bemod

2006年09月17日

新興宗教オモイデ教

大槻ケンヂ/1993年/角川書店/文庫

新興宗教オモイデ教『雫』というエロゲーの種本らしい。

『雫』は学生時代、エロゲーだと思って舐めてかかったらすっかりハマってしまったという思い出深い作品。無気力で世の中が嫌いな主人公と、人の心を破壊し狂わせる電波。この二つの要素にグッときてしまい、僕も『 燃えて京都 』というノベルゲームを作ったほど。

本書にも『雫』の要素は登場する。この要素の先にあるものは何かな? …などと考えるが、明確な答えは出てこない。ヒントは80年代にライブハウスに通っていた少年少女にあるのかもしれない。退屈な日常をデタラメなパフォーマンスを共有することでやり過ごしたいという叙情的な願望…みたいな。そして、それを中間という男に代弁させている感じ。

あとがきで、大槻さんは中間には特定のモデルとなる人物がいないと書いていた。バブルの裏側で、彼のような気持ちで充満していた場所がどこかにあったのだろうな。その場所は、ゾンを救い、ゾンを殺した。そうした自戒の念みたいなものが篭っているように感じた。

これを書いている同日、『リンダリンダラバーソール』(大槻ケンヂ/新潮社)文庫版の販売日だった。あの頃の空気をよりリアルに感じたくてこちらも購入した。

Posted by Syun Osawa at 00:24