bemod

2007年07月25日

国立ロシア美術展

2007年4月28日−7月28日/東京都美術館

国立ロシア美術館展今回の絵画展を見て確信した。ロシア絵画と日本の漫画・アニメとの親和性はものすごく高い。

むろんロマン主義の影響がいちばん強い。むしろ強すぎて、その中に自閉している印象すら受ける。細密な部分ばかりにこだわり、妄想が肥大化しているような状況と言えばよいか。ともかくムンムンなのだ。構造的に見てどうか? なんてことはどうでもよく、ただただ絵の中に物語がある。まるで劇画を見ているようだ。だから極貧の労働者の生活とか、働く女性など傾向絵画的な作品も少なくないし、肖像画の中に「萌え」を喚起させるよう絵もあったりする。

僕はロシア・アヴァンギャルドの流れは好きだし、そこにあった政治的なイデオロギーと芸術の爆発の相互作用みたいなものにも惹かれている。だからといって、社会主義リアリズムのようなものを屑のような作品といって切り捨てる気持ちもサラサラないのは、今回の絵画展で提示されたようなロシア絵画が奥底に持っている物語への欲望が僕自身の欲望とも合致するからだろうと思う。

ロシア系の画家を僕はほとんど知らない。そのため14人の反乱の話も知らなかった。どの名前も似たり寄ったりでおぼえずらいが、ガイドに列挙された名前を頼りに、少しずつ彼らの作品を楽しんでいこうと思う。プロパガンダ絵画にせよプロレタリア絵画にせよ、傾向絵画のような作品は日本ではあまりお目にかかれないのが辛いところだ。

Posted by Syun Osawa at 00:21