2006年05月12日
歴史のなかのソ連
松戸清裕/2005年/山川出版社/A5
薄いブックレットでソ連の歴史を勉強。
ぶっちゃけロシア・アヴァンギャルドについて知りたいだけなんだけど、それを知るには少しくらいは歴史も知らねばならず、社会主義についても少しくらいは知らねばならない(と思う)。
そういう横着な企業戦士にとって、このブックレットはなかなか良書(短いという意味でw)。上に丁寧な注釈がついているし、時代のトピックスに合わせた当時のポスター画像なんかも掲載されている。そのポスターに書かれている文字とかレイアウトが何ともポップで、それなんて名残り? とか思ったり。
それにしてもソ連って切ない国やね。やることなすこと裏目、裏目って感じで。もちろん筆者がそういう風に持って行ってるんだろうけど、計画経済が全然上手くいかなくて、しかもそれをプロパガンダでごまかす。歯向かうものは粛清という名のテロルで弾圧。言論統制。
一番気の毒なのは農民。日本の江戸時代も農民は不遇だったけど、まさにそんな感じなんでねーの? と思うほど。移転も自由もないし、国家年金の支給資格もなかったらしい。
ただ、ソ連が崩壊したからといって、全否定も良くないわけで…
ソ連は「超大国」でありながら国民に十分な消費財を供給することもできないという歪みをともないつつも、国民に最低限の生活は保障し、その生活水準を高めていった。一九六〇年代後半から八〇年代初頭の「停滞の時代」は、教育・医療・社会保障なども最低限のものは提供されるようになった「安定の時代」でもあった。
今のロシアの状況を考えると、たしかにいろいろ考えさせられる部分も多い。特にチェチェンの問題など。もっともソ連時代はそうした部分も含め西側諸国には見えなかったわけで、そのあたりは何とも言い難いが。
ロシア・アヴァンギャルドまで、なかなか遠いなぁ…。
Posted by Syun Osawa at 23:26