bemod

2005年02月17日

ヤクザ・リセッション

ベンジャミン・フルフォード/光文社/書籍

ヤクザ・リセッションこの本が出たのが2003年9月だから、時事問題を扱ったホントして読むには時期的には微妙に古い。そして、著者のベンジャミンはすでに、この本の次作となる『泥棒国家』を上梓している(つっても2004年3月だけど…)。でも読んだ。何がいいって名前が良い。

内容はというと、ひたすら日本をボロクソに喝破している。ヤクザに汚染された官僚と政治家と大企業が支配する日本は最低。そんなことが延々と綴られている。『フォーブス』のアジア太平洋支局長という立派な肩書きを持ちながら、インテリっぽい文章ではないのでとても読みやすい。そのため耳に痛いような事が、わかりやすい表現でダイレクトに入ってくる。

読後感は爽やかだった。久々に怒られた気がしたからという個人的な問題ではなく、フルフォードが日本で長年くらし、日本への愛ゆえにがなり立ててるという事が感じられたから。これは鎌倉在住のジャーナリスト、ロバート・ホワイティングとも似ている。

著者は本書の中で「日本は法治国家ではなく人治国家」だと言っている。たとえば道義的責任というのを持ち出してNHK海老沢会長にさんざん辞めろと迫りながら、辞めた直後に「彼が辞めてもNHKは変わらない」と続ける世間の声だったり、自衛隊が憲法が改正されてない状態で、拡大解釈によってどんどん海外派遣されていく状況だったりと、感情が治外法権に最優先されていく。今の「ライブドアVSフジテレビ」なんてのも好例だな。ひたすら感情論に訴えるフジテレビと自民党。「いかがなものか」は今年の流行語か? 森元総理がライブドアの堀江社長にの言動について「教育の成果なのかな」と言ってたけど、だったらお前等の成果だろ! という突っ込みは誰もしない。

人治国家の日本では法律が無視され、バブルが崩壊した後もその雰囲気から抜け出せない。そして、その責任は右翼にも左翼にもあると。本当の資本主義を目指すならば、アメリカの属国ではダメだろう? 利権まみれの土建国家じゃダメだろう? という感じ。では、そういった怒りを引き受けている政党があるかとなれば、これは結構むずかしい。民主党が本来、その役割を担わないといけないはずなのだが、イマイチ迫力がない。個人的には岡田代表はもっとイオングループの名前をビシバシ出してもいいと思うのだけどね…。最後に著者のキツーイお言葉を胸に刻むことにする。

日本という国の不思議さは、同じ過ちを何度も繰り返すことである。負けても負けても、そのやり方を変えず、ついには決定的にダメになってしまう。

こういうダメダメな部分に妙な哀愁を抱いてしまうのは、僕が日本人だという事の裏返しかもしれない。

Posted by Syun Osawa at 22:07