bemod

2005年11月26日

ワンダフルデイズ

監督:キム・ムンセン/2003年/韓国/アニメ

ワンダフルデイズ韓国の人は男女の悲恋が好きですねぇ。

物語は1割の勝組(エコバン)と9割の負組(マール)を軸に描かれる。エネルギー戦争後の荒廃した世界で、マールの抵抗組織とエコバンの守備隊の攻防が続いているという設定。観客を引き込むために国家間の大きな対立を展開しつつ、元エコバンの主人公スハ(現・マール)とエコバンの守備隊に所属する元恋人のジェイ、その二人の関係をよく思わないシモンの三角関係を丁寧に描いている。ようするにメインは純愛。

日本だとこの手の真っ直ぐな設定の作品はあまり見かけないように思うがどうだろうか。一方、韓国の映画ではわりとよく目にする気もする。そしてこの手の展開の場合、韓国のアニメは破壊力があり、まどろっこしい言い方をすると「ベタの強度」が強い。

本作の一番の感動はなんと言っても、背景がすべてミニチュアで制作されていることだろう。予備知識なしで見たので、僕はてっきり質のいい3Dで作られていたのだと思っていた。背景をミニチュア、乗り物や小物などを3D、人物を2Dで描いている。ミニチュアは重量感、3Dは金属の質感、2Dは表情という風にそれぞれに明確なテーマを与えて制作されているため、一見するとバラバラで違和感がある。GONZOの昔の作品でもこういう試みは多く見られたが、2Dと3Dが折衷する過渡期という感じがして、そういう点では興味深い。おそらく10年もすれば落ち着くべきところに落ち着いてしまって、こういうギラギラした作品はお目にかかれない可能性もあるので、そういう意味でも貴重な作品だと思う。

ちなみに、映像特典でついていた予告動画を見ると、日本と韓国では明かに異なる。韓国はミニマルで渋く、日本は説明が多くケバい。作られる作品とは反対の傾向。この差はなんだろうか?

Posted by Syun Osawa at 23:53