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ギャラリーで絵になるアニメーション

mog
目白オープンギャラリー

 2003 年 9 月 26 日〜 10 月 5 日,目白オープンギャラリー にて企画展『アニメーション*スリー』が開催された。

 この企画展では,アニメーション作家である加藤久仁生,坂井治,坂本サクの三人の作品の上映とスケッチやイメージボードなどの展示が行われた。しかも入場無料である。

 そんなわけで,筆者もチャリンコで目白へ。目白って街は,(本当は)オシャレな街でもないのだが,そういうイメージが強いためか,ギャラリーに来ていた参加者の多くはオシャレさんって感じの女性が多かったように思う。ちなみに,左上写真の建物の二階が目白オープンギャラリー,一階がオープンカフェになっている。

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 上映された作品は以下の通り。

 『或る旅人の日記』(加藤久仁生)
 『Time 〜時のしおり〜』(坂井治)
 『摩訶不思議』(坂本サク)
 『月と晩餐会』(坂井治)
 『The Apple Incident』(加藤久仁生)
 『キャッチアニメーション』(坂井治)
 『フィッシャーマン』(坂本サク)
 『金のまきば』(坂井治)

 今回もっとも嬉しかったのは,第二回ユーリ・ノルシュテイン大賞で 最優秀賞を受賞 した加藤久仁生氏の『 The Apple Incident 』が見れたこと。また,『フィッシャーマン』の坂本サク氏が,多摩美術大学時代に製作した『摩訶不思議』も内容が先鋭的で印象に残った。(個人的には『フィッシャーマン』よりも好きかな)

 なお,今回の企画展では,上映会と平行して作品のイメージボードなどが展示されており,中でも加藤久仁生氏が shockwave.com で公開していた『或る旅人の日記』の製作過程の紹介が興味深かった。

 彼はあのアニメーションを FLASH で作成していた。

 筆者も FLASH でアニメを作る 人なので,技術的な面はある程度理解できるのだが,ちょっと引っかかる部分があった。キーワードは「マスク抜き」である。

 彼は自主制作アニメーションのフォーマットに FLASH を選択している。しかもその製作過程がユニークだ。ポイントとなるのは「マスク抜き」という技法。今回はこの技法について少し触れたい。

 FLASH で動画を作る場合,通常の行程ではペンツールかブラシツールでベジェ曲線のイラストを描き,それをモーショントゥイーンやシェイプ,または古典的な数枚の連続した動画を描くことでアニメーションを作成する。しかし,彼の場合は,FLASH はあくまでも動画と音楽を操作する編集ソフトとし使用し,動画及び背景は紙に描きそれをコンピューターに取り込んでいる。

 つまり「マスク抜き」とは,動画をスキャナで取り込んだときにできる絵の外の余白の部分を,マスクで消してしまうという方法です。こうすることによって,背景の前にキャラクター部分だけを表示させることができるわけです。

 彼の作品はセルアニメ調の作品ではないので,鉛筆のタッチを残した動画の作成にはこの方法が有効なのかもしれません。しかしながら,マスク抜きと似た効果が期待できる製作工程として「透過 PNG 」を使う方法も残っています。この場合は,Photoshop でキャラクター以外の部分を透過にしたファイルを作成する必要があるのですが,ファイルサイズの増大や動画を連続させる作業の効率などの点でマイナスな部分もありそうです。このあたりは自分でも少し試してみて,レポートを公開したいと思います。

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