bemod

2007年06月26日

科学史から消された女性たち

大江秀房/2005年/講談社/新書

科学史から消された女性たちこの本は2006年にネット上で盗作を指摘され、後に出版社が自主回収。絶版となった。そのため、古本屋などでは相場の2倍以上で取引されているらしい。僕はある古本屋で新品を半値以下で購入した。探せばあるもんだな。

ところが、この文章を書いている2007年6月現在、Amazonを見ると普通に通販されている。絶版になったんじゃなかったの?

てな外側の騒動はさておき、科学がちょっと好きな一般人がサラッと読むにはかなり良い本ではないかな。僕自身がそうなので、楽しく瞬読した。科学史の裏側で女性が活躍していて、今はそのことが再発見されて有名になってよかったね…みたいなところがシンプルに書かれている。正確には科学者ではないが(逆か?)、アインシュタインの妻だったミレヴァ・マリッチなども紹介されていた。

こういう本の内容は学校では学べない。中学や高校の教科書にも登場する有名な科学者同士の人間関係が密接なことに驚かされる。また、有名な科学者の中には意地悪な人もいれば、引っ込み思案な人もいれば、病気ですぐに死んでしまう人もいる。教科書の場合はそういうものが漂白されて、知識としてだけ取り出されいるのでこういうドラマを知ることはない。科学史に興味のない理系の人も知らないまま過ごしているかもしれない。実はこういう本こそが理系と文系という古くさい認識を緩和させる最良の本であると思う。

この本のネタ本であるらしいロンダ・シービンガー『科学史から消された女性たち アカデミー下の知と創造性』(工作舎)はもっと面白いらしい。こちらも読んでみよう。

Posted by Syun Osawa at 21:52