなぁ…なんて思ってしまうからたぶん僕はダメなんだろうなw ともかく、中年から初老へと向かうおっさんにはいろいろ考えさせられる映画だった。

Posted by Syun Osawa at 01:23

exPoP!!!!! vol.51

2011年6月30日/19:00−22:00/渋谷 O-nest

流行り廃りを察知するアンテナが日を追うごとに錆びついていく僕には大変ありがたいイベント。今回の出演者は、GELLERS、cero、Qomolangma Tomato、KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'S、茜色ディートリッヒ。

見たはずなんだけどな…w

これを書いてるのが半年後ということもあって、どんなだったかを全然覚えてないw せっかくありがたいイベントやってもそれを書き留めるよりも前に忘れてるんじゃあしょうがないやね。アンテナの錆びに加えて、物忘れの酷さも何とかしないと、このチラ裏ブログが忘却録としての機能すら果たせてないことになってしまう。

Posted by Syun Osawa at 01:21

第1回 講座・貸本マンガの時代

2011年6月26日/14:00−16:00/森下文化センター

漫画研究家・F.Mロッカー氏とみなもと太郎氏による講座。貸本マンガに特化してその時代状況を深掘りするマニアックな講座で、第1回のテーマは「貸本マンガとは 〜 歴史、時代、表現」。水木しげる氏やさいとうたかを氏がかつて貸本マンガを描いていたことくらいしか知らなかった僕には若干ハードルが高いような気もした。でも、大学の公開講座みたいなぬるい内容のものよりはいいよね。

とはいえ、そもそもゲスト講師のみなもと太郎氏はギャグマンガの大家からして、僕は大塚英志氏がかつてアシスタントをしていたことがあるマンガ家というくらいの認識しか持っていないw さらに貸本マンガどころか当時のメジャーなマンガの状況もわかっていない。だから貸本文化について僕は何も知らないのだ。

小学校の頃にはレンタルコミック屋というのがちらほらあったが、あれは市販のマンガをレンタルビデオのように貸していただけであれは貸本ではない。1950、1960年代頃には貸本のために描かれたマンガがあって、その小さな文化圏の表現がメジャーのマンガ文化に大きな影響を与えたということらしい。さいとう・たかを氏らが作り上げた劇画というジャンルは貸本マンガから出てきたそうな。

小さい文化が大きい文化を食うという構図はいつの時代の刺激的で、多くの人の記憶に残りやすい。貸本マンガの市場が当時とれほどだったのかはわからないが、きっとお金以上の何かしらが多くの人々の記憶に残り、受け継がれ、マンガの歴史に書き加えられていったのかもしれない。ともかく僕は何も知らないので、貸本マンガの劇画まわりに関しては、松本正彦氏の『劇画バカたち!!』あたりを読みつつ、当時の雰囲気を掴もうかなと思う。

Posted by Syun Osawa at 01:19

公開講座「ビデオゲームのトレンド」

2012年6月18日/13:30-15:30/東京工芸大学

東京工芸大学ゲーム学科教授の中島信貴氏による公開講座。ビデオゲームの歴史をザッと振り返りながら、今日のグローバル化したビデオゲームの状況をわかりやすく解説してくれる内容だった。公開講座というとじっちゃん、ばっちゃん向けのものが多いが、東京工芸大学の公開講座はメディアアートに寄ったものが多くてありがたいね。

特に講座の後半(ゼロ年代以降)はビデオゲームから離れた時期だったので、世界市場でのFPSの受け入れられ方とか、ソーシャルゲームの爆発的な普及とか、海外市場を視野に入れた製作体制の組み方とか、面白い話がたくさん聞けた。まさに僕得の内容。

ネットが普及してオンラインゲームが主流になった頃には、僕はゲームをやらなくなっていた。その時期からゲームの姿と言うのは随分様変わりしたんだと思う。その変化というのはゲームの作品の内容自体ではない。作品自体は大作の続編がつくられ続けており、不安定な市場において新しい作品をつくるリスクが取り難くなっているのかもしれない。

その変化というのは、プレイヤー側により近いところで起きている変化だ。

ネット環境の進化によってコミュニケーションのインフラがものすごい勢いで整えられていき、それに合わせてゲームの需要のされ方も大きく変化してしまった。そして、僕はその頃にゲームをやっていなかった。だから僕にとってのゲームとソーシャルネットワークに対応したゲームは同じ作品を受容していながら、それを受け入れる直前の部分で別の何かに変化してしまっているのかもしれない。

Posted by Syun Osawa at 01:17