bemod

2004年12月13日

公安警察の手口

鈴木邦雄/筑摩書房

公安警察の手口これ読んだら荒岱介の『大逆のゲリラ』とかいろいろ読みたくなってきた。僕には屈折した青春群像にしか読めないが、鈴木氏の人当たりのいい素直な書き口がなんともいい。「ころび公妨」なんかもうギャグの世界。でもこれを本気でやられてる人は笑えんやろうなぁ。

本書には公安警察と右翼のベタベタした付き合いが克明に書かれている。しかも公安が右翼にニュース性のある事件を起こすように促すという記述まである。逆に左翼の方はより過激になるようになるように、公安自らが嫌がらせをして追い込むのだという。活かさぬように殺さぬように。

公安警察の手口とは「公安」という時代に取り残された組織を存在させることが前提とはいえ、右翼・左翼の両陣営の対立を明確にし、過激にし、出てきた杭だけをコンコンと打ってやるという、ある意味で戦後の虚構を演出した環境に優しい手口だったのかもしれない。なぜなら鈴木氏が言及しているように、最近では一般人(2ちゃん含む)のほうがよっぽど過激なことを言っているし、すぐにでも暴発しそうな(もしくは動員されそうな)危うさを持っているからだ(潜在右翼というらしい)。そんなふうに思うのは、僕の今の生活が「平和」の中にあるという実感があるからであり、そうした公安の手口を傍観者の立場から遠巻きに許しているからなんだけど。でもそんな虚構は僕には必要ない。

Posted by Syun Osawa at 22:31