bemod

2006年08月18日

日本宗教史

末木文美士/2006年/岩波書店/新書

日本宗教史日本の宗教史をお勉強。

これまで僕は完全に無宗教だと思って生きてきたせいもあって、仏教と神道の区別がとても曖昧で、そこをスッキリさせたかった。この本ではそのあたりの歴史がわかりやすく書かれている。

とはいえ、仏教と神道の区別がスッキリわかったわけではなく、仏教と神道が習合と分離を繰り返しながら曖昧な歴史を刻んできたということがスッキリわかった(ややこしい)。

面白かったのは、仏教を分離した〈古層〉の発見を神道に求め、ナショナリズムを形成しようしている歴史が読み取れるところ。岩波書店から出ている本だという事も影響しているのかもしれないが、『日本書紀』のいい加減さに言及し、神道を軸にした〈古層〉の発見には創作が大いに入っているという指摘は刺激的だった。

塩野七生さんが太平洋戦争時の公文書を洗いざらい公開せよと『文藝春秋』のコラムで書いていたことが、そのまま日本の歴史の中にあるわけだ。よーするに、良いにせよ悪いにせよ正確な記録を残しておくことを日本人はあまりやらない民族らしい。もちろん僕もなんだけど。

[本]のメルマガvol.255 でキウさんという方が『神国日本』の書評を書かれていて、それを読むと、どうもその本が『日本宗教史』の内容と似ているっぽい。よく知らんけど「〈古層〉の発見は創作だった」ブームが来ているんだろうか…。

靖国絡みでは、靖国が神道の代表格みたいな感じになっているのも謎の一つ。国家神道も後付けの歴史じゃないのかと、勉強不足なので大きな声ではいいませんが、思ったり思わなかったりしてます。

Posted by Syun Osawa at 00:37