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暖かな丸みは 3D アニメで表現し得るのか?
たむらしげる 氏の『クジラの跳躍』を鑑賞。
絵本の映像化を試みるたむらしげるのインディーズ系アニメーション。自主制作ではなく万代ビジュアルが販売元になっているため,そのクオリティは商業動画の範疇で安心感を持ってみることができる。
本作品では,柔らかで味のあるタッチは残しながらも,波の表現に CG を用いるなどデジタルなアプローチも見せている。特にタイトルにも付けられている「クジラの跳躍」を時間軸で切り取る映像は,タイムスライスが自在にできる CG がなければ実現できなかったであろう。
しかしながら,本作品が『銀河の魚』ほど太さのあるものであったとは思わない。主人公の有り様はたむらしげるの思想そのものであるが,アナログの野太い感じが今回は影を潜めてしまったように思う。CG を用いたデジタル表現によって,手描きアニメーションが生みだすある種の「汚らしさ」が失われたからかもしれない。
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