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チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スーシン

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スーシン

 香港のスピルバーグ、ツイ・ハークがヒット映画『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』をアニメ化したというなんとも大胆な作品。しかも、2D セルアニメと 3D CG アニメを融合するという大技もやってのけた。

 むろん、日本では GONZO が『青の6号』でやってはいたのだが、アニメ産業があまり育っていない香港という土地で、当時最も新しいスタイルのアニメ映画に挑戦したことは評価されるべきであろう。しかしながら、作品を見て 10 分もしないうちに押井守氏のあの言葉を思い出した。

「実写はただ撮れば映画になるが、アニメはきちんと作らなきゃ映画にならない」

 そんな映画だった。カット割り、ストーリー、キャラクターの演技……新しいのか古いのか、何だか良くわからないままに進む不思議な映画だった。いや、映画というかアニメ映像とでも言ったほうが正確かもしれない。ストーリーは後半明確にはなるのだが、キャラクターの登場、繋ぎ合わせが散漫なために話が「どっちらけ」になった感は否めない。

 映画のオマケとして付いていたメイキングの中でも語られていたとおり、映画の中の色彩は素晴らしかった。また、1999 年の段階で背景を 3D で動かす試みはかなり上手くいっていたと思う。ちょっとだけ背景をズラして背景に奥行きを出す技術など、日本のアニメーションも参考にするところが大いにあるだろう。

 メイキングはかなり怪しい演出が施されていたが、製作スタッフの和気藹々とした様子からアニメ製作現場の「熱」が伝わってきた。また、日本人が日本映画を作るときに「日本らしさ」を意識して作るのと同様に、中国人も色彩や服装、世界観についてやはり「中国らしさ」を意識して作っていたのが面白かった。

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