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インターステラ 5555

ダフトパンク

 人のごった返す土曜日の渋谷。隅田川の花火大会も手伝って,溢れる浴衣姿の若者を掻きわけ渋谷シネマライズへ。

 目的はただ一つ。今年のカンヌ映画祭で話題を呼んだアニメ映画『 インターステラ 5555 』を日本で最初に観るためだ。

 客層は全体の 5 割がダフトパンクのファン(デートの時間つぶしという気も…),2 割が松本零士ファン(これはすぐわかる),3 割がその他もろもろといったところ。

 9 時 45 分。松本零士先生が舞台に登場。インタビュアーはおろかスポットライトさえ当たっていない劣悪な環境で,ダフトパンクとの出会いのエピソードから本作品ができるまでを述べられた。「ミュージシャンはマジシャンです。言葉を音楽に変えるから。」テレビで見たまんまの人だった。

 映画の構成は,ダフトパンクの 2nd アルバム『ディスカバリー』をアルバムを一つの作品として,それを映像化するというもの。そのため,5 分前後のミュージックビデオと異なり,各曲に共通項を見つけながら映像を合わせていかなければならない.これは非常に難しい作業であっただろう。

 まず言えることは,踊りが古い(ゴーゴーです)。松本零士先生のアニメ自体が 70 年代の匂いをかもし出しているので,オールドスクールという視点からはアリなのかもしれない。そもそもダフトパンクの 2nd 自体がその要素を多分に持っているので,途中からは気にならなくなった。

 しかし,物語には起承転結がある。導入部があって,話が膨らんで,盛り上がって,オチがつく。松本零士先生は映像として一所懸命にそれをやっている。だが,ダフトパンクのアルバムは起承転結で構成されているわけではない。もしも,本当に物語性を強くするのなら,ラストの曲は間違いなく『ワン・モア・タイム』でなければならなかった(少なくとも,話はそういう展開だった)。

 そもそも,『ディスカバリー』は最初から三番目までに最もキャッチな曲を持ってきているので,物語としては尻つぼみの感がぬぐえない。「無理がある」というのは最初からわかっていたことなので,そこは「挑戦」の結果として評価されるべきところも多いと思う。途中はかなり整合性がとれている部分もあった。

 もう一つ。座ってみる作品ではないということ。この作品はクラブで踊りながら見る映画であった。これだけは間違いなく断言できる。映画館で見るというスタイルでは,どうしても音は音響効果で,主役は映像になってしまう。だからこそ,大スクリーンを持つクラブで,史上初のスタンディング映画を上映すればもっと面白い現象が起きたかもしれない。

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Composed by Syun Osawa since 10.1997