bemod

2007年01月14日

ねこでもわかる数学

テオニ・パパス/2003年/PHP研究所/A5

ねこでもわかる数学このタイトルは違うだろ。

サブタイトルは「ペンローズの不思議な冒険」。こっちが正しい。軽いタッチのイラストと数学にまつわるショートストーリーで構成されている。数学の公式を覚えさせることが目的ではなく、数学の不思議や面白みに触れるための本。

悲しいかな作者の思いと日本の編集者の思いが噛み合っていない。売ろうとするために「ねこでもわかる」としたのだろうが、中途半端に教材チックなスタイルにしたためにとても野暮ったい本になっているように思う。装丁、レイアウト、書体、文字とイラストのバランスまで、すべてがなんかズレている。これは作家の問題というよりは編集の問題だろう。

こういう本は日本ではどれほど出ているのだろう。物語と教材の間にあるような本。教材を絡めると、どうしても教材の側に引っ張られてしまう本が多く、この本も編集の段階でそのようになってしまっている。もっと柔らかく、曖昧で、それでいて面白い本。そういうのを探している。ちなみにこの本の監修はピーター・フランクル。

Posted by Syun Osawa at 23:48