bemod

2005年12月26日

マリといた夏

監督・脚本:イ・ソンガン/2002年/韓国/アニメ

マリといた夏韓国人のノスタルジー感覚って日本とホント似てる。田舎の小学生の描き方からしてそう。ランドセルだし、学校も教室も日本みたいだし、銭湯もある。漁港の雰囲気も。ただ韓国の場合は受験戦争が日本の比ではないらしく、この作品でも主人公の友だちが受験のためにソウルへ旅立つまでの様子を描いている。

最初の方はスタンド・バイ・ミーよろしく、しみったれた内容になるのかと思ってウトウトしながら見てた(バックミュージックもほとんどないし…)。ところがマリが登場したあたりから一気にファンタジーな展開になって、目が覚めた。思い出の中に存在した少女・マリ。白い夢の世界に現れたマリ。これがぜんぜん可愛くない。この瞬間、僕はこの作品が素晴らしいということを結論付けた。子供の頃に見た夢は『千と千尋の神隠し』よりもフワフワとしていて儚げ。

かくかくしかじかと少年達の淡い物語が展開された後、頭のいいスギは小学生のときにソウルへ旅立つ。残された主人公のナムもやがてソウルでサラリーマンになる。頭のいい悪いに関係なく結局はみんな田舎を出ていくのだ。そして故郷を思いながら、変わってしまった自分を再認識する。どこにでもある話。僕の話でもある。

なお、本作品は画面が特徴的で、動画部分のキャラクターには輪郭の主線が存在せず、ペタッとした着色がなされている。そのため普通のセルアニメよりも柔らかい印象を受ける。さらに背景も児童用ポスターのようにボッテリしていて、雲も綿菓子みたい。ハッキリクッキリのの背景がこれまた暖かい。韓国アニメも侮れないねー。

Posted by Syun Osawa at 23:23