bemod

2005年12月12日

東京ゴッドファーザーズ

監督・原作・脚本:今敏/マッドハウス/2004年/アニメ

東京ゴッドファーザーズホームレスかなぁ…。生き生きし過ぎてるもんなぁ…。逆に言うとあそこまで生き生きしてたらホームレスやらないよなぁ…。うーん、うーん…(以下、繰り返し)。

場当たり的な展開とか、妙に散漫な感じとか、集中力を欠いた雰囲気はたしかに東京そのもの。僕のような地方出身者から見た東京は、たしかにそんな風に映ってる。同時に新宿にいる大量のホームレスにも毎日出くわすわけだ。寂しげで無気力なホームレス達。

では、今回の映画に描かれたホームレスが彼らかと言われれば、彼らじゃないよなぁ。設定自体はホームレスになる要素を抱えていると思うんだけど、特に家出娘は違うと思う。何でもっとブサイクで誰にも見向きされないようなキャラにしなかったのかなぁ。日本のアニメや漫画の最もダメなところは、女の子が絶対に可愛く描かれてしまうところだと、つくづく思う。それを業界のエライさん達が、あまりにも無自覚に強いていたりするから根が深い。

この映画の場合はどうかは知らんが、あのビジュアルで家出してホームレスにはならんよ。どんなに傷ついていても自分をちゃんと知ってるはずだし。『トラフィック』のエリカ・クリステンセンみたいにボロボロになっていくんではと思う。

ライトな雰囲気の物語の中で、不自然に人と人が繋がっていく感じは、往年の日本映画を思わせる。暖かさみたいなやつ。僕などは冷えた東京しか知らないから、それが本当にあるのかないのかさえわからない。

過剰な演技は2Dアニメの良さが出ていて、気持ちよかった。声優さんも素敵。特に岡本綾さんはビオレのCMの時から少しも変わってない(関係ないです)。

それはさておき、映画を見終わって僕に何やらの意見があるとすれば、3人のホームレスが社会復帰したわけでも、何か大切なものを得たわけでもないところが、どうにも楽しくない。もう一つ。彼らはホームレスでありながら、都会の人達(家族や友人含め)とちゃんと繋がっていて、逆に同種のホームレスとはそれほど繋がっていない。彼らはあの後、どこへ帰って行ったのだろうか。

Posted by Syun Osawa at 23:12