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何を思う? どこへ行く? エレクトラグライド 2003

エレクトラグライド 2003

 今回のエレクトラグライドは別段何も語るところはないのだが、第一回目から皆勤賞で参加しているイベントなのでちょっとだけ。

 今回の目当ては、Futureshock、LFO、Felix Da Housecat。仕事に追われ、予習も復習もしてなかった僕は、例年以上に軽い気持ちで幕張に向かった。ところが幕張の会場に着いてビックリ。そこはエライ事になっていた。

 エライ事その1。会場が狭い! しかもこれまでの2ホール制が廃止され1ステージの2フロアぶち抜きというスタイル。しかもWIREよりも雑なつくりだった。

 エライ事その2。人が多い! 昨年までとは会場が違うので単純に比較はできないのだが、異様に人が多かったように思う。

 この時点でピンときた。思い出したのだ。この会場の雰囲気は間違いなく、昨年のアンダーワールドの単独ライブそのものだった。そんな嫌な予感に加え、前半戦として期待していた Futureshock も思ったより楽しめなかったことから、隣の売店フロアに移動し酒を飲んでいた。すると0時45分、もの凄い歓声が上がった。もちろん登場人物はアンダーワールドである。

 単刀直入に言うと、アンダーワールドは確実に下品になった。そんな事は今に始まったことじゃないという人もいるだろう。でも僕は違うと思う。昨年のライブの時にも少しその匂いを感じたのだが、今回はそれが確信に変わった。

 僕は根っからのテクノファンではない。そしてそれは今も変わらない。アンダーワールドがいなければ、僕は今も電子音楽の世界をまったく知らずに(今も知ってるわけではないが…)生きていただろう。そういう意味で彼らは、僕にとってクラフトワーク以上の存在なのだ。

 ダレン・エマーソンが脱退して最初のライブ、そして最初のアルバム。恥ずかしながらここで僕は変化を感じることができなかった。以前と何も変わらない彼らそのものだと思ったし、むしろ更なる飛躍の予兆すら感じていた。

 変化に気づいたのは昨年の彼らの単独公演。僕の中で「カッコイイ」と思っていた「意図的に制御されたギリギリの線」がいとも簡単に破られた印象を受けた。ダサい要素とキャッチな演出、時折見せるミニマルな展開とそれらを包括したスター性。それらがスレスレのところでせめぎ合い、決して尻尾を掴ませないカッコ良さがそこにはあった。僕は彼らのそんなところに惹かれていた。

 このギリギリの展開をコントロールしていたのは、やはりダレンだったのだろう。今回のイベントでは、そんなせめぎ合いの所作はその存在価値すら否定されていた気がした。演奏の途中ではあったが、彼らのライブに背を向け DJ ブースの最前列に移動。背中越しに聴いた『 Moaner 』が、彼らの演奏の中で一番心に響いたというのは、なんとも皮肉である。

 続く Felix Da Housecat は DJ ブース最前列で、最後の最後まで大いに盛り上がる。もうこれに尽きた。いきなり『 Silver Screen 』のノリノリな展開。盛り下がり気分を一瞬にして笑顔に変えてくれた彼の演出は見事である。楽しかった。続く LFO の相反するクールな展開と合わせて、このあたりの時間が今回のイベントの最大の収穫であった。

 2 many DJ's の盛り上がりを横目に 7 時前に撤退。手詰まり感のあるこのイベントが、来年開催されるかどうかはわからないが、乗りかかった船である。どういう方向に進むにせよ、一緒について行こうと思う。

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Composed by Syun Osawa since 10.1997