2005年06月01日
ノストラダムスの真黙示録
神代光/KKダイナミックセラーズ/漫画
気持ちの良い電波をピリピリと発する素敵な漫画。ノストラダムスの予言を軸に、フリーメーソンもユダヤの陰謀も超能力も黙示録も出くる。そしてそれらをどんどん繋げていくという、むかし懐かしい遊びが満載。
たしかにバーコードは「666」とかあったよな。その「666」も最近では「616」だったという「ネッシー写真はネタでした」以来の腰砕けな研究結果が出てみたりで、ミステリーのブラックボックスがどんどん陳腐なものになっている。僕達には「ピアノマンは誰?」とかショボイ遊びしか残されないのか!
この本にはロマンがある。終末思想という名のロマンだ(この本の中ではそれを「ルサンチマン」と書いているが、きっと違うぞ)。それはヒロインの女の子のこんな台詞に現れている。ノストラダムスの予言をもとにした小説を書いている主人公に対して、
「ぜひ読ませてください!(わたし、)本当はノストラダムスって原文訳、ぜんぶ読んでるの」
その発言に対する主人公の返答
「なあんだそうか、じゃあ今度持ってくるよ」
ロマンですねぇ。その後、日本は大地震によって壊滅状態に。主人公はゲリラ活動に入り、ユダヤの陰謀によって世界がロックフェラー財団の御曹子に支配されるというトンデモな方向へ。言葉で書くと凄いんだけど、漫画の中でも言葉で書いているだけなんで、AKIRAみたいな絵のイメージがあるわけではない。そこがあったら凄い漫画だったかも。
興味深いのは、この本では国民全員にバーコードが付けられ、国民総背番号制が導入されることを大事件として描いていること。コンピューターによって国民全員が完全に管理下に置かれることによって、真の平和を達成しようというわけだ。さらに、国家機密法という名の言論統制で、国体の強化を図ろうとしている。
よく考えると、今ってまさにそんな世の中では? 僕にも番号ついてるし、住基ネットを足がかりに超管理社会への待望論ある(バカ)。ノストラダムスの予言は外れたけど、作者の予言はしっかり当たってる。これこそ神の力じゃないのか? と思って、作者のホームページを見たら妙に納得した。あえてそれ以上は触れませんけど。
Posted by Syun Osawa at 22:57