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過去のニュース 2004 年 1 月

2004.1.27 はぁ〜無理

世界最強の 3D 動画登場! 中国が踊る日☆
 遂にこの日がやってきてしまいました。中国は恐るべき動画を作ってしまいました。「水墨画」を模した 3D アニメはこれまで数々試みられてきましたが、ここまで美しい作品を見たことがありません。

 良いかどうかはもう分かりません。ただ確実なことはここまできてしまったという事実です。これができるんなら、もう手描きでチマチマとセルアニメを作ることが馬鹿らしく思えます。少なくとも動画に関しては、概念そのものをどこかでシフトチェンジしないといけない時代が来るのかもしれません。

くるりの新譜
 太っ腹のフル試聴です。なんていいますか、相変わらずのマイペースですね。羨ましい限りです。

2004.1.23 そろそろ何か始めないと…ダメだな

サラ・マクラクランはやっぱり凄い!!
 世界で一番尊敬する音楽家、サラ・マクラクランが Run-DMC の DMC と共に曲を出すそうです。カントリー系のソフトロックが主体でありながら、世界初の女性だけの野外ロックフェスを主催してみたり、Delerium のトランス曲に参加してみたり、まったくもって凄い人ですね。

今だからこそ Prodigy …なわけないか?
 2002 年に行われた Prodigy のライブ音源が MP3 で公開されています。違法録音だとは思うけど“ Firestarter ”とか懐かしいやねぇ。

PSYCLE COMPO #4
 気づけば SCENE とは随分と離れたところに来てしまった気がします。でも、やっぱりこういう COMPO は良いですね。よく見ると Aymes の作品が 2 位に入っていたりします。

2004.1.22 東証一部の社長と同席…小市民はダメだな…

渇いた色彩感覚に酔う
 実験的要素の強い中国産 FLASH アニメ『 open 』です。最近は、中国産ばかり紹介してる気がしますが、特に深い意味はありません。カクカクと安っぽい動きと適当な作りこみの作品ではあるのですが、作品を構成する視覚的な演出が気に入りました。ラストへ向けてその才能が加速しています。

 才能といえば…

 FLASH アニメを見て、たった一度だけ涙を流した作品がありあました。中国の西京大学に通う学生、林℃の『 yellow 』という作品がそれです。今もってなおその完成度は見習うべきところが多く、見るものの心を奪います。

プロの実力
 3D アニメ製作会社はどこもプロモーションビデオを作製します。スーツを着たお金持ちの出資者にそれを見てもらい、値踏みしてもらうためです。これはその一つ。金かかってます。

こういう一つの楽しみ方☆
 同じ構図の絵をひたすらタッチを変えて描きまくるという試み。よくもまぁ飽きもせずに同じ絵で遊んでいられるものですな。感心してしまいます。

2004.1.18 あっという間に日が暮れて…

押井守監督作品『イノセンス』予告動画
 どっしりしてます。テレビ版の微妙に浮ついた感じがなくなり、『劇場版パトレイバー』を彷彿とさせるどっしりと重たい空気感が画面上を支配しています。

『絶対無双麻雀マン』再び
 実験的な実写作品を中心に、優れた短編作品を公開し続ける素敵なサイト openArt より。しかしながら、最近は節操がなくなってきたというか、初期の実験的な試みが薄れ「アニメなら何でも根こそぎ」みたいな感じになってきました。やはりこういうサイトを誠実に運営するというのはなかなかどうして、難しいようですね。

 ちなみにこの作品は一昨年の DoGA コンテストで会場で人気 NO.1 だった作品です。幕間に公開されたパロディ作品と合わせ楽しませてもらいました。何が良いって、とにもかくにも動きまくりで、作者の「根性」がビシビシと伝わってきます。

今さらながらの Assembly 2003
 遅いにも程があります。2003 年の夏に行われたデモパーティー Assembly の Vocal Music 部門にエントリーされた作品群をようやく制覇しました。というわけで、お気に入りのヤツを3つほど。

pearls 』 by aisth

 大、大、大好きな愛しの Aisth 嬢の作品です。もちろん Vocal Music 部門でも堂々の第一位を獲得。当たり前ですね。しかし彼女のサイトは今、悲しいことに繋がらない状態になっています。メジャーデビューのためなのか何なのか、その辺は定かではありませんが、復活が望まれます。

soon 』 by aienn

 これは全体を通しての展開が非常にカッコイイです。アコースティックとエレクトロニクスの絶妙なところを尽きたいという意図が伝わってきます。ただ、ソレが成功したかどうかはわかりません。結果、この作品はトップ 10 にも入ってませんから。でもこの曲の包括している物悲しげな物語に共感するものがありました。下手糞なシンセのソロが哀愁を誘います。

Rainbow Racer 』 by J Airaksinen & M Rochowski

 アニソンです。しかも 80 年代のアニソンって感じです。もちろんトップ 10 にも入っていません。でもいいですね。何てったって「哀愁」汁出まくり。こういう泥臭いヤツ、僕ぁ大好きですよ。

2004.1.17 文学少年には…なれません

動く動く、めまぐるしく動く
 動画 Stduio じゅんじゅん さんによる FLASH アニメ『 デュアルスター・ゼロ 』です。練習用の GIF アニメを日替わりで公開されており、筆者もたまにテンプレとしてそれを保存させてもらっています。

 モーショントゥイーンに頼らず、枚数を重ねてアニメを丁寧に作っているところは好感が持てます。特に爆発エフェクトは上手ですね。ただ、動きが全部すべて同じタイミングのため、「ダダッ、サー。ダダッ、サー」と画面が動いている割には単調なテンポになっているのが残念です。長い動画と静止画のバランスに強弱がつけば、かなりハイレベルな作品になるでしょう。

2004.1.16 綿矢りさが芥川賞をとった…

 イチローがメジャーで成功した時と同じくらい感動しなかったのは何故だろう? それはきっと、作家の人生に感動していないからだと思う。でもよく考えたら漫画でそんな風に思うことはないよな。作家で判断しないもんな。でも山本英夫の評価は、今回の一件でさらに上がってる。人間って不思議だ。

 とりあえず、これ 読まなきゃと思ってます。

2004.1.14 偏向思考の基準って結構難しい…

キャワいい☆残酷物語
 The Ping Page では、素敵な 3D アニメーションがたくさん見られます。プロでしょうかね? そうでしょうね。特にこの作品はエッジが効いていて大好きです。

3D のブルース・リー
 よく似てます。3D には「止め絵」で表現する人と「動画」で表現する人がいますが、こういうのはぜひとも動かして欲しいですね。

お気に入り曲を少しずつ
 仰々しく紹介するのはやめて、少しずつ溜まった作品を消化していきます。

Cuba Cafe 』 by soundfreak

 1:51 あたりを聴いて下さい。ここがとにかく最高ですわ。ここは何でも使えそうです(何に使うかは知りませんが)。一瞬時が止まって昔の思い出がフラッシュバックするような、そんな感覚に晒されます。

2004.1.13 田中麗奈が『徹子の部屋』に…

 アホだアホだとは聞いていましたが、意外と普通でした。

お気に入り曲を追加
 左の fab trax が減ってきたので、また追加です。世界には恐ろしいくらい素晴らしい曲を無料で公開している音楽家がたくさんいます。本当に尊敬しますね。

Trees all around 』 by moonove

 keio の変名である moonove 名義でリリースされた EP“ Lost in side ”に収録された曲です。日本フィルのドボルザークに感銘を受けたからって訳ではありません。元来ミニマルなオーケストレーション曲が好きなのです。特に FLASH で作品を作るようになってからは、こういう微妙な心象風景を表した曲はグッと来ます。

A Favor in the House Atlantic (Equal Vision) 』 by Coheed and Cambria

 基本的に「ヘタウマ」が好きなんです。字だって達筆な人だけが好まれるわけではありません。お笑いだって売れてる人だけが好まれるわけではありません。そんな言い訳も含みつつ思い付きです。左には登録しませんが。

樋口真嗣ってこんな人
 またもや掲示板情報。『不思議の海のナディア』の島編を担当した人といえばわかる人にはわかるでしょう。ラブロマンスのループ話により、コミケでナディアの二次創作(エロ系)を爆発させた張本人でもありますが、僕的にはもっとも不必要な「島編」を作った人として記憶されていた人です。

 ガイナックス黎明期の由無しごとは、すでにオタキングを筆頭に庵野氏も武田氏も語りつくしています(しかも自伝的 OVA『おたくのビデオ』まで作ってます)。しかし、彼らの話はどこの角度から聞いてもやはり伝説で、青春で、「トキワ荘」の次って言ったら「ガイナックス」ってくらいに羨ましい話がテンコ盛りなのです。

 個人的には記事よりも 動画のインタビュー を充実させて欲しいですね。これ見てたら羨ましくて胸が一杯になります。

2004.1.11 10 年ぶりくらいに日フィルのコンサートへ

浜野保樹の『日本発のマンガ・アニメの行方』
 掲示板で素敵な情報を教えていただきました。フランスの 3D アニメ事情や、中国アニメの躍進などは、BEMOD でも訴えていましたが、ここではより早く、より正確に詳しく解説されております。

 こういう情報を手に入れるべく、僕もアニメーション学会に入りたいなぁ…と思ったら、活動がショボショボ なので自分で研究会でもやろうかなと、思ってます。

中国 FLASH アニメあれこれ
 中国 FLASH は凄いです。今に始まったことではないですが、チョロッと探せば素敵な作品がザクザク出てきます。

豆神伝奇―幽霊谷 』 by 快采豆豆

 早くも第三集目。いわゆる、アメリカ・イギリスをよりどころにするポップアートのノリ( shockwave.com が目ざとくやろうとしている周辺 )だが、作品のクオリティはこちらが断然上。物語もアニメーションも、こういう系統の作品群では日本のソレを圧倒する仕上がりになっている。特にエンドロールは最高。

向左走,向右走 』 by 行客侠

 面白みは全くないが、真摯な佳作。背景、立ち絵ともに丁寧に描かれており、真面目に作りこんだ感じが伝わり好感がもてる。

愛眼屋―講座編 』 by 呆然朝風

 いわゆる素人作品ではなく、昔の日本のアニメ会社の制作したような作品。しかも小学校とかで上映されそうな時代錯誤な表現ではあるが、このレベルの作品が日本から登場しないため、ネットにおけるこうしたアニメーションの占有権は日本より中国にある気がする。今はいいが、今後を考えるとこれはこれで無視できない。

ロボット大戦 3D アニメ『 Zentrix 』
 ロボットと美少女。80 年代のオタク達をもっとも熱く炊きつけた二大要素を使っての 3D アニメーション。ロボットのデザインはアメリカっぽいなーと思っていたら、これ作ってる所在地ってどうやら香港らしい。グローバルな時代ですな。

2004.1.9 山本英夫さんの逮捕説が真実に…

 芸能人は一定期間経つとカムバックできますが、漫画家は作品まで全部回収ですからね。厳しいですよ。ホント漫画家には厳しい世界です。

 現在発売中の『 Windows100%SUPER! ゲーム脳 2 』(晋遊舎)に『 突破人 第二話 』が収録されました。ご報告までにお知らせです。

2004.1.5 松屋の唐揚げ飯って…時代は変わりましたなぁ…

素敵な建物

アップルシード/ t.A.T.u
 シェーディングの方法が ロマノフ比嘉 氏の『 ウルダ 』とかなりかぶっている 3D アニメ映画『アップルシード』。少し気になって、スタッフを見てみると、制作を担当しているのは デジタルフロンティア という会社。アニメというよりは映像製作会社の流れからきているようだ。

 予告動画 を見ると、金のかかった豪勢な 3D 作品に仕上がっている。あまりの不人気で屋台骨まで揺るがしたスクウェアの映画『ファイナルファンタジー』の二の舞になるかどうかは、実は作品のクオリティよりも押井守の『攻殻機動隊』に便乗できるかどうかにかかってるのかもしれない。

 世間ではいい噂を聞かない t.A.T.u のアニメ化。話題であろうがなかろうが、重要なのはその内容。スタッフの顔ぶれ を見るとオープニング演出に『カウボーイ・ビバップ』の渡辺信一郎氏が名前を連ねている。ただの名義貸しかどうかは知らないが、興味はある。

リンクを追加&修正
 stingray さんの運営されている音楽製作系( Tracker 系)の参加型ニュースサイト tracker research central を追加、SCENE 界の重鎮 tracker scene japan のリンク先を修正しました。

2004.1.4 『 8 Mile 』に感動、カーティス・ハンソンはやっぱり凄い

ラマになった王様

ラマになった王様

 最近、ディズニーを見るようになった。それまでは意図的に避けていた。なぜなら宮崎駿が「ディズニーは偽善的で嫌い」と公言していたからだ。宮崎駿信奉者の筆者にとって彼の意見は絶対である。ところが近年、ディズニーとスタジオジブリが仲良くなっていったもんだから、昔のあの発言は何だったんだ? と不信感を抱くようになり、箍(タガ)が外れてディズニーを見るようになったというわけ。

 今回見たのは『ラマになった王様』という作品。当たり前の話だが、ディズニーアニメほどアニメーションという言葉が当てはまる作品はない。それはもう「うっとおしい」くらいによく動く。逆にその過剰な演出がウソっぽくてきみが悪いときもあるが、アニメーションの技術という意味では凄い高みにあることだけは確かだ。

 それにしても作品のタイトル。『ラマになった王様』というタイトルで、その物語の全貌がすべて見えてしまうのはどうなんだろうか? ちなみにアメリカでのタイトルは「 The Emperor's New Groove 」。邦題をつけるならもう少しマシな付け方もあったろうに…。

 ストーリーはお察しのとおり、わがままな王様がラマになって苦労し、最後に少し良い王様になるという話。絵本なんかでもよく見かけるストーリーだが、実はこの展開って変だと思う。もともと幸せな人生を送っていた人が、少し苦労して、また幸せな生活に戻る。そしてなおかつ王様であり続ける。実に変な話である。

 第一この話に出てくる王様は大して苦労をしていない。主人公の農民に助けられ、彼の付き添いで城に帰るのだ。そして手助けをしたその農民も、自分の家が取り壊されるのが嫌だと言う理由だけで王様に優しくするのである。損得だけでお互いが動き、それが実って互いに利益を得る。ディズニーは子供にギブ・アンド・テイクの基礎基本を学ばせたかったのかもしれない(う〜ん、悪趣味!)。しかしながら、そんな微妙な思想以外は、結構楽しい物語に仕上がりになっている。起承転結の付け方はまさしくプロの技。超一流のアニメ製作会社は伊達じゃない。

2004.1.3 渋谷の丸井ワン閉鎖らしい…

 ファッションにはまったく興味のない筆者は年に一度、1 月 2 日にだけ服を買う。真相は定かではないが、一番安く服が買えるらしいからだ。その買出し順路にも入っていた丸井ワンが今月で閉鎖するそうな。ヤバいなぁ…新宿も客入ってないからなぁ。中間層のブランドブームはとうの昔に峠を超えているので、ここは思い切って上層階にアニメイトとか作るアイデアが必要なのだろう。

さよならリキッドルーム

The Last Dance
参加者全員に無料で配られた CD

 カウントダウンをどうするか?

 僕にとってはそんな事はどうでもいいことだ。しかも今年は格闘技イベントが3つも同時開催されており、いつも以上にテレビを見ることを重要視していた。チャンネルをせわしなく換える喜び…ビデオなんて一台しかないのに…今も悔やまれる。

 しかしまぁ、いろいろな経緯があり新宿で飯を食うことに。そんな流れから「じゃあカウントダウンにどこへ行くか?」となったらば「リキッドで卓球がやるらしい」「でも卓球は WOMB と WIRE で見たからいいや」「でも他に行くところがない」「 7000 円は高い」「しかしメタモルフォーゼは遠い」「でも…」等などの経緯から、結局リキッドルームへ。

 結果からいえば、ずいぶん「得」をした。初めてのリキッドルームがさよならのリキッドルームになるとは思っていなかったけれど、イベントとしての価値以上の何かを得た気がした。

Liquid Room

 このイベントが終わったのが 1 月 1 日の夕方 4 時。つまり卓球が DJ として登場した午前 2 時から、実に 14 時間以上もの長きにわたり彼と時間を共に過ごしたわけだ。新参者の僕は、まさかそんなに長くやるとも思ってないので朝がた疲れ果てて死にかけていたが、曲の内容がオタク貧民の筆者にもわかり易かったため十二分に楽しめた。途中、ピエール瀧が何度かお約束の登場。この人は出てくるだけで会場が盛り上がる。日本にも優れた DJ はたくさんいるけれど、こういうのは他の DJ には絶対マネできない素晴らしいオリジナリティだなぁと思う。

 一通りのセットが終了したあと、卓球とファンとの歓談へと続く。ちょっぴり丸みを帯びた卓球が、いつものハイトーンヴォイスでファンからの問いかけに応えていた。

「こけら落としって言うの? あれが俺だったから、最後も俺でやっぱ感慨深いものがあるよねぇ。」

というセリフは、事の経緯を何も知らない筆者にも胸にクるものがあった。最後に「早く帰れば?」のユーモアを残し、New Order の曲(曲名忘れました)で大団円。実に思い出深いイベントとなった。

 日本では今、大型イベントが花盛りだ。筆者もご多分に漏れずマッチメイクの面白さだけを重視したイベントによく参加する。それはそれで悪いことではないけれど(自己肯定です)、文化の深まりという意味では「裾野を広げるだけ広げて、残ったのは沙漠だけ。後には草も生えない」という状況にもなりかねない怖さがある。そういう情勢だからこそ、普段ミーハーなところにしか行かない筆者も、こういう一生モノの値打ちのあるイベントを通して考えさせられる部分が大きかった。文化というのはきっと、こういうところで再認識され、そして始まっていくのだろうと思う。

2004.1.1 Comic Studio を買おうかと検討中…

 アニメーションは PC、漫画はアナログと思っていましたが、ペン入れだって集中線だって PC でやった方が効率的なわけです。出版業に勤しんでるんだから、紙へのアプローチも PC 環境を導入したいんですが、2004 年はとりあえずパソコンを買い換えたいですね。そういえば、貰った RETAS! PRO まだ全然使ってません。あれは当分無理だろうなぁ…。

猫の恩返し

猫の恩返し

 影が薄く『耳をすませば』と混同されがちな『ギブリーズ2/猫の恩返し』。柏原芳恵と榊原郁恵の区別がつかず、結局二人とも“榊原郁恵”に収束されてしまったように、『猫の恩返し』も『耳をすませば』の副産物としていつの間にか過去に消えてしまいそう。さて。

 相変わらずジブリの作品はよく動く。もちろん Production I.G 作品やマッドハウス作品もよく動くのだが、ジブリのそれは動いている域が長く、かつ執拗だ。しかもそれがディズニーのそれとは一線を画しており、オーバーな動きよりも、よりリアルで微細なしぐさやニュアンスに気が配られている。こうした根本的な技術力の高さは、見ているだけで「ハァ〜」とため息が出る。

 本作品は、前記した『耳をすませば』に登場する猫の人形をヒントにして、物語の概観が形作られている。「もしも猫の世界があったなら?」という幻想的なアイデアを手がかりに、現在を悶々と生きる少女が、生きることへの活力を見出していく。自分自身の曖昧さ(アイデンティティの揺らぎ)を認識し、大人になるための扉を開くという意味では、『千と千尋の神隠し』に近い思想が根底に流れていたように思う。ただ、『千と〜』と異なるのは、設定がその目的に対して直接的で、かつ説教臭いところだ。

 また、猫の世界とバロンがいた猫の事務所のある世界。非現実的な世界があえて二つ用意されたところに何か意図があったのかもしれないが、国語の成績が万年2の筆者にはそれを読み取ることができなかった。

 しかし、ハルとバロンはとても魅力的なキャラクターだった。単純ではあったが凸凹コンビとして明快で、見ていて気持ちがいい。王道でありながら重要な要素である。だが、ストーリーの主題である「少女の成長」に彼らのキャラクター性がどれほど影響を与えたかという意味においては、いささかの疑問が残った。

 最後に、『ギブリーズ2』が高畑勲系であるならば、こちらの『猫の恩返し』は宮崎駿系である。会社の方針かどうかは定かではないが、その色は忠実に再現されていた。二本のの作品を見ながら漠然と思ったのは、この職場にはこの二人の巨匠を尊敬していない人はいないんだろうなぁ、ということだ。もちろん人間的な好き嫌いはあるかもしれないが、彼らの作品に対して絶対の信頼を置いていることは間違いないだろう。だがしかし、その信頼は新しい時代を見つめた創作活動の上では危険ではないだろうか? その信頼を持続し続ける限り、あのスタジオの中から彼ら二人を超える監督が生まれることはないかもしれない。

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Composed by Syun Osawa since 10.1997