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現代の病理,薄っぺらな世界『アヴァロン』

アヴァロン

 いや,遅すぎたのかもしれない。

 実に身のない映画でした。映像の先鋭さは素晴らしかったのですが,そもそもなんでこんないい年齢層の人達がアヴァロンなんていう危険なゲームに熱中してるのかって事は,もう説明どころか触れられてもいないのです。

 ただ,押井作品にとってはそんなことは問題ではなく,宣伝にあった黒頭巾の女戦士とオーケストラによる壮大な音楽,これをやりたかったという作品です。この部分は本当に素晴らしいです。黒頭巾から見える『目』の強いインパクトと共に,爆発が 2 次元に処理されていくところとかは押井監督の先鋭的なセンスが光っています。

 ただ,終盤に,教会の外でかつての仲間と戦うシーンなどは,「クーポンマガジンのホットペッパー」の CM 並みのわかりやすいアテレコと演技が,ちょっぴり笑いを誘ってしまいますし,オーケストラと戦闘を同時にってのも映画的には結構昔からある手法です。

 どこまで押井監督のイメージに近づいたのかはわかりませんが,オンライン・ゲームにまつわるよしなしごとは,まさに現代社会のカルチャーを象徴付けています。そのあたりの『目』というのが押井ワールドなのかもしれません。個人的には劇場版『パトレーバー』第一作目が一番好きです。

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