bemod

2004年08月19日

パルムの樹

パルムの樹世の中の動向などとは一切関係なく、淡々とアニメ映画を見続ける生業。なかむらたかし監督作品『パルムの樹』を観賞。いやぁ〜この映画、なかなか難解だ。

なかむらたかし氏といえば、『AKIRA』の作画監督として有名な人。オムニバスアニメ作品『ロボット・カーニバル』の中で非常にミニマルな作品を公開していただけに、シュールな展開になるであろう事は何となく読めてはいた。しかしまぁ、関西弁で言うところの「わやくちゃ」な感じが最後まで作品全体を覆っていた気がするなぁ。

この絵は止め絵だとなかなかその良さが伝わり難いが、動いている動画としての『パルムの樹』はかなり素敵だ。液体やら破片やらそういった類の小物を含め、俯瞰した絵から見た小さなキャラがよく動く、そして、よく血が出る。ドバドバッと。「壊れもの」としてのキャラクターを血が出ることをもってリアルに表現しているところになかむら氏の意欲を見ることができる。さらに、人間ではないパルムが人間に近づくにつれてどんどん嫌なヤツになっていく姿は、目の前にある小さな物語を超えて僕の心に訴えかけるものがあった。

わやくちゃだったのは、対立軸(を中心とした設定)について。植物と人間なのか、子どもと大人なのか、地下と地上なのか。頭の弱い筆者にはだんだん何が何だかわからなくなってしまった。物語の後半、パルムの目的がぶれ、ヒロインの女の子のために人間になりたいという非常に人間的な感情が物語を支配するにもかかわらず、最後の最後にはヒロインの女性が自分ではない人間の男性と子どもを作り育てていくことを見守って行きたいと独白するという人間的でない終わり方については、僕にはどういう意図があったのかよくわからなかった。

Posted by Syun Osawa at 23:12