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過去のニュース

魅惑の 4 チャンネル その 2 2002.3.25

_Jazz は 1999 年まで Amiga にて MODule を組み立てていた。その間,MOD 界は S3M から,XM ,そして IT に移行していったにも関わらず,彼は MOD 形式で MODule を作り続けている。

_魅惑の 4 チャンネル その 1 で紹介した『 ink ribbon 』からも感じていただけると思うが,80 年代後半に開発された MOD フォーマットで,ここまでの作品を作ってしまうのは,驚き以外の何物でもない。まさに変人である。

_というわけで,今回は,そんなキュートな彼の『 ink ribbon 』のアンサーソング的な作品をご紹介です。Jazz 名義の作品の中では一番のお気に入りです。お洒落なグルーヴです。

__serene lily

Composed by_Jazz / Haujobb
__Azazel / TBL

format
channel
filesize
: mod
: 4ch
: 373kb

_出だしのストリングスのフェードインに絡むピアノの旋律。そして,エフェクトで潰されたドラムから畳み掛ける一気のグルーヴが,もう速効で心を持ってかれます。

_お洒落の装いが丸出しな作品なので,たまにオシャレしてギロッポンなどに出かけたりするなんて事が嫌いな人には駄目かもしれませんが,これを 4 チャンネルで作っている事を考えれば,これはもう…凄すぎます。

_この作品は 1997 年の作品。Azazel との共同作品。Azazel と言えば『 fractured.ni 』の作者。ユーロ系のヴォーカル作品とか作ってます。意外なところで意外な人がつながってる事を発見するのも,MOD 探索の楽しみの一つです。

_まさかこんなユーロ全開バリバリな作家二人がこのような素敵な作品を作るとは,これまた驚きです。確実に言える事はキャッチなところが似てる。という事ぐらいでしょうか?

_Jazz が放つ MOD 4 チャンネルの魅惑的な作品はまだまだたくさんありますが,とりあえず定位が激しいので,決してヘッドホンでは聴かないでください。ファイルの中身を Tracker で開いてみればわかりますが,MOD 形式は組み立てが分かりやすくて良いです。

_それにしても Jazz の共同作品には,恐ろしく素晴らしい作品が多いです。きっと人との相性が良いのでしょう。

_次回は,週末に東京ビッグサイトで行われるの CG カーニバルのレポだと思います。たとえ,アシスタント業が 25 時間労働であっても,これだけはゆずれません。僕一人たばこを吸わないので,仕事場はかなり地獄です。

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魅惑の 4 チャンネル その 1

_漫画界には僕の知らないことがたくさんある。

_例えば少年マガジンでは,そのほとんどの作品はゴーストライターがストーリーを作っている。ストーリー作家,構成,作画とテレビドラマのように,複数で漫画を作っていく方法が主流だそうだ。その筆頭となるのが木林という人。元講談社社員であり,今はフリーライターとなっている。

_この人の手がけている作品は,「サイコメトラー EIJI 」,「金田一少年の事件簿」,「 MMR 」,「 Get Backers 」,「 GTO 」,「シュート」などなど。絵を描くことが好きな人はいいかもしれないが,これはもはや漫画家というよりは漫画絵師というか,美術担当者の世界に近く,なかなか複雑なものがある。

_そういう話は普通にたくさんあり,例えば「稲中」では,漫画家がネタを考えると,それを面白く構成するのは編集がやっていたらしい。その編集者のところにギャグ漫画の持ち込みをすると,漫画を描かないでいいから,ネタとキャラクターだけ作って持ち込みさせるそうだ。

_というわけで,変革が必要な時期である。

_変革に最も重要なことは「考え方」の変革である。MOD に世界にあって,見事にそれを成し遂げた Jazz さんの作品と,「その後」をご紹介します。

まずはこの 2 曲を聴いてもらいたい。

_1993 年 techno-mix / Delta (別名義)

_1994 年 magic friend (remix) / Jazz

_いわゆるテクノハウス系のリミックス作品。1992 年より活動を始めた Jazz は,当初こういう作品を中心に作品を乱発していた。もちろん 4 チャンネルである。

_1994 年中期より Cybex から Haujobb に活動の拠点を移した Jazz は,1995 年頃から他のミュージシャンとの共同作品を手がけるようになる。

_これが Jazz の才能開花の引き金をひいた。

__ink ribbon

Composed by Jazz & Radix

format
channel
filesize
: mod
: 4ch
: 254kb

_1996 年,Jazz は大変革を起こします。

_1992 年当時の作品はショボショボのものが多いです。中には前に紹介した『 spanish-fly 』のような変わり種も作っていますが,この頃は特に目立つことのない,一般的な作家の一人でした。

_1996 年,彼のリリース作品はわずか 6 作品。1993 年に 49 作品をリリースしていたことを考えれば破格に少ない数です。しかし,その 6 曲には捨て曲がたったの一つもありません。今回紹介した『 ink ribbon 』は,タイトルと作品のギャップ,前に紹介した 2 曲との比較のために選曲してみました。ファンクな曲です。

_驚きは 4 チャンネルです。

_彼は Jazz 名義時代。Amiga PC で作品を作り続けています。1999 年まで 4 チャンネルの Amiga で作品を作り続けるというこだわりが,驚くべき魔法と昇華していくのです。

_4 チャンネルは多くの音を重ねることができないので,1 音 1 音に緊張感があり,その全てが機能していないとここまでの作品には至りません。この曲の持つ個々の音が持つ絶対的な主張は,彼の長年の 4 チャンネルへのこだわりが生み出した一つの世界であるといえるでしょう。

_4 チャンネルはどの音がどのタイミングで,どのようになっているかが確認し易いです。しかも Jazz の曲はかなり簡潔な組み立て方をしているので,MOD をこれから作ろうと考えている方は,Tracker で開いて学ぶと,いい教材になるのではと思います。

_25 時間労働が当たり前になってきたアシスタント生活。限界を超えるとはこの事らしいです。

_明日は,Jazz の共同作品の中で,僕が最も愛すべき,魅惑の 4 チャンネル作品をご紹介致します。

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ヤンマガ失敗で身の程を知る 3.17

_そんな傷心の時は,もはや最高の曲を聴くしかありません。大好きな Basehead の曲をご紹介です。

__ninja philosophy

Composed by Basehead / Five Musicians

format
channel
filesize
: it
: 24ch
: 354kb

_この曲の肝は,ハモンド系のシンセの捉え方だと思います。これを良しとしなければ駄作という事になるでしょう。

_僕は Five Musicians のメンバーの中で,Basehead が一番好きです。僕の中では,彼は頭一つ抜けてる感覚があって,もしかしたらこの曲を聴けばその感じというものがわかってもらえるかもしれません。ちょいジャジーなニュアンスが僕の琴線に触れまくってます。

_雰囲気が相当良いです。

_彼はこの作品について,かつて坂本隆一もいちまいかんでいたレーベル『 Ninja Tune Label 』に感化されて作り上げた作品であるとコメントを付けています。

_ジャズとダンスという,テクノ界において重要課題である二つの事柄に対して,彼独自のポップセンスを持ってその答えを導き出そうとしています。そして,その答えが僕には明快に感じられました。ミニマルが大好きな割に,メロディに対して柔軟な姿勢が僕好みです。

_ちょっとお洒落で,ジャズの匂いが漂い,イッチョマエな音を出す曲に興味を惹かれる方には,きっと好んでいただけることでしょう。

_僕の中では,単発でリリースされた Basehead の曲の中では 5 本の指に入る作品です。

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漫画家のアシスタントを開始 3.5

__+turn 2 blue+

Composed by Genius / Fairlight

format
channel
filesize
: mod
: 4ch
: 74kb

_最近は,音的にクオリティの高い MODule よりも,素人丸出しの風なのだが,そのくせ物凄く味のある曲というのを好んで聴いている。

_昔は,「 MOD は曲数は多いが,ほとんどはゴミだ。」なんて言う人もいたが,それは全くの間違いである。そのゴミと言われる曲にこそ,既存の音楽会社の商業主義の影響を受けた一般曲では味わえない面白さとか,儚さとか,素朴さとか,一言では決して押し測る事のできない良さがあるのだ。

_この前,山下達郎さんがラジオで「最近はとにかく音圧,音圧で,デカイ音で音足せば良いと思ってる人が多すぎる。」と言っていたが,そのニュアンスには大いに賛同できる。

_この曲は,僕が物凄く気に入っていて,でもそれほどカッコイイというわけではないので紹介せずにおいた曲である。

_でも,大好きなのである。哀愁があって,なんか邦楽っぽい装いもあって,ピアノのフレーズが心地良くて,とにもかくにも惹かれるのだ。

_「カッコイイ」というカテゴリーには入らないが,少なくとも僕の心に何かを残してくれる。そんな印象の曲です。何より,ピアノとベースが良い。音色はショボイ MIDI という感じだけど,大好きです。

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Composed by Syun Osawa since 10.1997

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