bemod

2006年09月18日

ディズニー・アート展

2006年7月15日−9月24日/東京現代美術館

ディスニー・アート展ディズニーって化け物だわ。

1950年以前の原画や背景画、コンセプト・アート(イメージボード)を見てつくづく思った。特に背景画。これ見てしまったら化け物と思わざるを得んわなぁ。

そう思ったのは、日本のアニメでデフォルトとなっているハイコントラストの背景画に魅了されたからではない。もちろんそういう背景画もあった(例えば、『わんわん物語』とか『ピノキオ』とか)。でも『眠れる森の美女』ではそれらとは全く違ったコンセプトで背景画が描かれている。乱暴に表現するとシュールレアリスムの絵にゴシック様式の建築を重ねたような感じ。『バンビ』は印象派のテイストで、明るめの光の捉え方が印象的だった。

これらはディズニーに所属したアーティストのイメージを反映させたものになっている。冒頭でディズニーが化け物だと言ったのは、この事実が強烈だったためだ。個々の個性的なアーティストが作り出した世界観を丸呑みする格好でディズニーは大きくなっているのだ。

日本では細密な背景が好まれる。最近ではパソコンでトレースした背景画であっても、もてはやされる。ご多分に漏れず僕もそういう描き方を目指しているから、その点についてはツッコミづらいところがあるが、背景画ってやっぱし絵なんだよな。意思のある絵。ロケハン行ってデジカメで写真とって、輪郭部分をトレースした後、ハイコントラストに着色する。それも悪くない。でもそれだけじゃない。そういう当たり前のことに打ちのめされてしまった。ああ。

原画については、気の遠くなるような膨大な量を超完璧なデッサンで描いており、人間の業とはとても思えなかった。自分と比べたら、素人とプロの差とかじゃないよな。人間と神様くらいの差がある。途中で眩暈(めまい)した。『蒸気船ウィリー』のコーナーにアブ・アイワークスの原画があったのも興奮したし。あれって、いくらくらいの価値があるんだろうか…。

帰りに当然のごとく図録を購入。今回はディズニーが絡んでいるという事で、かばんを持っての入場禁止などセキュリティもやたら厳しかった。いたるところ著作権マークがついていたりで版権ビジネスの化け物としての一旦も見ることができた。グッズ売り場も大盛況。いつまでも女、子どもの心を捉えて離さないディズニーのキャラクターってやっぱ凄い。

Wikipediaの「 アメリカン・アニメーションの黄金時代 」は、1950年代頃までのアメリカにおけるアニメーションの歴史が簡潔に書かれている。これなどを見ると、アニメにもオールディーズがあって、そこだけを探求するだけでも山下達郎さんのオールディーズ愛好のように、一生楽しめるくらいの素材に溢れているみたい。

Posted by Syun Osawa at 00:15