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招待制イベント AREA:MOBY 潜入レポ

 2 月 12 日昼。いつも通り,昼食の帰りに図書館に立ち寄り,朝日新聞を読む。新聞を無料読みする貧乏人の僕の日課だ。ラジオ欄を通過する時,ふと「モービー」という言葉に目が止まった。

 「モービー生出演」

 夜 10 時。フューチャー・トラックスを聴く。クリス・ペプラーの声にはもう飽き飽きしているのだが,ゲストを前にしたと気のクリスはどこか心強い。アホな女性 DJ の媚びた応対がないからだ。

 番組の中でモービーは,自分が売れた理由をこう語った。

 「セールスの事は全く意識していなかった。『 PLAY 』に関しても 5 万枚売れればいいと思っていたんだよ。僕が売れた理由は,単に他のアンダーグラウンドなミュージシャンよりもメロディがあったって事じゃないかなぁ。」

 僕が 2 日後に行く事になる AREA:MOBY とイベントで DJ を披露する事について,さらに彼はこう続けた。

 「お馬鹿なディスコ・チューンを回すだけさ。」

 2 月 14 日午後 10 時。代官山のクラブ AIR にてそのイベントは始まった。中に入ってみると,既に週末のトランス系ギャルイベント並み(行ったこと無いのでイベージです,イメージ。)の数の人だった。客は音楽雑誌などのメディア媒体の関係者がほとんど占めている。

 最初の 30 分は DJ TOMO のプレイだった。

 DJ TOMO は素人の僕でも知ってる有名人。(といっても,YO-C とか SHINKAWA とか,その辺の人でしょ?ぐらいの認識です。)

 僕の家にも貰い物のターンテーブルが転がっているが,使ったことがないので技術的な事は全く分からない。雰囲気としては,短い時間ながらもアッパーなところをまとめていて,後半(といっても 30 分なので,前半も後半もないが。)の流れはかなりこの日一番燃えた。

 会場の雰囲気は最悪。

 ライヴでは,業界者席ってのは盛り上がらないって話はよく聞くが,この日のイベントはそのクラブ版だった。業界人って言ったって,所詮はスタッフかバイトのくせに,ちょっとなんか雰囲気出してる感じがヤだった。

 まあ,しかしそこは無料のイベント。一緒に行った人はモービーを知らないって状況だったので,一般招待という理由で荷物を預かってもらえなくても気にしない。とりあえず 700 円のビールを飲む。いつもなら,声を張ってこういう言うのだが…。

 「カシスオレンジください。」

 さすがにこの場では笑われる気がしたので,ビールを飲む。きっと,あの場所にいた人の中で,コミック・マーケットとか,キャラ・フェスに勇んで参加する人は僕だけだろう。

 10 時 30 分,モービーが DJ ブースに登場。なぜか,DJ ブースが異常に高い。フロアが地下 2 階にあって,DJ ブースは地下 1 階という贅沢仕様になってるからだ。フロアは人人人で埋め尽くされる。ここで客が沸く。だが,

 「モービー!」

 などの,歓声はない。過去に U2 のライヴで「 U2!」と叫んでた人がいるのを思い出したが,モービーは「モービ−!」と言ってもおかしくないハズ。

 が!が!が!が!がーっ!

 フロアは驚くべくほど盛り上がらない。みんな黙ってモービーの姿を見つめ立ちすくみ,まるでアングラなプラネタリウムに来ているかのよう。そんな中で,モービー 1 人がノリノリという異様な光景。

 これでは駄目だと思い,周りの事など気にせず僕は踊る。オタクにありがちな,何にも属さない独特なダンスなのだが,テンション上がると,んな事はどーでもよくなる。モービーが前にいて,僕はそこにいる,それだけで幸せな空間。

 ラジオで言ってた通りのアッパーな曲を無難につないでいたのだが,フロアが盛り上がらなかったからか,何なのかわからないが,30 分を過ぎたあたりでトランスを流し始めた。

 モービーはトランスをかける人だったのだ。そんなのは周知の事実なのかもしれないが,アルバムでしか彼の存在を知らない僕にとって,これは意外だった。日本でトランスが大ブームだって事のアンチテーゼなのか,単に気分でかけたのか,そのへんのところは読み取れなかったが,悲しいかなこのトランス・タイムが一番フロアが盛り上がった。

 ほどなく 1 時間が過ぎ,最もテンションが上がり始めた矢先に,モービーの DJ は終わった。モービーが去ると,蜘蛛の子を散らすかのように業界人達は退散。残ったのは一般招待の人ばかりなり。DJ TOMO さんが再び DJ をやったのだが,超アッパーなトラックとは対照的にフロアはお寒い状況だった。

 モービーはソルトレイクシティーでライヴをする。5 月に発売されるアルバムの曲を,初演奏するそうだ。本当は ARENA:MOBY にて初オンエアするはずだったのだが,そういう理由で中止になった。

 中止になった事は悲しいけれど,この数日間は僕にとってはとても素敵な思い出となった。5 月にアルバムが発売された後,日本でライブをやるらしいって話なので,それがフジロックなのか,サマソニなのか,エレクトラグライドなのか,はたまた単独なのかはわかりませんが,絶対に参加です。

 代官山 AIR の音は凄い良かった。半端じゃなかった。

 音量の割に,声が通るので人と話し易い。これは僕の中ではデカイ事。外に出ても耳がキーンって鳴らなかったし,その辺のサジ加減が代官山って土地柄なのだろうなぁと思った。APE の NIGO 軍団とか,chari chari の井上薫とかもここでイベントやっている。

 恥ずかしい話だが,井上薫はずーっと女だと思ってました。

 これがこの日一番の発見。

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Composed by Syun Osawa since 10.1997