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Loop pool の衝撃(第二回インディーズアニメフェスタ)

インディーズアニメフェスタ

 石原都知事が何を血迷ったかアニメ産業に「お上の力添え」を加えたことで、結果としてインディーズアニメを地域振興の一巻として捉える市区町村が増えてきた。その筆頭は日本の20%以上のアニメスタジオがひしめく杉並区であるが、それに継ぐ勢力としてジブリ率いる三鷹市がある。

 三鷹市とNPO法人が主催となって行われたインディーズアニメフェスタも何とか第二回目を迎えることができたようだ。

 そんなわけで、2004年3月27日に行われた第二回インディーズアニメフェスタの雑感をツラツラと。

 今回の目玉の一つはは何といっても、フランスのアニメクリエイター Thomas ROMAIN が基調講演のゲストとして参加したことだろう。彼は以前 BEMOD でも昨年の2月に紹介 した『 Molly, Star Racer 』のチーフデザイナー。当時は浜崎あゆみのユーロビートミックスを使用したフランス産3Dアニメとして紹介したのだが、どうやらこの作品は日仏の合作作品のようだ。

 それにしてもまさか、以前から知っている Sav! The World Productions の Thomas ROMAIN を生で見ることができるとは思ってもみなかった。いやはや背が高い。彼は昨年の12月に来日して以来、春田克典氏率いるハルフィルムメーカーのスタジオで『 Molly, Star Racer 』の製作に取り組んでおり、2005年の秋に世界50ヶ国での上映をもくろんでいるそうな。ちなみにこのアニメ、制作費に12億円もかけているらしい(そうは見えなかったけどなぁ…w)。

 基調講演に続いて、インディーズアニメフェスタのノミネート作品が上映された。全19作品の中には、タナカウサギ氏の『ひげ蛙と小兎忍者』や石川プロ作品、塚原氏の『鉄路ゆかば』(あっ! 某人に礼状を書くのをすっかり忘れてた!! 非礼をお詫びします)など、知ってる作品もチラホラ。全体的な感想を述べると、インディーズアニメーションへの僕の過剰な期待に反してあまり心震わせるものはなかった。大学のアニメ研究会(偏差値の高いほど大学ほどアニメがしょぼいという状況はここ20年変わらない…)、卒業制作ものなどそれ自体が悪いわけではないが、とにかくまだまだ「シーン」としても未成熟だということだろう。そもそもそんな「緩さ」それが楽しいのだけれど。

 インディーズアニメ愛好家である僕の一番の収穫は、鮎澤大輝氏の『 Loop pool 』を見ることができたこと。涙が出るほど感動した。Thomas ROMAIN を生で見た感動など一瞬で吹き飛んでしまった。見事なセルシェーディング系3Dアニメ。完璧にコントロールされた動物達の動きとカメラワーク。ディティールの細かさは言うに及ばず、奥行きのある透明感のある森の色彩設定、見事というほかない。この作品は今回が初上映だろうか? インターネットで検索してみても、インディーズアニメフェスタしか出てこないということは、そうなのかもしれない。仮にもしそうだとすると、前回絶賛した『鉄仮面A』に続き今後の自主製作アニメの目玉となることは間違いないだろう。『 Loop pool 』。タイトルはとってつけたようで微妙だが、凄まじい作品である。

 最後に基調講演を行った春田氏の素敵なコメントを一つ。

「少ない予算と少ない労働力で以下にアニメを作るか? これが日本のアニメの出発点であった。そして海外とは異なる独自の技術が生まれ、日本のオリジナリティが築かれていったのだ。まだまだチャンスはある。」

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