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2005年10月30日

世紀末美術の楽しみ方

川村錠一郎/新潮社

世紀末美術の楽しみ方そもそも世紀末美術って何よ?

googleで調べると、1800年代後半の象徴派(印象派と双璧をなす)やラファエル前派(幻想絵画)あたりの芸術志向を指すらしい。キリスト絵画に見られた西洋の写実的な絵画の物語性が破壊され、思想がよりカルトな方向へ向った終末思想バリバリの芸術? みたいなことはパッと思い浮かぶんですけど、どうでしょうかね。代表的なところでは ジョン・エヴァレット・ミレー の《オフィーリア》とか。

本書の中では端的にこう書いてあります。

世紀末芸術は昼ではなく夕闇、そして夜、うつつではなく夢、陽気ではなく憂鬱、覚醒ではなく眠り、生ではなく死を想う世界である。

なるほど…。「世紀末」って言葉から連想されるイメージなわけですね(そのままやがな)。しかしまぁ、世紀末と言いながらも1900年以降の作品も数多くあるのでそのあたりはあいまい。そんなパキッと区分けできるはずもないですしね。ただし1910年前後のパリはとても世紀末というイメージはないので、1900年から1910年の間にいろいろあったことは間違いなさそう。2000年以降の今なんてまさにそんな時期なのかもしれません。

難しいことはよくわかりませんが、この本の中で紹介されていた絵はかなり好きです。中でもバーン・ジョーンズやウォーターハウスが好き。

ウォーターハウス
《非常の女》(c)ウォーターハウス/1893年

この人の作品は ここ でいくつか見れます。何が素晴らしいって、女性が素敵だし、ファンタジー系列だし、しかもマイナー調だし。そして基本的に絵が上手い。ちなみにこの絵は女性が髪の毛で騎士を絞め殺そうとしてます。(追記)死の世界へ連れ去るために女が誘惑しているというのが本筋らしいです。

世紀末美術にはもう一つ特徴があって、神秘主義とかカルトを巻き込んだ超越性。まさに象徴主義。こちらはフレデリックの作品が凄いです。

レオン・フレデリック
《流れ―氷河、奔流》(c)レオン・フレデリック

Posted by Syun Osawa at 00:25