bemod

2005年05月21日

コルト・マルテーズ 皇帝(ツアー)の財宝を狙え!

監督:パスカル・モレリ/2002年/アニメ

コルト・マルテーズフランス発の大人向け劇場アニメ映画。日本のアニメっぽい作りなんだけど、中身はやっぱ別物。突き放し感がかなり素晴らしい。なによりヒロイン(上海リー)が全然可愛くない。可愛くないんだけど、魅力的(ここポイント!)で、これがラストに効いてくる。

物語の舞台はロシア革命直後の1919年。大陸鉄道で運ばれる帝政ロシアの隠し財宝を巡って、ロシアの反革命組織、アメリカの軍人、ロシアの公爵夫人、中国の秘密結社、モンゴルの騎馬軍団などが争奪戦を繰り広げるというもの。この時点でかなり素敵☆

さらにフランスの暴力映画らしく人はザクザク殺される。特に、中国の帆船での戦闘シーンや列車での銃撃戦などは秀逸で、日本のアニメーションとはアプローチがちょっと違ってて新鮮だった(いわゆるノワールモノですね)。これだったら途中で実写でもいいじゃん? とは思うけど。

ストーリーの方はかなり乱暴で、詳しい説明もないまま強引に話は進んでいく。丁寧に人間関係を描いていないので、誰が誰かわからなくなりそうになったところもあった。それと、中国の秘密結社なんて、ある程度耐性がないと上手く飲み込めないと思うし、1919年頃のロシアのバタバタ感についても社会の資料集程度の知識がないと楽しめないんじゃないだろうか。でもそのへんの突き放し加減、僕は大好きです(つか、もっとこういう作品が出てきて欲しい)。

全体を通して好印象。雰囲気はかなり好き。特に装甲列車とプロペラ式の飛行機というのどかな時代の戦争モノは不謹慎ながら興奮してしまう。あと、財宝を積んだ列車が氷の張った極寒の湖に沈んだ後、主人公のマルテーズがランボーの詩を口ずさみながら雪道を歩いてくるシーンなんかもかなり渋くて良いです。そして、上海リーの造形が可愛くないこと。造形は可愛くないし、娼婦なんだけど、だんだん可愛く思えてくる。表情とか、生き方とか、性格とか含めて。右上みたいな萌え絵では絶対に出せない可愛さ。考えさせられる。

ちなみに、この作品の原作者Hugo Prattはイタリア人だそうで。原作の漫画をめっちゃ読みたい。読みたいけど、日本語版は出てないらしい。くそぅ。

Posted by Syun Osawa at 01:21