bemod

2004年09月03日

スチームボーイ

スチームボーイ打ち切り3日前に『スチームボーイ』を観賞。『ラピュタ』だなぁ…と思う人が多かったんじゃないでしょうか。「スチームボーイ ラピュタ」で検索をかけると、案の定ザクザクとそういったレビューが出てきました。監督の大友克洋氏が数年前、「宮崎さんは『ラピュタ』みたいな冒険活劇を作るべき」と言っていたけれど、結局それを自分でやったようです。

この作品の前半に出てくる大きな車輪の一人乗りのバイクの映像が公開されたのは何年前のことだったでしょうか。その当時、メイキングでアレを見たときはとんでもないものを作っていると思ったものでしたが、時代の流れとは恐ろしいものです。残念ながらその時の感動を超えるまでには至りませんでした。

『イノセンス』を見たから言うわけではないですが、大友氏もちょっと説教臭くなってます。いや、違うな。僕たちが追うことになった物語が説教臭かったと言うべきでしょう。SF畑の大友氏がスチームパンクで古き良きロンドンを描きたいという欲求は頷けます。「科学は偉大。すべてをロボットにやらせれば〜」という思想はレーニンの電化政策にも似ており、そうしたものにとりつかれた人間の狂気も良いでしょう。ただ何といいますか、スチーム城がロンドンの町で崩壊したときに感じるはずの「無力感」を、僕は感じませんでした。

詳しいことはわかりませんが、この映画の製作には紆余曲折があったのではないでしょうか。無理やりに設定で加えられた少年と少女。もちろんそんな事はないと思います。しかし明快なストーリーが、逆に面白いポイントであるはずの各国間の軍事的な駆け引きとか、そのむなしさといったものを見え難くしていたことが何より残念です。

Posted by Syun Osawa at 20:44