bemod

2006年09月06日

ゲド戦記

監督:宮崎吾朗/2006年/日本/新宿文化ミラノ

ゲド戦記うーん。困った。

肯定的に見ようと決めていたのに、あまりに退屈で困ってしまった。原作を読んでいないので、ストーリーの予備知識は一切ない。それがマズかったのだろうか(ただ、それがマズいのなら、そりゃ二次創作ですぜ)。

作品を通して言おうとしているテーマはいいですよ(辛気臭いけど)。そういう企画の本質を突っつくのなら別に作品そのものを見る必要なんてないのだし。それよりも、アニメ映画としてのアクションやドキドキ感、ピンチみたいなところがごっそり抜け落ちていて、そこがどうにも不満だった。

例えば、テルーが家の前の杭に縛りつけられるシーン。縛り付けられたテルーは何のピンチもないままに自力で脱出してしまう。宮崎駿さんなら冒頭に出てきた狼の群れにテルーを襲わせて、絶体絶命のピンチを演出しただろう。何しろピンチが足りない。

性格も途中で変化する。特にテルーが雄弁になるのは何故? 魔法使いクモが最後にテルーを連れて逃げるくだりからは大賢人ゲドは放置。そういうツッコミどころも満載だし、物語を貫いた主人公達の目的みたいなものもよくわからない(『罪と罰』のラスコリーニコフなのか?)。原作に寄り添いすぎたために、映画単体の背骨が抜けてしまっているような、妙なスカスカ感があった。

また、大賢人ゲドにも主人公のアレンにも「旅の目的はわからない」というようなことを語らせており、それを言わせた時点で観客はもっとわからなくなるのだということを現場の人達も突っ込んだと思うのだが…。個人制作ならわからないまま作るのは楽しいが、商業アニメでこういうのアリなのかなぁ。

無駄に多い移動シーンと、無駄に多い立ち話も気になったし…。宮崎駿作品の真髄は会話ではなくアクションでもってストーリーを展開させるところにあったんだけどなぁ。最近『コナン』を見たこともあり、余計にそんな風に感じてしまった。

とはいえ、次回作を作るのなら、もちろん見ますけどね。

Posted by Syun Osawa at 00:24