2004年10月30日
アリオン
『アリオン』(原作・監督、安彦良和)を観賞。小学生の時に劇場で見て以来だったというのに、けっこう細部まで憶えていたことに驚いた。実に素敵な作品だと思う。『クラッシャー・ジョウ』と『アリオン』は僕の幼少のアニメ体験の中で、欠かすことのできない作品だということを改めて知らされた。
ライトノベル雑誌『ファウスト』なんかで活躍する若い小説家は、よく人間を「人形」という風に表現する。しかし『アリオン』の中ではまだ真っ直ぐだ。明快にこんな台詞を吐く。
「人は誰だって土くれでできた人形じゃない。自分自身も他の人も、そう簡単に思い通りにはならないのさ。」
どうしようもない主人公(アムロとか安彦さんの主人公に多いけど…)に周りの人は手厳しい。こんな説教もくらう。
「強いられ、欺(あざむ)かれつつも人は生きていき、まことの己(おのれ)になってゆく。ならばこそ強くなれアリオン! もっともっと強くなれ!」
そんなアリオンが出した答えはこれ。
「レスフィーナは僕の妹だ。でも大好きなんだ! 僕はオリンポスへ行く。みんな僕と一緒に行こうと思うものはついてきてくれ!…(中略)…僕はレスフィーナのために戦うんだ! 本当にそれだけなんだ!」
「それだけなのかよ!」と、その当時は突っ込まなかった。僕も「おおっ!」っていう気持ちになったし、レスフィーナが大好きになった。その感覚は今も少し残っていた。ギリギリの感じが本当に素晴らしい作品だと思う。漫画と比べる人がいるが、それは『ナウシカ』を比べるのと同じで、僕自身はあまり意味のないことのように感じる。
Posted by Syun Osawa at 22:51