2007年04月04日
イタリア・マフィア
シルヴィオ・ピエルサンティ/訳:朝田今日子/2007年/筑摩書房/新書
本屋で見かけて即買い。
マフィアの大物だったブシェッタが改心したことで始まったマフィアの大粛清。この事件が起きたのは90年代の前半で、そこから連鎖的に多くのマフィアが逮捕された。また、その頃よりイタリア系以外のマフィアが国際的に台頭してきたため、僕の関心もイタリア・マフィアからロシア・マフィアなどに流れていた。
だが、イタリア・マフィアはまだまだ熱かった。
この本では戦後から現在に至るマフィアの動きをサクッと眺めることができる。とくに大粛清以降、ベルルスコーニ落選後のプロヴェンツァーノ逮捕までの話が書かれているのがいい。プロヴェンツァーノはトト・リーナ後にシチリアを牛耳った男。逃亡生活43年という肩書きでありながら、逮捕されたとき、彼は普通にシチリアで生活していた。警察がもちろんそれを知らないはずはない。マフィアが後押ししたベルルスコーニが落選した直後に彼が逮捕されたところを考えても、この二つの事柄がまったく無関係でないことが伺える。
マフィアは簡単に人を殺す。そして、自分自身も簡単に死んでしまう。はっきり言って無茶苦茶だ。それにも関わらず、どうしようもなく惹かれてしまう自分がいる。もちろんマフィアだけではない。そんな恐ろしいマフィアが牛耳るシチリアで、殺されるとわかっていても勇敢に立ち向かうファルコーネのような検察官がいることにも感銘を受けるのだ。彼らの死を恐れない態度。どうしてそんな態度をとることができるのか。家族を守るための態度なら僕にも理解できる。だがそうではないのだ。僕がマフィア関連の本を好んで読むのは、この部分に生きるヒントを見つけようとしているからなのかもしれない。
Posted by Syun Osawa at 23:22