bemod

2005年10月28日

レオナルド・ダ・ヴィンチ展

2005年9月15日−11月13日/森アーツセンターギャラリー

レオナルド・ダ・ヴィンチ展「天才」の代名詞が最も似合う人。

レオナルド・ダ・ヴィンチの「ダ・ヴィンチ」の部分が生まれた土地の名前ということすら知らなかった僕にとって、男色行為(サルタレッリ事件)だったり、一生独身だったり、様々な物事に関する考察であったり、いろんな意味で彼はスーパースター。深いです。

特に感銘を受けるのは彼の「観察」に対する姿勢。今回展示された「レスター手稿」は天文と地学(水の働き)を扱った直筆のメモで、月の満ち欠けや川の中にある障害物の形が水の働きにどう影響を与えるかなど、様々な事柄を観察&スケッチし考察している。詳しいことはわからないが、そこに書かれた天文に関する考察などがことごとく当たっているというのだから驚きです。

例えば、遠くのものが青白くぼやけて見えるのは、水蒸気のせいだと考察しており、実際に当たってる。また『モナリザ』の左上を流れる川は、地下水が温められ、地上の川に流れ出てやがて海に至る様子が描かれて、その考察も鋭い(ちなみにレスター手稿にある水の働きがこのあたりに反映されているのではないかと言われているらしい)。

絵を描くために対象を徹底的に観察する。そこで疑問を湧きあがらせ、その先を追求をする。すごく基本的なことだけどなかなかできない。肉体一つまともに描けない僕にとっては、性根の部分からビシッといかれた気分です。橋を描くときに、橋の構造から理解しようなんて普通思わないもんね。いやはや。一に観察、二に観察、三四も観察、五も観察。観察がすべてだということを改めて思い知らされた。

ちなみにこのレスター手稿は、彼が残した膨大な数の手稿の中で唯一の個人蔵だそうな。その唯一の個人がビル・ゲイツって、何か妙な気分。

Posted by Syun Osawa at 23:06