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大塚英志×ササキバラ・ゴウ

 2004年5月25日。ジュンク堂池袋店にて行われたササキバラ・ゴウ著『〈美少女〉の現代史』出版記念イベントに参加。2月に『「おたく」の精神史』を出した大塚英志とのトークショーということもあり超満員だった(一ヵ月前に予約しといてヨカッタ…)。

 やっぱりアレです。大塚は「文学」を語ってるより「こっち」を語ってる方がずっと面白い。最初の方はテンションが低く、ササキバラとダラダラと雑談するという感じだったが、「徳間から角川へ」といった80年代の業界裏話あたりから「毒」が出だして面白くなった。

 スタジオジブリができたのは、ジブリのプロデューサーとして豪腕をふるっている鈴木敏夫氏が「アニメージュ」編集長だった時代ではなく、今は業界を干された形になっている尾形英夫氏(初代編集長)の時代だった、というところからはじまるエトセトラ。徳間の編集者が角川に流れていく80年代後半から、角川お家騒動につながる流れ。このあたりはまさに激動って感じですね。

 音楽の世界では、「80年代の音楽は糞だった」とチャー(あえてカタカナで書いてやる)がのたまっていたが、オタクの世界では最も創造的で刺激的な動きがあったのが80年代なのだろう。そう思いたくないけれど、今回の二人にしろ、ガイナックス界隈の連中にしろ、唐沢俊一にしろ、竹内義和にしろ、みんな原点が70年代後半から80年代にあって、語られる多くがその頃の思い出話であることからして、まぁ…しょうがない。今は自主アニメがこのあたりのムーブメントに相当すると信じてますけどね。

 押井守監督の『イノセンス』については 僕の意見 と同じだった。やっぱそーだよな。しかもカンヌに出品して、落選して、「タランティーノとは仕事しない」とのたまったという噂が流れたり、結局グランプリをとったのがマイケル・ムーア監督の『華氏911』みたいな思想性の強い作品だってんだから。

 日本の漫画やアニメは90年代に入ってからメディアミックスが慣例化され動脈硬化が顕著になる。そんでもって通産省あたりが「ジャパニメーション」を大プッシュしちゃったり、ジブリやプロダクションT.Gに国が予算をつけて「お上のヒモ付き」にしたりと、サブカルチャーであったはずのオタク文化がどんどん骨抜きにされている感は否めない。そしてそれが今回のカンヌの結果だったとすると…笑える。というような話です。そこに村上たかしのような不届きなビジネスマンが横から新手の商売を始めたりしてね。毒づいてましたよ。ええ。

 一番悲しいと思うのは、国が全精力をそそいでアニメ産業に参入してきた頃には、ガンダムを作り出したような、政治的な闘争を裏側でやってのけるような(安彦良和さんとか、富野由悠季さんとか)人は誰もいなくなってる可能性があるということ。ディズニーがアメリカでプロパガンダ映画ばっか作っているような自体になったとしたら、こればっかりはやっぱり寂しい。

 オタクがオタクであるだけで、そのスタンスそのものが政治的であるということはもうないのかもしれない。まぁしかし、2ちゃんねらが2ちゃんねらであるだけで、そのスタンスそのものが政治的であるというのは、新しい一つの闘争なのかもしれないけれど。でもそっちはあまり気が向かないなぁ。

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