bemod

2007年02月22日

ニーチェ入門

竹田青嗣/1994年/筑摩書房/新書

ニーチェ入門ぶっちゃけニーチェの本は読んだことがない。

哲学書など難しいし読み込める能力もないので、はなから読むつもりはない。ただ、この歳にもなると表面をなぞるくらいには知っておかないと恥ずかしいらしいということを知り、高校生が読むような入門書をちょっとだけ読み始めることに。

入門と名がつくだけに、さすがにわかりやすい。わかりやすく書かれ過ぎていて「本当か?」と心配になるくらい簡潔明瞭に書いてある。ニーチェの三つの柱は「ルサンチマン批判の克服」「これまでの一切の価値の顛倒」「ニヒリズムの克服(価値の創造)」であるとし、ポストモダンの現代思想家たちは前の二つを上手くくみ上げたが、最後の一つについてはその可能性をむしろ殺しているのではないかと筆者は言う。

なるほどそうかもしれない。そうかもしれないが、僕の中にも充満しているニヒリズムを克服するために「超人の創造」と「永遠回帰」を胸に刻むのはなかなか難しい。キリスト教中心の世界で育っていないし、ニーチェの生きた時代とも違うし…。そもそも、近代ヨーロッパのニヒリズムと21世紀日本のニヒリズムは同種のものなのかもわからない。

ともかく、ニーチェは安易なロマン主義を批判しているらしいので、その部分は共感できた。だから、ニーチェにならって、知的モードな人たちにも安易な愛国主義にも惑わされることなく、発狂しない程度に「善きこと」の追求をしていくことを人生の指針の一つにするのも悪くないなとは思った。

Posted by Syun Osawa at 00:04