bemod

2004年10月02日

『昭和史七つの謎』と新海誠

昭和史七つの謎保阪正康氏の『昭和史七つの謎』を読了。いつ、どんな衝動でこの本を買ったのかわからなかったのだが、表紙をめくると扉に保坂氏のサインがあった。たぶんこれかも。あと梅田の紀伊國屋で同書が1万冊売れたという記事が新文化に出ていたこともかすかに記憶している。

最近、『20世紀世界の記録』というドキュメンタリービデオを順を追ってみている。不謹慎な言い方だが、戦前から戦後まもなくの時代はとっても激しく移り変わっていて興味深い。当時はインターネットもないので誰も世界を俯瞰できないし、みんなが個々のイデオロギーを持ち出し、それらがガチンコでぶつかり合っている。ヒトラーやスターリンのアジ演説はブッシュやケリーの比ではない。『昭和史七つの謎』も僕のそういう不謹慎な欲求を満たしてくれる興味深い本だった。

その中でも、アニメに関連する面白い話があったので紹介したい。第4話「〈東日本社会主義人民共和国〉は、誕生しえたか?」である。内容は、敗戦後の日本がもしもアメリカの単独統治ではなく、ソ連との分割統治であったならば(実際にそうなる可能性はあった)、北海道に社会主義の国ができていたか? というもの。

「日本が分割統治された、もうひとつの戦後の世界―」

そう。新海誠氏の新作『雲のむこう、約束の場所』である。ネタ元は別にこの本によらなくても、どこにでも流布している仮説なのだが、同書を読んで『雲のむこう〜』にこの世界観を盛り込んだのは誰なのだろう? という疑問がふと浮かんだ。もちろん新海誠氏に他ならない。しかし「キミとボク」との間を分断するためにだけ用意された世界観があまりにも玄人っぽくてきな臭い。個人的には『「ほしのこえ」を聴け』という本を新海氏と出している漫画原作者、大塚英志あたりが怪しいと睨んでいるがどうだろうか? もちろん的外れな推測に過ぎない。いずれにせよロマンチックな設定ではある。

Posted by Syun Osawa at 23:21