bemod

2005年02月06日

二人で少年漫画ばかり描いてきた

藤子不二雄/文芸春秋/アニメ

二人で少年漫画ばかり描いてきたトキワ荘関連の本は読み出すととまらない。もはやトキワ荘は宗教の巡礼地みたいなもんで、そこに得体の知れない信仰心を抱いたっていいじゃないか、という開き直りまで持つに至ってしまった。一番読みたい藤子不二雄A氏の漫画『愛…しりそめし頃に…』は最後にとっておくとして、とりあえず目に付いたものから読んでゆく。

この本が最初に出版されたのは1980年。今から25年前に20年前を回想しているという、とっても時代を感じさせる本。だから本来は時間を縦軸とするととっても長い一本の竹を連想しながら、節目節目を時代に当てはめつつ、懐かしさや古さを感じなければいけないはずなのに、そうしたいと少しも思わない。高校を卒業後、会社に就職するも仕事が嫌ですぐに辞めてしまう感覚(長男なのに)。東京でダラダラと生きている風景。時代を感じるどころか、今もそんなヤツばっかりじゃないか(僕もそうか)。

藤子不二雄は最高だ。もう本当に。『オバケのQ太郎』でヒットを飛ばした後に『毛沢東伝』をサラッと描いてしまうんだもの。変な勘繰りがなくて、ヒーロー漫画の興奮しかなくて、シンプルに漫画を愛しているからこそ、そこを経由しても『ドラえもん』が生まれるわけだ。少年漫画を愛する思想は最強です。

トキワ荘関連は本を読み始めたばかりなので、考察じみたことはしたくないけれど、少なくとも彼らがマンガ家として成功したからこそトキワ荘は伝説となり得たわけだ。そして「クトゥルー神話」のごとき世界観は多くの漫画家たちによって共有され、受け継がれてきた。キーワードは東京、貧乏、仲間、夢。まー、ベタなこと。ベタじゃないのは、例えば手塚治虫がトキワ荘に住んでいた頃、彼はすでに長者番付に名を連ねるほどの売れっ子だったという事くらいか(しかも、その事実を記事にした新聞まである)。この感じはちょっと放置。変な妄想はやめて次を読もう。

Posted by Syun Osawa at 13:09