2005年03月08日
名画とあそぶ法
江國滋/朝日新聞社/書籍
文筆家が面白おかしく名画を語ってやろうという趣旨の本。絵の見方なんてそもそも自由なんだから、誰に何を断って語っているんだろうと思ったら、最初のところに美大の教授や研究家の人は読まないでなんてことが書いてあった。その遠慮、一体何?
作家の人となりと合わせて面白おかしく絵を見ていこうという雰囲気は感じられたし、裸婦系の絵を自分の股間に正直に語っているのも好感が持てる。しかも文章が丁寧でわかりやすいからエッセイとしては気持ちよく読んだ。とはいえ、そこは常識人ですわ。あまり深い突っ込みも無いし、普通のおっさんの冗談を聞かされてるみたいでなんとも…。これで3000円は高くないかい?
唯一のヒットは、ミケランジェロの『最後の審判』(以下に引用)についてのエッセイ。もともとこの絵に描かれた人間はみんな全裸だったのだそうだ。ところが、法王パウス四世という人が「聖なる祭壇にちんぼこはいかがなものか」ということで、ミケランジェロの死後に複数の画家に命じてふんどしを描かせたそうな。ふんどしを描いた画家は「ふんどし画家」と呼ばれ差別されたらしい。このエピソードはいいw
ふんどし画家大活躍の『最後の審判』
ちなみに著者は江國香織の父である。これが一番ビックリかも。
Posted by Syun Osawa at 22:56