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うる星やつら 2 〜ビューティフル・ドリーマー

うる星やつら

 押井守がスタジオぴえろ時代に最後に残した問題作『うる星やつら 2 〜ビューティフル・ドリーマー』。

 興行的には失敗したと言われる本作品であるが,押井自身が監督だけでなく脚本も手がけおり,その内容の独創性から,その後のアニメ界において歴史的なターニングポイントとして位置づけられている。

 よ〜するにこういう事である。

 キャラを立てれば作家性が死に,作家性を立てればキャラが死ぬ。僕的見地では,『うる星やつら』は完璧なキャラクター設定である。だから,場と条件さえ与えてやれば,完璧に設定されているキャラクター及びその人間関係が面白い話を自動的に生成してくれるのだ。しかし押井はそうしなかった。小池塾門下生でキャラクターの重要性を叩き込まれた高橋留美子とにとってはたいそう不満だったろうが,彼女が命を吹き込んだキャラクター達は押井の作り上げた物語と作家的演出の前に沈み,結果として『押井作品』として評価されるにまでいたってしまった。

 これは戦いである。もし高橋留美子が麻宮騎亜だったら押井は今この業界にいないかもしれないが…。

 時代がバブル前と言ってしまえばそれまでなのだが,彼にしても庵野にしても素敵だと思うところは,既存のものを踏襲せず,常に挑戦することである。結果失敗していることのほうが多い(特に押井は)のだが,少なくとも彼らは挑んでいる。才能うんぬん以前の話である。

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