bemod

2005年10月11日

モンスターの眠り

エンキ・ビラル/訳:貴田奈津子/河出書房新社

モンスターの眠りムズい…。

もともとSF耐性がないので、こういうのは結構大変。全体像を飲み込めないまま、それでも強引に何度もいったりきたりして読んだので、わずか70ページほどの漫画なのに、映画一本見たような気分に。

物語の裏側で1991年以降のボスニアの不幸が書かれていて、さらに混乱する。シンプルなところでは、ボスニアの孤児である主人公のナイク(NIKEに由来)、アミール、レイラの3人が、世界とオプスキュランティス・オーダーという新興宗教との戦いに巻き込まれていく話。主人公が記憶を順に取り戻していく様子とオプスキュランティス・オーダーとウォーホール博士の陰謀が明らかになっていく過程が同時平行なので、「???」が「??」になり「?」になってとりあえず物語の要旨は見えるんだけど、結局「!」とはならず「…」のまま。

その理由は、ボスニア紛争とかそのあたりの事情を飲み込めてないので、皮肉を皮肉として受け止められてないからなんでしょうかね。うーん。ムズい。

絵はすんごくカッコいい。カット割りも色使いも渋い。日本の漫画だと、カラーページって雑誌媒体に依存してるから、凄い絵の上手な漫画家さんでもカラーなのは数ページだけの場合が多い。しかもこういう荒いタッチのカラーで全編を通すのも難しい。そういう意味でも、この本の圧倒的な画的熱量は映画一本分に相当するのかも。

ウォーホール博士もレプリカ(レプリカばっか!)で死んでないし、結局は続くんですね。楽しみだけど、次って出るんかな?

Posted by Syun Osawa at 00:49