bemod

2004年10月10日

『クロック城』殺人事件

『クロック城』殺人事件北山猛邦著『「クロック城」殺人事件』を読了。どこでやめようか考えているうちに読み終えてしまった。SEEMの殺し屋が「東錠」と名乗った瞬間が最も本を閉じる両手に力が入った。が、読んだ。ファンタジー&ミステリーの一粒で二度おいしい本…なのだろうか?

筆者は本書の中で「まったく予想もしていなかった移動手段だ。」と書いていたが、波田陽区的に言うならば「みんな最初に、それ思ってましたから! 残念!」って感じ。どちらかというと、時間軸をメインにしたトリック(それぞれの時計が10分ずつ前後していることを利用した、現在の認識のズレからくるような…)を期待していただけに、ガクッときてしまった。

物語の舞台は世界の終わりが近づく世紀末で、警察も機能してないような状況。そんなときに森の中の屋敷で二人が死んでもあまり深刻な印象をうけないし、そんな状況下で世界を左右するような大物たちが二人の死に対して子供だましのトリックを論理的に考察しあうのは滑稽に見える。科学的な部分(トリック)と非科学的な部分(幽霊)が普通に混在していてるのも謎だ。しかしそこはミステリーファンには受け入れられる部分かもしれない。でも僕はダメかな。基本ダメなんだけれど、深騎と菜美の関係、特に菜美のエピソードはかなり好きだった。

Posted by Syun Osawa at 14:29