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さよならリキッドルーム

The Last Dance
参加者全員に無料で配られた CD

 カウントダウンをどうするか?

 僕にとってはそんな事はどうでもいいことだ。しかも今年は格闘技イベントが3つも同時開催されており、いつも以上にテレビを見ることを重要視していた。チャンネルをせわしなく換える喜び…ビデオなんて一台しかないのに…今も悔やまれる。

 しかしまぁ、いろいろな経緯があり新宿で飯を食うことに。そんな流れから「じゃあカウントダウンにどこへ行くか?」となったらば「リキッドで卓球がやるらしい」「でも卓球は WOMB と WIRE で見たからいいや」「でも他に行くところがない」「 7000 円は高い」「しかしメタモルフォーゼは遠い」「でも…」等などの経緯から、結局リキッドルームへ。

 結果からいえば、ずいぶん「得」をした。初めてのリキッドルームがさよならのリキッドルームになるとは思っていなかったけれど、イベントとしての価値以上の何かを得た気がした。

Liquid Room

 このイベントが終わったのが 1 月 1 日の夕方 4 時。つまり卓球が DJ として登場した午前 2 時から、実に 14 時間以上もの長きにわたり彼と時間を共に過ごしたわけだ。新参者の僕は、まさかそんなに長くやるとも思ってないので朝がた疲れ果てて死にかけていたが、曲の内容がオタク貧民の筆者にもわかり易かったため十二分に楽しめた。途中、ピエール瀧が何度かお約束の登場。この人は出てくるだけで会場が盛り上がる。日本にも優れた DJ はたくさんいるけれど、こういうのは他の DJ には絶対マネできない素晴らしいオリジナリティだなぁと思う。

 一通りのセットが終了したあと、卓球とファンとの歓談へと続く。ちょっぴり丸みを帯びた卓球が、いつものハイトーンヴォイスでファンからの問いかけに応えていた。

「こけら落としって言うの? あれが俺だったから、最後も俺でやっぱ感慨深いものがあるよねぇ。」

というセリフは、事の経緯を何も知らない筆者にも胸にクるものがあった。最後に「早く帰れば?」のユーモアを残し、New Order の曲(曲名忘れました)で大団円。実に思い出深いイベントとなった。

 日本では今、大型イベントが花盛りだ。筆者もご多分に漏れずマッチメイクの面白さだけを重視したイベントによく参加する。それはそれで悪いことではないけれど(自己肯定です)、文化の深まりという意味では「裾野を広げるだけ広げて、残ったのは沙漠だけ。後には草も生えない」という状況にもなりかねない怖さがある。そういう情勢だからこそ、普段ミーハーなところにしか行かない筆者も、こういう一生モノの値打ちのあるイベントを通して考えさせられる部分が大きかった。文化というのはきっと、こういうところで再認識され、そして始まっていくのだろうと思う。

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Composed by Syun Osawa since 10.1997