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2004年08月01日

シュヴァンクマイエル映画祭

svankmajer.gif渋谷イメージ・フォーラムで開催されていた「シュヴァンクマイエル映画祭」に参加。シュバンクマイエルはチェコのアニメーション作家で、いわゆるアート系のアニメーションを作る人。シュールレアリズムのグループに属している御大である。

最近では2000年に発表された『オテサーネク』が知られているが、今回は実験的手法のアニメーションと政治色の色濃く出た『スターリン主義の死』を含む短編作品集を観賞。会場に来ていたのは予想通り美大系列のオシャレなお兄さんお姉さんが多かった。

『石のゲーム』(1965年/9分/カラー/オーストリア映画祭受賞 )
実験映画によく観られる無意味な長回しを見せられたらどうしようと思っていたらその真逆。計算されつくされた細やかなカット割り、画面のバランス、テンポ、どれをとっても素晴らしい。オープニングテロップの手法も渋い。

『ワイズマンとのピクニック』(1969年/11分/カラー)
人間の棺桶を作るというオチが途中でわかってしまった。『石のゲーム』ほどの破壊力なし。

『アナザー・カインド・オブ・ラブ』(1988年/4分/カラー)
ヒュー・コーンウェルのミュージックビデオ。芸術云々というよりもクレイアニメーションと人間を手作業でモーフィングする技術にただただ感動。このビデオ欲しい。

『肉片の恋』(1989年/1分/カラー)
結構良くあるネタ。一発ギャグのノリ。

『フローラ』(1989年/0.5分/カラー)
記憶なし。

『スターリン主義の死』(1990年/10分/カラー)
今回の上映会に参加した目的の一つ。スターリンの石造の顔が切り裂かれ、臓物の中から新たな顔が。また大量生産される同じ顔をした労働者が搾取され、壊され、再生産される様子を粘土で表現していた。チェコの国旗でスターリンの顔が塗られるシーンはまさにプロパガンダ。チェコが背負っていた社会状況の上でコレが作られているところがカッコイイ。後述する『プラハからのものがたり』でシュヴァンクマイエル自身が語っている通り「主義ってヤツはやっかいだ」が透けて見える。

『フード』(1992年/17分/カラー)
朝食、昼食、夕食の三部作。非常に刺激的な内容。粘土と実写のモーフィングがポイントで使用され、年配者と若者の対比など社会的背景を含みながら表現が爆発。カッコイイのひと言。

『プラハからのものがたり』(1994年/26分/カラー)
今回『スターリン主義の死』と並んで見たかった作品の一つ。『スターリン主義の死』についても詳しく語られていた。一番心に残った言葉は、「今の西欧諸国ではシュールレアリズムは成立しない。しかしチェコは違う。私はシュールレアリストである。私の作品は政治的であり、一部はプロパガンダ映画だ。そして私の作品に登場する人物は100年後には意味を持たない」。この逆を言う人はたくさんいる。「後世に残る作品を」と。しかし、彼の言葉のほうがはるかに説得力がある。

Posted by Syun Osawa at 15:44