bemod

2005年10月09日

『刺青版「解夏」』からFLASHアニメを思う

刺青版「解夏」(歌:華少翌) (flash/28mb) by ITS CARTOON
『刺青版「解夏」』メイキング記事

刺青版「解夏」ITS CARTOONは、Ninjai Gangと双璧をなすアニメーショングループです。そんなITS CARTOONが作った作品のメイキング記事があったので、チラチラ見てました。すると、JAWACONの中でも語られていたアウトプットの問題などを、ITS CARTOONの皆さんも抱えていたみたいなんですね。それが妙に嬉しくてキーボードを叩いている次第です。

そもそも論として、この作品を『レオン』と『人狼』のパクりというのは簡単です。それを置いてもこの作品はよく出来ています。『人狼』や『攻殻』を見てる人ならわかると思いますが、ProductionI.Gの映像を本当によく研究しています(多少似過ぎですが…)。その点については、メイキング記事の中で彼ら自身が『人狼』の特警のキャラクターに似過ぎているとして、いくつかのパーツを変更したことを告白しています。とはいえ、ガイナックスも初期の頃は宮崎アニメなどをコマ送りにして動きやカット割りを研究していたわけですし、下からの突き上げというのはそういうものだと思います(大事なのは、ここまでやってしまう気合い)。

この作品の中で2点、感じるところがありました。

1.共有されている世界観について

『レオン』世代ど真ん中の僕も、『 突破人 』という殺し屋と少女の作品を作りたいと思った事がありました(見るも無残!)。本来重なり合うはずのない強者としての男と、弱者としての少女が、孤独と傷つきやすさを共有するという世界観が裏側にあります。こういう作品について語られた文章を読む機会は少ないのですが(誰か書いて)、世界中でこういう種の作品が出てくる現象は興味深いです。単に『レオン』の縮小再生産というわけではないと思うんですがどうでしょう。

2.FLASHを取り巻くアニメ制作環境について

JAWACON参加の作家さんに使用しているソフトなど尋ねたとき確信したことがあります。FLASHを主軸にしてアニメを作るスタイルでは、作業工程はバラバラなのですが、使用しているソフトの方はかなり似ています。

 アニメ制作 FLASH
 背景着色  Photoshop
 画面効果  AfterEffect
 背景など  3DstudioMAX、Maya、Lightwave3D など

刺青版「解夏」ほとんどこれだけといっても言い過ぎではありません。これらのソフトを製作の過程でどのように選択するかは個人差があるようです。ただそれも頑張れば図式か出来ないこともないくらいの量だとも思ったりします(面倒臭いけど)。3Dソフトを含まない基本的な流れでは、PhotoshopとFLASHで作成されたアニメーションをAfterEffectに入れて、エフェクトを加えて仕上げるというパターンを多く目にします。

ITS CARTOONの『刺青版「解夏」』をよく見ると、主線にブロックノイズのかかっているパートと主線がクッキリと描画されているパートに気づきます。彼らの場合は、背景は3Dで起こし、主線だけを抜き出してPhotoshopで着色。動画パートは基本FLASHで作成。必要な箇所のみAfterEffectで画面効果を付け加えた後、SWFで書き出してFLASHに戻しているようです。

このあたりの流れは口で言うのは簡単ですが、ある程度のレベルでFLASHアニメをやろうとすると、最終的なアウトプットを含め相当な苦労が強いられることが予想されます。実際に、メイキング記事にはその苦労が綴られています。

それ以外にも、主線を鉛筆ツールにするか、ブラシツールにするかなど、作業の効率化やトラブルを減らすための工夫の点で迷う点がいくつかあります(あと動画ファイルのコーデック選択とか)。こちらはNinjai Gangの作品の変遷を追うとよくわかります。僕もそのへんは詳しくわからないのですが、市販のFLASHアニメ制作本でそこまで立ち入った本はないので、いろんな人から情報を得ながら少しずつ勉強していきたいと思います。

Posted by Syun Osawa at 11:45