bemod

2005年05月11日

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展

2005年3月8日〜5月29日/国立西洋美術館

ラ・トゥール展ラ・トゥールが実際に描いた絵だと認められている作品は世界でわずか40点しかないそうな。今回の展覧会ではそのうち18点が来ていたらしく、その情報だけ見ればかなりお得感がある。でも僕はこの人をよく知らない。

さっそく『西洋美術史』(美術出版社)を見てみると、どうやら彼は17世紀フランスのバロック派を代表する画家らしい。ろうそくの炎によって浮かび上がる人間の姿を、光と影の明確な対比で描いている絵が印象的だった。同時代にレンブラントやベラスケスがいることからわかるように、まぁ当時の流行だったんでしょうね。いわゆる西洋の古典的な宗教画っぽいものとかも多く、骸骨を持って瞑想したり、意味ありげな小道具が多く散りばめられたりしていた。中でもヴィエルという楽器が目を引いた。機械化されたヴァイオリンというなんとも心躍る代物で、今でも僅かながら生産されているとのこと。音は聴いたことがないので想像できないが、モノの感じはとってもチャーミング。欲しい…。

今回の展覧会で公開された彼の真作は18点。逆を言えばそれ以外は偽物なわけだ。偽者というと贋作を連想するが、そうではない。いわゆる模作というヤツで、弟子が師匠の作風を真似て大量生産していたのだ(マンガで言えばさいとう・プロダクションみたいなもんかな)。会場でも同じ絵が二枚連ねて並べてあって、それが驚くほどよく似ている。真作と模作の違いが素人目にはわからない。真作・模作・贋作は絵の価値を決める重要な評価基準かもしれないが、何か…複雑な気分になった。

金の支払い
《金の支払い》
ジョルジュ・ド・ラトゥール/1624年

Posted by Syun Osawa at 22:16