bemod

2004年11月14日

世界は密室でできている。

舞城王太郎/講談社

世界は密室でできている。子供向けに書かれた笑い話の本。何だっけか? とにかく小学生の頃に読んだ講談調の児童書をどうしてか思い出した。もちろん「改行ぜんぶ取るなよ…それ気持ちいいの、書いてる人だけだよ」と思ったし、独特の言い回しに読みづらさがなかったわけじゃないけれど、皮肉るほど嫌味もないし。読後感も清々しい。

しかしこの本、一体全体どんなノリなんだろう? 本をたくさん読んだ人が箸休めに読むノリの本なのか、前衛を楽しみたい人が読むノリの本なのか、それとも中高生が同時代の上昇気流を共有したくて読むノリの本なのか。僕の場合それほど本をたくさん読むほうではないし、感想文を書き始めたのも仕事がらってわけで訓練の色合いが強い。だから、何かと対比してこの人をどうこうできないんだなぁ。ところどころに出てくるゴシックの表記なんか筒井康隆がとうの昔にやってるとか。知らんし。だからまぁ、ある意味、中高生と同じようなシンプルな感覚で僕の場合は読んでいるのだと思う。ちょっと違うのは、僕が大人になったってのもあるんだろうけど、中学生の下心がそんなんでおさまるかよ。という下世話なところくらいかな。

最後のところは、全部おいても気持ちよかった。芸術うんぬんというよりも、この本を読んでよかった。と少なくとも思わせた。そして田舎の今の情景がいい。米原の閑散としたホームは知ってる人にはよくわかる。

Posted by Syun Osawa at 12:50