B E__M O D / P A S T__N E W S 過去のニュース
■ Necros が追い求めたもの 2002.2.10
_Necros とは安易に面白い人である。
_余計な事を書くと,またアンダーワールドとの接点から遠ざかってしまうので,今回は前置きなしでご紹介します。
__skyscraper (remix)Composed by Necros / Five Musicians format channel filesize | : s3m : 16ch : 423kb |
_よーするに,Necros とはこういう人である。
_この曲は,言わずと知れたアンダーワールドの出世作『 mmm... Skyscraper I love You 』のリミックスである。ただし,久しくこの曲を聴いてない人には,どこがリミックスなのか分からないかもしれない。
_僕はこの曲を聴いた時,「え?リミックス?あれ?原曲ってどんなんやったっけ?」と思い,アンダーワールドの方を聴き直した。たしかに,原曲よりも躍動感が増してる。たしかに,Neros の作品を聴いた後に原曲を聴くと,少し物足りなさを感じる。しかし,それだけである。
_Necros はここが面白い。
_こともあろうに,『 mmm... Skyscraper I love You 』のリミックスを,Mellow-D や Basehead のような完全なる変化球のリミックスにしないで,原曲を継承しつつ,グルーヴを乗せるにとどめるあたりが,筆者が「ミーハー」だなぁと思う所以である。
_彼は,『 The Grey Note 』を収録した,自身は初のアルバム『 Progression 』や,Basehead との共作『 search for the lost riff 』といった,評価の高い生音系の作品の後に,この作品をリリースしたのだ。
_もしかすると,このあたりが転換期だったのかもしれない。これは,筆者の勝手な想像だが,おそらくこの辺の流れが,アンダーワールドが FM に最も大きな影響を与えていた時期ではないのだろうかと思う。
_もちろん FM だけではない。当時の状況として,『トレイン・スポッティング』が,そして,アンダーワールドが,世界中の若者に与えた影響は恐ろしく大きかったのだ。先日,単館映画の最高入場者数が『アメリ』に抜かれたそうだが,若者に与えた影響の大きさは,その比ではないだろう。
_話がとっ散らかったけど,でもこの何だか意図がよくわからないこの曲が,意外に良い感じなのが不思議です。それは,一重に原曲の良さ,ベースのリフの素晴らしさのおかげだと思いますが。でも,アンダーワールドを堂々とリミックスしたあたりの感じが,僕は大好きです。
_原曲を全く知らない人は,Amazon.com のサンプルですが触りだけでもどうぞ。
_mmm... Skyscraper I love You
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_Necros のミーハーっぷりは,これだけにはとどまらない。彼はサラ・マクラクランの名曲『 Possesion 』もリミックスしているのだ。これには驚いた。
_なぜなら,僕は彼のリミックス作品の代表曲『 amber poison 』を聴いた時,すぐさま僕もこういうリミックスをやってみたいと思い,サンプリングの対象に選んだのが,な!な!なんと『 Possesion 』だったのだ。これには本当にビックリしました。
_僕のような秋葉系日本人とは全く似て比なるアメリカ人( Necros は男前です)が,まったく同じ考えですでにリミックス作品を作っていたというのは,何とも不思議な感覚です。確実に言える事は,僕は Necros と非常に音楽の趣味が近いという事です。僕が Necros に妙に惹かれ続けてきたのは,もしかしたらそれが原因だったのかもしれません。
_しかし,彼の作った『 Possesion 』のリミックスはショボショボでした。一応,ご紹介しておきます。
__" Possession" - Necros remixComposed by Necros / The Psychic Monks / iCE format channel filesize | : s3m : 9ch : 788kb |
_これも意図不明朗です。
_この曲は,サラ・マクラクランのアカペラから始まるので,Necros はその部分をサンプリングして,バンド仕立てにしたわけです。が,原曲と聴き比べても,意図が微妙すぎてなんかよくわかりません。でも,それが彼のミーハーであり,僕が愛すべき所でもあるわけです。
_ちなみに,この曲が収録されている『 Fumbling Towards Ecstasy 』というアルバムには,ジョニ・ミッチェルの名曲『 Blue 』のカバーが収録されております。日本盤のみのボーナスとラックですが,僕の中ではかなりのレア音源です。
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_次回は,FM の切り込み番長 VIc です。
_彼のアンダーワールド論は,Necros よりも大雑把。でもパワーがあります。野球で言うなれば,清原。俳優で言うなれば,細川茂樹といったところでしょうか。
_ネットアイドルにハマる日々です。
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■ ミーハー(死語)キングだ! Necros だ! 2.9
_アンダーワールドと FM の奇妙な関係と言っておきながら,いきなり直球を投げてみようと思う。
_FM の中で,直球を主体とした作品をガンガン投げ込んでくるピッチャーは,Necros と Vic しかいない。彼らは典型的な先発完投型ピッチャーである。この 2 人の明快さをそれぞれ一言で表現するならば,Necros は「ミーハー」。そして,Vic は「大雑把」。この言葉には良い意味も悪い意味も込められているが,僕はそれを良い意味で用いています。
_とはいえ,FM を作った事によって,最も名前を売ったのは誰あろう Necros である。
_MOD の世界には,Instrument や Comment の欄に「 Greet to 」とか「 Greetings 」などとして,自分の尊敬する,もしくは影響を受けた作家達の名前を列挙する習慣がある。アカデミー賞とかグラミー賞などで,受賞者が関係者の名前を列挙するあの習慣である。日本でもやってる人があるが,日本には元来そういう文化はないので,見ていて微妙にこっ恥ずかしいと思う時がたまにある。
_話を戻しまして…
_そこでよく Necros の名前が書かれているを見かけるのだ。もちろん,彼は多くの MOD 系ミュージックグループに参加していたので,そういう意味で,既に名前が知れ渡っていたという事も考えられます。よーするに,MOD 界の有名人です。
_文章が下手なため,アンダーワールドに辿り着きませんでしたので,今回は Necros の FM 初リリース作品にして,FM 自体でも初リリースとなった,いわば旗手とも言える作品をご紹介します。
_見出しの「ミーハーキング」はまた次回。
__Realization llComposed by Necros / Five Musicians format channel filesize | : s3m : 9ch : 285kb |
_1995 年 3 月 23 日,Five Musicians からの初リリース作品となったのは,この曲でした。
_初リリースなのに,タイトルに『 ll 』とあるのは,1994 年 6 月 4 日に『 Realization 』という作品が, The Psychic Monks (以降 PM )よりリリースされていたからです。前曲に比べると,少しジャズの香りと生音の雰囲気が強調されています。前作では音がベタッと貼り付けられている印象がありましたが,今回は空間を意識した音作りになっており,この頃の Necros の成長の度合いを伺う事ができます。
_そして,『 Realization 』の 1 から 2 への飛躍により,Necros は後に,名曲『 Gray Note 』を生み出す事になるのです。しかし,この当時の Necros には,恐らく知るよしもありません。
_Necros は様々なジャンルの作品を組み立てましたが,『 Realization ll 』などの生音系の作品の曲作りに関しては,実に紳士的です。この曲も,丁寧に一音一音の動きに気を配って作られています。
_彼はジャンルを問わず,多くの作品を作りましたが,多くの MODer が支持した最も大きな要因は,この曲のような,基礎があり,技術の積み重ねによって成り立っている作品群にあるのではないかと,僕は考えています。
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_ちなみに,『真性鬼エヴァンゲロリオン』の第一話は『ムスカ襲来』,第二話は『ルイ快楽の補完』でした。インディーズ系エロアニメ,出来は最低ながら,オープニングテーマとエンディングテーマがちゃんとあるのが謎です。
_Mellow-D 三連発が1つ抜けましたが,それはもう少し後に回しまして,次回は『 Necros ミーハー伝説 Vol.1 』です。
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■ アンダーワールドと FM の奇妙な関係 2.8
_Five Musicians を語る時,彼らの作品群において,絶対に切り離せないミュージシャンがいる。
_アンダーワールドである。
_特に,Mellow-D に至っては,その感化のされ方は顕著である。しかしそれは,彼の作品がそのままアンダーワールド風であるとか,そういうい意味ではない。アンダーワールドが生み出した大きな流れに対して,彼は最後まで自分なりの答えを見つけようと試み,妬みにも似た感情の中で苦しむ事になる。
_今回ご紹介するのは,そんな彼が Instrument の欄に自ら『 Inspired by Underworld 』と書いた,彼の複雑な感情の一端が見え隠れする作品です。
_ Composed by Syun Osawa since 10.1997
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